Kimono Mom
Photo: Courtesy of Kimono Mom

2022年、日本の未来を創る8人の女性

金メダリストから受賞歴のある一流シェフまで注目すべきトップタレント

Emma Steen
編集:
Emma Steen
翻訳:
Genya Aoki
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東京を特別なものにしているのは、東京で生きる人々に違いない。3月8日は「国際女性デー」。国籍や言語などを問わず、女性たちが達成してきた功績を祝福し、ジェンダー平等を考える日といわれている。

この日にちなんで、金メダリストから受賞歴のあるトップシェフまで、人口1億2500万人の中から際立った功績を残し、自分の情熱にひたむきに打ち込む8人の日本人女性を紹介する。

未来を創るトレンドセッターたちの挑戦はまだ始まったばかりだ。

原文はこちら

農場、研究所、そして青山のPR Barなどを行き来する異色のバーテンダー。これらの場所は彼女が「世界一のアブサンを作る」という長い計画の中で重要な役割を担っている。

アブサンとは、ブランデーなどのスピリッツ酒に薬草や香草、スパイスなどを漬けて、香り付けしたものを再蒸留させたハーブ系リキュール。日本ではまだあまり知られていないが、多くの老舗アブサンメーカーがあり、彼女の志は、太陽に近づき過ぎたギリシャ神話の主人公を彷彿(ほうふつ)とさせる。しかし、イカロスは女性ではなかった。

この計画は今のところ順調だ。フランスやスイスの有名なアブサン蒸留所に何度も足を運び、研究を重ねた結果、現在は茨城の農場でヨモギを栽培している。

2021年5月に東京にアブサン専門のバーを開店。2023年には自身がプロデュースしたアブサンを発売する予定だ。

日本における映画制作の世界は、残念ながらいまだ男性の監督やプロデューサーが中心。しかし、近年では同業界は包括的な方向に変化していている。こうした変化をけん引している一人が、数々の受賞歴を持つ監督である河瀨直美だ。彼女は是枝裕和や細田守のような現代の偉大な監督たちとともに、映画監督を志す人々に道を示している。

河瀨の作品は、2015年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニングを飾った映画作品『あん』から、2020年に大ヒットを記録した『朝が来る』からまで多岐にわたる。

2022年夏には『東京2020オリンピック』(仮題)という大作の公開も控えている。本作はこれまでとは一味違うものになるだろう。これは東京五輪の公式ドキュメンタリーで、1964年に日本で初めて開催された大会から、コロナ禍に実施することになった大規模イベントにおける論争までの全てを網羅するものになる予定だ。

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元芸妓(げいこ)で、娘のすーたんと一緒に日本料理の動画を投稿している人気ユーチューバー、キモノママ(Kimono Mom)。ファンの間では「モエ」とも呼ばれている。

彼女のYouTubeチャンネル2歳のすーたんよりも若いが、すでに117万人の登録者がいる(登録者数は現在も増加中)。この若い母親の家庭料理の作り方を見れば、モエのYouTubeシリーズがパンデミックのさなかに多くのネットユーザーの心をつかんだ理由がよく分かるだろう。

「ステイホーム」で育児に追われる親たちはモエのマルチタスクな能力に刺激を受け渡航禁止の中で日本を身近に感じたい日本マニアは家族で出かける様子をつづった動画から日本文化を学んだ。

モエはこの動画を通して「日本の家庭料理を世界中の人々にもっと簡単に、もっと身近に感じてもらうこと」を使命としている。英語、ベトナム語、アラビア語などの多言語のキャプションが付いたモエの動画は、料理が初めての人でも、豚のしょうが焼きやオムライスといった家庭料理を楽しく簡単に作れることを証明するだろう。

東京は革新的でエキサイティングな新開発を好む一方で、伝統に重きを置き、何事もしゃくし定規な古いやり方に固執することもある。渋谷のカクテルバー、ザ・ベルウッドのエグゼクティブシェフに25歳で抜てきされた寺井彩花は、こうした慣習を考えた時、より一層印象的な存在になる。

彼女は、カクテルバーのファッショナブルなドリンクに合うようデザインされたモダンな『べる寿司』を生み出すことで、その名を知られるよう知られるようになった。日本ではまだまだ男性中心の業界の中で、今注目を集めている女性の一人だ。

彼女は地元の高校(三重県立相可高等学校)の調理師専門課程で料理の世界に足を踏み入れ、18歳で調理師免許を取得。その後、京都や大阪の一流の厨房(ちゅうぼう)に立ち、伝統的な日本料理の基礎を身に付けた。

しかし、彼女の料理は、伝統的な技法を用いながらも既存の枠組みに捉われることなく、現代人の味覚に驚きを与えてくれる。現在のメニューは、3種のカクテルと12貫の寿司コース(1万円)で、バインミーにヒントを得たマグロの握りや、コーヒー風味のサンショウとカシスのソースを添えたアナゴなど、常識を覆すアイテムがそろっている。

『べる寿司』は公式InstagramのDMから予約できる。

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2017年に慶應義塾大学大学院を修了し、日建設計への入社が決まっていたサリー楓は、日本でトランスジェンダーとして生きていくことを決意した。

現在、モデル、建築と都市を扱うコンサルタント、LGBTQ+活動家として、トランスジェンダーに対する有害な先入観を払拭(ふっしょく)し、職場における平等性を求めて活動している。彼女のドキュメンタリー映画『息子のままで、女子になる』(Netflixで配信中)は、女性として踏み出した瞬間を追った作品。本当の自分を受け入れ始めたばかりのトランス女性の姿を知ることができる、驚くほど大胆で洞察に満ちた記録である。

北海道出身の村瀬心椛(むらせ・ここも)は、日本の女子スポーツ界における若きパイオニアである。2018年、13歳の少女が冬季エックスゲームズで世界最年少のスノーボーダーとして金メダルを獲得し、歴史を刻む。

そして2022年北京冬季オリンピックでは、スノーボード・ビッグエアで銅メダルを獲得した。悲願の金メダルには届かなかったが、村瀬の猛烈な演技は、フィギュアスケート以外ではほとんど認知されていない日本のウインタースポーツ女子勢の新境地を切り開いたといえるだろう。

女子ハーフパイプのメダリスト冨田せなを含むチームジャパンの選手たちとともに、村瀬は世界の目を日本の女性スノーボーダーに向けさせ、彼女たちが決して侮れないことを証明したのである。

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東京2020オリンピックで銀メダルを獲得し、日本史上最年少の12歳でオリンピックメダリストとなったスケートボード界のセンセーション、開心那(ひらき・ここな)。開の女子ストリートでの優勝は、スケートボードが初めてオリンピック種目に採用されたこともあり、スケートボード界にとって特別な瞬間だった。

しかし、同大会への出場は彼女にとって、これから歩む長いキャリアのための単なるウォーミングアップに過ぎないようだ。あの夏の感動からまだ1年もたっていないが、開は2022年4月に日本で初めて開催されるエックスゲームズで、世界の舞台に再び登場する予定である。

2022年2月、The Worlds 50 Best Restaurantsは、1日1組の完全紹介制レストラン、エテ(été)のオーナーシェフである庄司夏子を2022年度アジア最優秀女性シェフに選出した。この27歳のシェフは、2020年のアジア最優秀パティシエにも選ばれており、この権威ある組織から選ばれるのは2度目である。

ミシュランの星付きレストラン、フロリレージュで3年間働いた後、自身のレストランを始めた庄司は、宝石箱に似たエレガントな黒いコフレに盛り付けられた特製フルーツケーキで有名になった。

庄司のケーキは、かつてはレストランで食事をした人しか注文できなかったが、今は事前予約制でテイクアウト販売も行っている。

レストランを予約するのはさらに難しくなっているが、彼女の料理は、元イングランド代表のサッカー選手、デビッド・ベッカムや日本の現代美術家である村上隆をはじめ、多くの著名人にも絶賛されており、一度は食してみたい逸品ばかりだ。

彼女の功績は創造性とコミットメントが結び付けば、無限の可能性をもたらすという見本であり、次世代のシェフを目指す人たちに多大なインスピレーションを与えるだろう。

さまざまなジェンダーを祝福する……

  • Things to do

3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」だ。1904年のニューヨークでの婦人参政権を求めたデモを起源に、国連によって1975年に制定された。イタリアでは「ミモザの日」とも言われており、女性への感謝を込めてミモザを贈る風習がある。

近年#Me Too運動や、進化し続けるフェムテック市場の拡大などにより、女性の性差別問題やライフスタイルへの注目や認知が広がってきたが、未だに社会の理解や対応は発展途上だ。今後、フェミニズムへの関心と理解を持つことは重要になるだろう。ここでは国際女性デーに先駆けて、フェミニズムやフェムテックについて学べるショップや展覧会を紹介する。

  • LGBT

性教育パフォーマーを名乗るドラァグクイーンがいる。その名もラビアナ・ジョロー。端正な顔立ち、豊満な尻、青々と生い茂った胸毛。それを笑う者でさえも、いつしか彼女の魅力に吸い込まれていく。

軽快なトークときらびやかな踊りを披露する独特なパフォーマンスは、後に問いや話題のきっかけを生み出す。それは、彼女が培ってきた性の知識と社会の影に潜む問題をパフォーマンスと融合させ、我々に問いかけているからだ。ラビアナはなぜ胸毛を見せつけ、表現し続けるのか。話を聞いてみた。

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  • 映画
  • 映画

胸のすくようなアクションが繰り広げられる映画は、日常を忘れさせてくれる娯楽の一つ。映画の撮影現場では、カーチェイスや派手な格闘、爆破など危険を伴うシーンの際、スタントパフォーマーと呼ばれる専門の役者たちが出演俳優の代わりに演じている。多くは男性が行うものと認識されているが、実は1910年代のサイレント映画の時代から、女性たちが活躍する職業でもあった。

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  • 映画

マーベルシリーズ映画『エターナルズ』でさえもセックスシーンが登場するようになったとき、映画の中でのセックスが再び大きくなってきたことを実感する。映画史の中で「セックス」は、スクリーンを焦がし、胸をときめかせ、人々を解放するものだ。また、セックスは売れるということから、論争の種をもまいてきた。

優れたセックスシーンには、衝撃的な瞬間であったり、痛快なコメディのオチであったりと、さまざまなものがある。そして時には、素晴らしいセックスシーンが検閲の壁を打ち砕き、インクルージョンとセックスポジティブの新時代の到来を告げることもあった。

「史上最高のセックスシーン」のランキングを作成するにあたり、映画における肉欲の知識を総動員した。タブーを押し広げるような挑発的な作品から、時代の流れを変えるような重要な作品、エロティックなものから不快なものまで、バラエティー豊かに紹介する。

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