1. Team America: World Police
    Team America: World Police
  2. Boys Don’t Cry (1999)
    Boys Don’t Cry (1999)
  3.  Belle de Jour (1967)
    Belle de Jour (1967)
  4. Photograph: Shutterstock
    Photograph: Shutterstock

映画史上最高のベストセックスシーン50

サイレント映画やハリウッドのお色気コメディなど、映画のベストセックスシーンをランキング形式で紹介

編集:
Time Out Tokyo Editors
翻訳:
Mari Hiratsuka
Hanako Suga
Atsushi Tonosaki
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タイムアウト東京 > 映画 > 映画史上最高のベストセックスシーン50

映画史の中で「セックス」は、スクリーンを焦がし、胸をときめかせ、人々を解放するものだ。しかし、セックスは売れるということから、論争の種をもまいてきた。

優れたセックスシーンには、衝撃的な瞬間であったり、痛快なコメディのオチであったりと、さまざまなものがある。そして時には、素晴らしいセックスシーンが検閲の壁を打ち砕き、インクルージョンとセックスポジティブの新時代の到来を告げることもあった。

今回「史上最高のセックスシーン」のランキングを作成するにあたり、映画における肉欲の知識を総動員した。タブーを押し広げるような挑発的な作品から、時代の流れを変えるような重要な作品、エロティックなものから不快なものまで、バラエティー豊かに紹介する。

また、アカデミー賞を受賞したものも少なくない。中には古典的なフェミニズム映画もある。多くの作品には賛否両論がつきまとうが、これらは全て映画史に置いて欠かせない作品だ。

Written by Dave Calhoun, Joshua Rothkopf, Cath Clarke, David Ehrlich, Phil de Semlyen, Daniel Walber, Trevor Johnston, Andy Kryza & Daniel Walber

原文はこちら

1〜10位

赤い影(1973年)
Don’t Look Now (1973)

1. 赤い影(1973年)

監督:ニコラス・ローグ

ベッドでの共演:ジュリー・クリスティ、ドナルド・サザーランド

どんな映画か:ダフネ・デュ・モーリアの短編小説をもとに、ニコラス・ローグが、 ローラ(ジュリー・クリスティー)とジョン(ドナルド・サザーランド)の夫婦の物語を描いた作品。幼い娘を溺死事故で失った後、ジョンの仕事のためにイギリスからベネチアを訪れていた夫婦は、年老いた姉妹と出会う……。

セックスシーン:場面は夕食前のホテルの一室。シンプルだが監督の撮影と編集、そして俳優たちの演技によって、非常にパワフルなものになっている。

どこが画期的か:とてもリアルな感じがして、映画のほかの要素と完璧に調和が取れている珍しいセックスシーンだ。2人は悲しみを表現しているようでもあり、悲しみから解放されているようでもある。そして何よりも、俳優たちが自分たちのやっていることを理解しているように見えるのが素晴らしい。彼らは否定しているが、映画の公開以来、「実際にしているのでは?」といううわさが出続けているのも不思議ではないといえる。

仮面 ペルソナ(1966年)
Persona (1966)

2. 仮面 ペルソナ(1966年)

監督:イングマール・ベルイマン

ベッドでの共演:ビビ・アンデショーン、リヴ・ウルマン

どんな映画か:
突然セリフを言えなくなった舞台女優のエリーサベット(リヴ・ウルマン)。彼女と彼女についた看護師のアルマ(ビビ・アンデショーン)は、流動的で魅惑的な「争い」を繰り広げ、そして心の交流を深めていく。

セックスシーン薄暗い部屋でアルマはエリーサベットに、自身の女友達と見知らぬ少年たちと一緒にしたビーチでのセックスの話を始めた。その話は、後に悲惨な結果をもたらすこととなる。

どこが画期的かセックスシーンがないのに、「なぜ高評価なの?」と思っているだろう。レベルが高いのだ。ベルイマンのように、靴から悲痛なモノローグを引き出すことができる名監督だからこそ、作れたシーンだろう。アンデショーンは、生々しい行為を淡々と表現することで、このシーンを耐え難いほど熱くしている。

このシーンは、検閲によってしばしばカットされてきた歴史も持つ。映画評論家のロジャー・イバート が「このモノローグの描写があまりにも強烈なため、映画の中でセックスシーンを見たかのようにリアルに語る人がいる」と評したのは有名な話だ。

 

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ブロークバック・マウンテン(2005年)
Brokeback Mountain

3. ブロークバック・マウンテン(2005年)

監督:アン・リー

テントでの共演:ヒース・レジャー、ジェイク・ジレンホール

どんな映画か2人のカウボーイの恋を描いたアニー・プルークスの同名短編小説が原作。アン・リーが美しく、うっとりするような映画に仕立てた。

セックスシーンワイオミングの丘の上はとても寒い。夜、ウイスキーを飲んだ後、牧場主たちは暖を取るために身を寄せ合い、そして……。

どこが画期的かリーは、この作品でゲイセックスをメインストリームへ押し上げた。同性愛者の地位向上を推進していると非難した保守派も現れたが、そうした声が上がるのはこの作品に限ったことではない。

この作品は2006年アカデミー賞で8部門にノミネートされ、3部門を受賞したが、作品賞は受賞できなかった(受賞したのは『クラッシュ』(2004年) )。ロジャー・イーバート をはじめとする批評家の中には、ホモフォビア(同性愛嫌悪)が投票に影響したと考える人もいた。

 

 M・アーウィンとJ・C・ライスの接吻(1896年)
’The Kiss’ (1896)

4.  M・アーウィンとJ・C・ライスの接吻(1896年)

監督:ウィリアム・ハイセ

ベッドでの共演:メイ・アーウィン、ジョン・C・ライス

どんな映画か一般公開された最も古い映画の一つであるこの作品は、わずか18秒しかない。作品中のキスは、当時の人気ミュージカル『未亡人ジョーンズ』のワンシーンを再現したもの。ウィリアム・ハイセがトーマス・エジソンのために作った作品としても知られている。

 セックスシーン正直に言うと、これはキスとは言えないかもしれない。俳優のジョン・C・ライスは口ひげの手入れをしているようだが、どちらかというと、ついばむようにしているだけで、舌の絡みなどはない。

どこが画期的か:2人の人間のキスを描いた史上初の映画作品であるというのは、紛れもない事実だ。この作品の元になった舞台について、ある論評者が「ステージ上で十分に野獣的だったが、それを増長させて、3回もキスを繰り返すのは本当に気持ち悪い」と書き、騒動になったという。まるで現代の映画評論を読んでるようだ。

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愛のコリーダ(1976年)
In the Realm of the Senses (1976)

5. 愛のコリーダ(1976年)

監督:大島渚

ベッドでの共演:藤竜也、松田英子

どんな映画か1976年に公開された大島の代表作。既成概念を覆すことに情熱を傾けた大島渚のキャリアの頂点に立つ作品。1936年の東京で、ホテルのオーナーと新入社員の間に芽生えた性への執着を描いた実話を描いている。

セックスシーンどうやって一つに絞ればいいのか。この作品は変態的な性行為がほとんど絶え間なく続く、エスカレーションの驚異である。逸脱した(そして、非擬似ではない)行為の渦の中からある瞬間を切り離すことは、結局は選ぶ人の趣味に依存することになるだろう。

しかし最も限界を超えているのは、食事中、給仕がいるにもかかわらず、吉蔵(藤竜也)が自身の新しい妻である定(松田英子)の膣(ちつ)にゆで卵を挿入する場面。その上、吉蔵は定に雌鳥のようにしゃがんで卵を床に置くように指示し、それを食べるのだ。普通の映画の場合、定の痛みはすぐに性的暴行に分類されるのだが、この作品ではそうした判断は無用である。

どこが画期的か無料のインターネットポルノで育った世代にとっても、大島の映画で披露されている行為はまだタブーだろう。ポルノ映画以外で初めてフェラチオが登場する作品で、食べ物を入れるシーンの前には、非常に生々しいそれがある。しかし、卵が消えていくのを見て初めて、この映画の犯した罪の大きさを理解することになるはずだ。

氷の微笑(1992年)
Basic Instinct (1992)

6. 氷の微笑(1992年)

監督:ポール・バーホーベン

警察署での共演:短いスカートのシャロン・ストーン、よだれを垂らした警官たち

どんな映画かキャサリン・トラメル(シャロン・ストーン)はセクシーなミステリー作家で、アイスピック殺人の容疑者として浮上。ニットを着たサンフランシスコの警官、ニック・カラン(マイケル・ダグラス)は、彼女について捜査していくうちに​​翻弄(ほんろう)されていく……。

セックスシーン:尋問を受けている魔性の女、トラメルは氷のように冷たく、タバコを吸いながら抜け目なくクールさを保っている。そして次第に逆尋問する立場になっていく。彼女は足を組むのをやめて、下着を履いていないことを伝える。サンフランシスコ署の警官たちはネクタイを緩めたり、額を拭ったりして大騒ぎになる。

どこが画期的か挑発的なポール・バーホーベンの作品ではあるが、驚くほど卑猥 。公開はずいぶん前だが、近年でも話題に事欠かない。このシーンは映画の中では女性のセクシュアリティーを武器にしたパワープレーとして描かれているが、ストーンは回想録で次のように書いている。

「当時、『白い部分が光を反射していて、パンティーを履いていることが分かってしまう。何も見えないから、脱いでほしい』と言われた。これにはいろいろな意見があるのだけど、問題となっている『あそこ』を持っているのは結局、私。だから言わせて。ほかの人からどう見えているかは関係ないの」

 

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最後の誘惑(1988年)
The Last Temptation of Christ

7. 最後の誘惑(1988年)

監督:マーティン・スコセッシ

ベッドでの共演:ウィレム・デフォー、バーバラ・ハーシー

どんな映画か:マーティン・スコセッシの最も物議を醸した作品として知られる。ニコス・カザンザキスの同名小説を大胆に翻案し、神の子を悪徳や誘惑に負けてしまう悩める人間として描いた。

セックスシーン:十字架に磔(はりつけ)にされていたイエス・キリストの前に天使が現れ、イエスが歩んだであろう人生の幻覚を見せてくれる。その人生には、イエスがマグダラのマリアとの間に子どもをもうけることが含まれている。当然、そのためのセックスも出てくる。これは全て夢の話であり、神学的にも問題はないはずなのだが、正気を失う人が多かったようだ。

どこが画期的か:イエスが、彼のイメージにそぐわないセックスをしているということ。

 

或る夜の出来事(1934年)
It Happened One Night

8. 或る夜の出来事(1934年)

監督:フランク・キャプラ

モーテルでの共演:クローデット・コルベール、クラーク・ゲーブル

どんな映画か:クローデット・コルベールが、甘やかされた富豪の令嬢を演じるドタバタ・コメディー。彼女エリー(コルベール)は、プレイボーイの飛行士であるウェストリー(ジェムソン・トーマス)との結婚を反対する父から逃げ、彼のいるニューヨークへ向かう。

乗り込んだ夜行バスで出会ったのが、不祥事を起こした記者、ピーター(クラーク・ゲーブル)。第一印象は良くなかったが、エリーは「違う男」との駆け落ちの旅を続けることに。彼女の結婚の計画は次第に変わっていく。

セックスシーン:この場面にあるのはセックスではなく、「きわどい」状況だ。ピーターとエリーはバスが故障したため、夫婦のふりをしてホテルの部屋で一夜を過ごすことになる。ピーターは性的関係を慎しむために、2人のベッドの間にシーツを掛けた。

どこが画期的かシーツのありなしで表現していること。ヘイズ・コード(自主規制)の時代に作られた作品のため、少しでも不品行と見なされないようにこのような演出になった。

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春の調べ(1933年)
Ekstase (1933)

9. 春の調べ(1933年)

監督:グスタフ・マハティ

ベッドでの共演:ヘディ・キースラー、アリベール・モグ

どんな映画かチェコの監督、マハティがインポテンツの夫、活発な若妻、そして彼女が水遊びをしているところを目撃した男性を描いたこの熱狂的なメロドラマで、19歳のヘディ・キースラーを世界的なアイコンにした。アメリカの税関でノーカット版が焼却されるという出来事もあったが、MGMの共同創始者であるルイス・B・メイヤーは、このスター女優と契約。「ヘディ・ラマー」と名付けて、新たなハリウッドの女神を誕生させた。

セックスシーンヘディを有名にしたのは、裸がほとんどカットされた泳ぎのシーン。しかし、この映画でそれ以上に画期的だったのは、服を半分着たままでのラブシーンだ。カメラは情熱的になっていくヘディの顔をアップで捉え、床に真珠のアクセサリーが落ちた様子を象徴的に挟み込んでいる。

どこが画期的か:まさに、スクリーン上で初めて表現された女性のオーガズムだ。

 

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年)
Last Tango in Paris

10. ラストタンゴ・イン・パリ(1972年)

監督:ベルナルド・ベルトルッチ

床での共演:マーロン・ブランド、マリア・シュナイダー

どんな映画か:ベルナルド・ベルトルッチによるエロチックな物語。パリのアパートで出会った見知らぬ2人は、人目をはばからずにセックスをする。スクリーンにおける男女の対立的な交わりの代名詞となった作品だ。

セックスシーン中年男(マーロン・ブランド)はジャンヌ(マリア・シュナイダー)をフローリングにうつぶせにし、忘れられない方法でバターを使う。映画館でセックスを見ることも、「無塩」という言葉を見ることも、それまでとは違うものになるのではないかと思うほどインパクトが強い。

どこが画期的かアートフィルムの「爆弾」的存在の作品で、常に物議を醸している。1972年にニューヨーク映画祭で初公開された時は悲鳴が起き、途中で席を立つ人も。上映禁止の要求が出されて、何週間にもわたってテレビや新聞がこぞって取り上げて話題になった。

最近では、2013年にベルトルッチが、シュナイダーにバターのシーンについて事前に伝えていなかったことを告白する映像が公開され、ネット上で大反響を呼んだ(監督は、「彼はある意味で彼女を強姦(ごうかん) しなければならなかった。私は彼女に演技ではなく感情を与えたかったのだ」と発言)。監督自身もそのシーンに対する罪悪感を認めており、心の広い観客であっても性的暴力を問題視したのは理解できる。しかし、その瞬間の2人の演技の生々しさは否定できない。

さらに重要なのは、このシーンには「力ともろさの根本的な交わり」を表現するという目的があったということ。映画全体と同じくらい複雑な背景があるといえるだろう。

 

11〜20位

白いドレスの女(1981年)
Body Heat (1981)

11. 白いドレスの女(1981年)

監督:ローレンス・カスダン

ベッドでの共演:キャスリーン・ターナー、ウィリアム・ハート

どんな映画か:陰謀をたくらむ魅惑的な女性の物語。『氷の微笑』がエロティックスリラーの時代を築いた10年前、ローレンス・カスダンはこの作品で、当時の洗練された観客のために「フィルム・ノワール」を再構築した。

セックスシーン:ウィリアム・ハートが演じる独りよがりの弁護士ネッド・ラシーンは、発情した子犬のように何日も魔性の女、マティ・ウォーカー(キャスリーン・ターナー)を追い回した後、ついに彼女の隠れ家を見つける。彼女の目つきに引かれ、ラシーンは窓を割り、彼女の腕の中に飛び込む。

どこが画期的か:ほとんどの映画は、セックスを安易な刺激として使うか、物語の区切りとして使うかのどちらかだ。しかしこの映画ではそれが、ラシーンは狂気に満ちたマッチョな男であり、ウォーカーがなまめかしい女というキャラクター設定に生かされている。どちらかが、相手をだましているという点が面白い。

Tom Huddleston

ボーイズ・ドント・クライ(1999年)
Boys Don’t Cry (1999)

12. ボーイズ・ドント・クライ(1999年)

監督:キンバリー・ピアース

野原での共演:ヒラリー・スワンク、クロエ・セヴィニー

どんな映画か:1993年にネブラスカで殺害されたトランスジェンダー、ブランドン・ティーナの人生を描いた作品。ヒラリー・スワンクはこの作品でアカデミー賞を受賞した。

セックスシーン:ラナ(クロエ・セヴィニー)は、ある夜、ブランドン(スワンク)と遠い夢のように暗くて印象的な野原で、初めてセックスをした。回想シーンが挟み込まれる中、ラナはそのことを友人たちに語る。現在と過去の行き来きで、物語におけるラナの感情曲線をうまく増幅させているのだ。

どこが画期的か:この物語は悲劇と同時に、アメリカの映画界で最も文化的に著名なトランスジェンダー男性の描写として知られている(実際に出演しているのはトランスジェンダー男性ではないが)。初公開から20年たった今でも、残酷な結末は多くの人に記憶に残っているだろう。しかし、作中にはそれと同じぐらい重要といえる、希望に満ちたシーンもある。

Daniel Walber

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ディープ・スロート(1972年)
Deep Throat (1972)

13. ディープ・スロート(1972年)

監督:ジェラルド・ダミアーノ(ジェリー・ダミアーノ名義)

ベッドでの共演:リンダ・ラヴレース、ハリー・リームス

どんな映画か:恐らく史上最も有名な映画成人指定映画。23歳のラブレースが、自分のクリトリスが喉にあることを発見する女性を演じる、コミカルなセックス劇だ。

セックスシーン:リンダ・ラヴレース(同)はオーガズムを感じることができず、精神科医であるヤング(ハリー・リームス)を訪ねる。彼は、ひどくムラムラしている本物の変人。ラヴレースが異常な状態であることを発見すると、解決策として「ディープスロート」と呼ばれるテクニックを教える。そしてヤングは、自分自身が練習台になると提案した。

 

どこが画期的か:ハードコアセックスを映画界の本流へと押し上げたこと。公開時にはマーティン・スコセッシ、ジャック・ニコルソン、トルーマン・カポーティなどの著名人のほか、何百万人もの人々がこの作品を観るために映画館に足を運んだ。アメリカの一部の地域では上映が禁止されたが、そのことが拍車をかけ、さらに話題に。

撮影はマフィアから提供された2億円で行われたが、興行収入は推定570億円を記録。数年後ラヴレースが、当時の夫であるチャック・トレイナーに無理やり出演させられたと主張したことで、再び話題になった。

 

 

昼顔(1967年)
Belle de Jour (1967)

14. 昼顔(1967年)

監督:ルイス・ブニュエル

ベッドでの独演:カトリーヌ・ドヌーヴ

どんな映画か:カトリーヌ・ドヌーヴの代表作の一つ。彼女は、美しく退屈なパリの主婦で、高級売春宿の午後のシフトの仕事を引き受けたセヴリーヌを演じている。

セックスシーン:セヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と、彼女を慕う夫であるピエールは田舎の森にいて、くっつきあって馬車に乗っている。彼は「君がそんなに不感症でなければ」と言って彼女を戸惑わせた。彼女が怖がると、ピエールは御者たちに対し、セヴリーヌに猿ぐつわをして木に縛り付け、むちを打てと命令する……。恍惚(こうこつ)の表情を浮かべるセヴリーヌが​​目を覚ます。そう、全て白昼夢だったのだ。

どこが画期的か:ブニュエルは、欲望とフェティシズムを積極的に追求し、この作品を史上最も有名なエロティックな映画の一つにしている。また、セヴリーヌが二重生活を送っても罰せられないことから、ブニュエルはフェミニズムの側に立っているということが推測できる。

Cath Clarke

 

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君の名前で僕を呼んで(2017年)

15. 君の名前で僕を呼んで(2017年)

監督:ルカ・グァダニーノ

ベッドでの共演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー

どんな映画か:時は1983年。ショートパンツの丈は短く、サイケデリック・ファーズの音楽が流れている。北イタリアの夏の別荘で、敏感な10代のエリオ(ティモシー・シャラメ)は、学者の父が招いた大学院生のオリバー(アーミー・ハマー)と出会う。2人は互いに引かれ合い、エリオは大人になっていく。

セックスシーン:蒸し暑い屋根裏部屋で、性的欲求不満に苛まれているエリオ。彼はモモを手にし、親指でつぶして種を取り、できた肉厚の空洞で快楽を得た。そしてオリバーが彼を発見し、事態はさらにヒートアップしていく。

どこが画期的か:アンドレ・アシマンの高名なゲイ小説を、グァダニーノが感動的に映画化。原作の最も悪名高い場面を正しく表現し、ベルナルド・ベルトルッチが描くような、大人のエロティックな世界へと昇華させた。サンダンス映画祭で初公開されてすぐ、センセーションを巻き起こしたのもうなずける。

Joshua Rothkopf

 

ハロルドとモード 少年は虹を渡る(1971年)
Harold and Maude (1971)

16. ハロルドとモード 少年は虹を渡る(1971年)

監督:ハル・アシュビー

ベッドでの共演:ルース・ゴードン、バッド・コート

どんな映画か:ヒッピーの監督が、うつ病であり、死に取りつかれている金持ちの少年ハロルド(バッド・コート)と、楽観的で幸せそうな79歳のモード(ルース・ゴードン)との出会いを描いた物語。

セックスシーン:監督のオリジナル脚本では、ハロルドとモードの本格的なセックスシーンが盛り込まれていたが、映画会社側の意向で実現しなかった。代わりに撮られたのは。セックス後を想定したシーン。モードが眠っている間、ハロルドはベッドに座ってぼんやりしている。

どこが画期的か:この作品が作られなければ、『天才マックスの世界』(1998年)も『あの頃ペニー・レインと』(2000年)もなかったといえる。この作品以降で60歳以上の女性の性欲をジョークのネタ以外のものとして扱った映画がほかにあっただろうか。

 

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アデル、ブルーは熱い色(2013年)

17. アデル、ブルーは熱い色(2013年)

監督:アブデラティフ・ケシシュ

ベッドでの共演:アデル・エグザルホプロス、レア・セドゥ

どんな映画か:女子学生のアデル(アデル・エグザルコプロス)と美大生のエマ(レア・セドゥ)という2人の若い女性を、自由かつ率直に描いた映画。2人は恋に落ち、セックス以外の何かを長期的に共有するという課題に直面する。エロティックでありながら、深い感性を持ったこのフランス映画は、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した。

セックスシーン:アブデラティフ・ケシシュは、アデルとエマの初めての愛の営みを詳細に表現している。それは長く、何の制約もないセックスシーンだ。

どこが画期的か:6分間という時間は、一見すると長くないように思える。しかし映画館で座ってキスをしたり、吸い付いたり、なめたり、たたいたりしている場面を観ていると、その時間はとても長く感じられるといえる。終わったと思っても、まだ続きがあることに気付くのだ。

Dave Calhoun

北北西に進路を取れ(1959年)
North by Northwest (1959)

18. 北北西に進路を取れ(1959年)

監督:アルフレッド・ヒッチコック

ベッドでの共演:ケーリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント

どんな映画か:主演はヒッチコックの典型的な「 間違った男 」を演じるケーリー・グラント。外国人スパイの邪悪な陰謀によって諜報(ちょうほう)員と間違われた彼は、アメリカ中部を逃げ回っている中、エヴァ・マリー・セイントが演じるプラチナブロンドの女性と合流する。彼女は謎めいた目的のために彼の性欲を操っているようにも見えるが、それは定かではない。

セックスシーン:ラッシュモア山での大きなフィナーレを迎えた後、ロジャー・ソーンヒル(グラント)とイヴ・ケンドール(セイント)は列車の車内で仲良くなり、ヘイズ・コード(自主規制)に準拠したぎこちない口づけを交わす。その後、グラントがセイントをベッドに誘い、2人が抱き合うその時、非常に列車がトンネルに入るシーンに切り替わる。

どこが画期的か:映画史上最も大胆な二重表現で、スタジオシステムを運営する堅苦しい人々に強烈に中指を立てているものだ。また作品全体でも、映画におけるセックスジョークの金字塔といえ、バナナ、機関車、アイスキャンディー、ホットドッグ、モモなどを使った象徴的な表現は、その後の作品のひな形となった。

Andy Kryza

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チーム アメリカ/ワールドポリス(2004年)
Team America: World Police

19. チーム アメリカ/ワールドポリス(2004年)

監督:トレイ・パーカー

ベッドでの共演:2体のパペット

どんな映画か:『サウスパーク』(1997年)を生み出した人気クリエーターであるトレイ・パーカーとマット・ストーンが作った映画。彼らは、サンダーバードスタイルの操り人形という失われたアートフォーマットを用い、超大作と「赤、白、青の傲慢(ごうまん)」をミュージカルで表現。対テロ戦争、アメリカのジンゴイズム、マイケル・ベイ、セレブ文化などをからかっている。

セックスシーン:英雄的な俳優から国際警察の隊員に転身したゲイリーは、チームメートのリサに『カーマ・スートラ』の技芸を優しく教え、ギターが映えるラブバラードに促されて、突いたり、あえいだり、いろいろな体位を試したりしている。

どこが画期的か:このセックスシーンは、映像としては12歳の変態少年2人がGIジョーをカタカタ言わせているだけである。人形には性器がないにもかかわらず、サテンシーツを使った体操を披露したことで、この作品はNC-17指定(17歳以下の鑑賞は全面的に禁止)を獲得。しかし、R指定(17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要)にするためスカトロプレイ、そして特に強欲なクンニリングスはカットする必要があったようだ。

Andy Kryza

 

マイ・ビューティフル・ランドレット(1985年)
My Beautiful Laundrette (1985)

20. マイ・ビューティフル・ランドレット(1985年)

監督:スティーヴン・フリアーズ

ベッドでの共演:ダニエル・デイ=ルイス、ゴードン・ウォーネック

 

どんな映画か:1980年代半ばのロンドンを舞台にしたイギリスのコメディー映画。人種、セクシュアリティー、政治などの問題を、心地よく軽やかなタッチで描いている。主人公のオマール(ゴードン・ウォーネック)は、資本主義の夢に誘惑されたイギリス系パキスタン人青年。彼が誘惑されたのはそれだけではない。彼は地元の荒くれ者で、攻撃性と人種差別への優しさを隠し持つジョニー(ダニエル・デイ=ルイス)に引かれていく。

セックスシーン:オマールの叔父が新しいランドリーをオープン。オープニングパーティーが開かれる中で、オマールとジョニーは奥の部屋で抱き合う。

どこが画期的か:スティーヴン・フリアーズは異人種間、そして同性間の関係を、特別視していない。問題やジレンマとしてではなく、ただ楽しくて、若々しく、衝動的なものとして表現している。

 

Dave Calhoun

21〜30位

マックス、モン・アムール(1986年)
Max Mon Amour

21. マックス、モン・アムール(1986年)

監督:大島渚

ベッドでの共演:シャーロット・ランプリング、チンパンジー

どんな映画か:『愛のコリーダ』で性的タブーを払拭(ふっしょく)した日本の奇才、大島がその後手がけたのが、ブルジョワの妻が人間に最も近い動物の親戚と恋に落ちるという設定のこの作品。

 我々の想像力はスクリーンに映し出されるどんなものよりも下品であることを認識した上で、制作陣たちは洗練された風俗喜劇を作り上げた。その成功は、シャーロット・ランプリングの何事にも積極的に取り組む姿勢にも支えられているといえる。

セックスシーン:夫はパリの秘密の愛の巣にいるマーガレット・ジョーンズ(ランプリング)を発見。シーツを引くと、そこには彼女のプレメイトであるチンパンジーがいた。

 どこが画期的か:獣姦(じゅうかん)をテーマにしたコメディー映画はどれくらいあるだろうか。

恋人たちの予感(1989年)
When Harry Met Sally… (1989)

22. 恋人たちの予感(1989年)

監督:ロブ・ライナー

食堂の席での共演:メグ・ライアン、ライアンを見るビリー・クリスタル

どんな映画か:『お熱いのがお好き』(1959年)や『アニー・ホール』(1977年)と並ぶ、ロマンス映画の名作の一つ。サリー(メグ・ライアン)とハリー(ビリー・クリスタル)は12年以上も友人として過ごし、トラウマや別れ、離婚などを経験。そして、互いに引かれ合っていることに気付く。

セックスシーン:セックスはしていないのだが、Katz's Deliにおけるライアンの「フェイクオーガズム」シーンが有名だ。清楚(せいそ)な彼女が(パストラミを食べながら)絶叫して絶頂に達する。

どこが画期的か:映画の世界では、女性のオーガズムが常に避けられてきた。脚本家のノーラ・エフロンは、クライマックスをベッドルームから持ち出すことで、この問題を独創的に回避。一発芸と心に響く人生の教訓を詰め込んだ彼女の傑作脚本がなければ、『無ケーカクの命中男 ノックトアップ』(2007年)も生まれなかっただろう。

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ナインハーフ(1986年)
Nine 1/2 Weeks

23. ナインハーフ(1986年)

監督:エイドリアン・ライン

ベッドでの共演:キム・ベイシンガー、ミッキー・ローク

どんな映画か:80年代版『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015年)ともいえる、ソフトコアエロティック名作。ウォール街の裕福な仲裁人ジョン(まだモンスターではなかったミッキー・ローク)と、彼の意のままになる画廊の若い従業員エリザベス(キム・ベイシンガー)との短い関係を描いている。

セックスシーン:現代ではまさに「ウェット&メッシー」と呼ばれているプレイだ。ジョンはエリザベスを冷蔵庫の前に座らせ、ふにゃふにゃ、ネバネバしてる食べ物を与え始める。ニュービーツの『ブレッド・アンド・バター』が聴こえる中、ベイシンガーはロークが手に持つイチゴをパクつく。ロークが蜂蜜を持ち出し、2人が互いに味わうのを始めるまで、楽しそうなシーンが続く。

どこが画期的か:後に多くの​​模倣が登場。マリリン・モンローがブロンド髪で表現したことを、この映画は食べ物で実現した。

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年)
Photo: Courtesy of Universal Pictures

24. ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年)

監督:スパイク・リー

ベッドでの共演:スパイク・リー、ロージー・ペレス

どんな映画か:ある夏の最も暑い日、ピザ屋が人種対立の引き金となり、ブルックリンのベッドフォード・スタイベサント地区で、大騒動が起きる。

セックスシーン:物語がシリアスな展開に入る前、ピザ配達員のムーキー(スパイク・リー)が、無断で配達ルートから外れてしまう。向かったのは、恋人であるティナ(ロージー・ペレス)の家。ベッドの上で、ムーキーはティナの体に溶ける氷を巧みに当て、焦らす。

どこが画期的か:このシーンは間違いなく、多くのカップルに新しいアイデアを与えたはずだ。そして、緻密に組まれた物語において、完璧な判断により挟み込まれたコミカルな「幕あい」かつ「リフレッシュ要素」になっている。だからといって、ただそれだけのためにヌードが映し出されているわけではない。このシーンは、むしろ重要なことに、我々が生きる上での喜びを思い出させてくれる。

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ショートバス(2006年)
Shortbus (2006)

25. ショートバス(2006年)

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

乱交での共演:名前を挙げるには多過ぎる人たち

どんな映画か:ジョン・キャメロン・ミッチェルは、映画の中にポルノ以外の「性の場」を作ることを決意。ニューヨークのアンダーグラウンドサロンを舞台に、性の問題と可能性の展望を表現した。

セックスシーン:街が停電の中、全てが一体となって最後のクライマックスを迎える。登場人物が次々と現れ、無言で互いにほほ笑み合い、最後の性の爆発へ。到着したバンドが演奏を始めるとテンポが速くなり、みんな大いに盛り上がる。幸福とはコーラスであり、乱行なのだ。

どこが画期的か:露骨な本番行為は必ずしもポルノではない。この作品の全ての要素はそう主張している。つまりこの作品でセックスは、キャラクター作り、メタファー、アートであるということ。映画監督はそれを恐れてはいけないと訴えているようだ。

帰郷(1978年)
Coming Home (1978)

26. 帰郷(1978年)

監督:ハル・アシュビー

ベッドでの共演:ジェーン・フォンダ、ジョン・ヴォイト

どんな映画か:ハル・アシュビーの反戦ドラマ。『ディア・ハンター』 の巨大な影から逃れるために、軍人の妻と、自身の夫がベトナムに派遣されているときに出会った下半身不随の兵士との間に芽生えた愛を、親密な視点で描いている。

セックスシーン:当時バラエティー誌が「控えめなロマンティックエロティシズムの傑作」と評したこの作品の中で、サリー(ジェーン・フォンダ)とルーク(ジョン・ヴォイト)は、急展開した2人の関係を実らせる。ルークのハンディキャップは重大だが、そのことが2人のセックスの質を落とすことはなく、実際サリーは初めてのオーガズムを味わう。

どこが画期的か:ベトナム戦争では、多くのアメリカ人男性が身体的にも精神的にも大きな傷を負って帰還してきた。『帰郷』は、この問題を取り上げた最初の映画で、傷ついていても生きていることを表現するために、男性の最もデリケートな部分に焦点を当てた。

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ブギーナイツ(1997年)
Boogie Nights (1997)

27. ブギーナイツ(1997年)

監督:ポール・トーマス・アンダーソン

ベッドでの共演:マーク・ウォールバーグ、ジュリアン・ムーア

どんな映画か:大きな「あそこ」と小さな頭脳を持つダーク・ディグラー(マーク・ウォールバーグ)の壮大な成長と衰退の物語。ビデオの時代になってポルノ映画業界が衰退していく様子を描く。ポール・トーマス・アンダーソンを世界に知らしめた作品でもある。

セックスシーン:ダーク・ディグラーの初めてのセックスシーンは、ポルノ映画界を代表するベテラン女優、アンバー・ウェイブス(ジュリアン・ムーア)との組み合わせだった。大物新人の出現に驚くスタッフを尻目に、ウェイブスの温かい母性本能が若い役者を安心させる。ディグラーの新しい人生の始まりとなる「ビッグバン」を描いたシーンは、スイートなプロたちの絡みがふんだんに盛り込まれているこの作品の中でも特別だ。

どこが画期的か:インターネットポルノ時代が訪れる直前、『ブギーナイツ』は、アダルト映画を再びクールなものにするのに最適なタイミングで登場した。この作品はポルノ映画業界を盲目的に支持するものではないが、ムーアのような手腕を持つ俳優をこのようなシーンに登場させることで、ポルノへのちょっとした誠意を見せたともいえる。

カリギュラ(1979年)
Caligula (1979)

28. カリギュラ(1979年)

監督:ティント・ブラス、ボブ・グッチョーネ、ジャンカルロ・ルイ

ベッドでの共演:アネカ・ディ・ロレンツォ、ロリ・ワグナー

どんな映画か:姉と恋に落ちたローマ皇帝の堕落した治世を描いた歴史ドラマ。文学界の重鎮であるゴア・ヴィダルが脚本を担当し、イギリス人俳優のマルコム・マクダウェル、ヘレン・ミレン、ピーター・オトゥール、サー・ジョン・ギールグッドが出演するという、一見きちんとした映画だ。

しかしこの作品に1,000万ドルもの資金を提供したペントハウス誌の創業者であるボブ・グッチョーネが、作品の出来に不満を持ち、撮影終了後にひそかに露骨なシーンを撮ったという珍事が起きた。最近では、アーティスティックなものとハードコアなバージョンを選べるようになっている。

セックスシーン:後から撮影されたシーンが追加されたバージョンには、当然ながら有名なレズビアンシーンが含まれる。ペントハウス・ペットのアンニカ・ディ・ロレンツォとロリ・ワグナーが出演。3分間にわたってストーリーとは無関係の戯れを演じている。

どこが画期的か:この作品は批評家に酷評され、『バラエティ』誌は「モラル・ホロコースト」と呼んだ。イギリスでは30年間 上映禁止されていたが、今ではカルト的な人気を誇っている。ヘレン・ミレンは、この作品を「芸術と性器の魅力的な融合」と表現。2005年には、アーティストのフランチェスコ・ヴェッツォーリが、ミレンとミラ・ジョヴォヴィッチが出演するという設定の「フェイクリメイク作品」の予告編を制作した。

 

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ブラウン・バニー(2003年)
The Brown Bunny (2003)

29. ブラウン・バニー(2003年)

監督:ヴィンセント・ギャロ

ベッドでの共演:ヴィンセント・ギャロ、クロエ・セヴィニー

どんな映画か:元カノについての記憶に翻弄(ほんろう)されながら国を横断するオートバイレーサーを主人公にしたロードムービー。妄想を映像化したような作りで、いわゆる「アートフィルム」に分類される作品だ。カンヌ映画祭でこの作品を観たアメリカの映画評論家であるロジャー・イーバートは「この映画祭史上最悪の作品」と批評。イーバートに考え直してもらうため、映画祭で上映したバージョンからヴィンセント・ギャロが26分ものシーンを削ったことが話題になった。

どこが画期的か:尊敬されている俳優が露骨な本番行為をしたのは初めてのことではない。しかしこれほど献身的な仕事となったのは珍しいといえる。しかも、セヴィニーのキャリアに影響を与える可能性もあったのだ。この映画は美術館で上映されるべきだと主張し、さらにギャロと親密な関係になったことがあることを認めたセヴィニーは、このプロジェクトに参加したことを率直に誇りだと思っているという。

この最初のカンヌ映画祭での上映により、ウィリアム・モリス・エージェンシーはセヴィニーを所属から外した。しかし、それが大したことがなかったことを、セヴィニーはその後の活躍で証明していく。

地上より永遠に(1953年)
From Here to Eternity

30. 地上より永遠に(1953年)

監督:フレッド・ジンネマン

ベッドでの共演:デボラ・カー、バート・ランカスター

どんな映画か:真珠湾における運命的な日が知らずに近づいている中、実直で立派な将校(バート・ランカスター)は、上官の妻(デボラ・カー)と深い付き合いを始めてしまう。

 セックスシーン:ビーチで過ごした一日、この2人の関係はクライマックスを迎える。実際のセックスは見られず、控えめ。画面の暗転だけで表現している。

 どこが画期的か:未婚のカップルがラッコのように仲良くしている姿のようにも思えるが、そうではない。スケスケの衣装、打ち寄せている比喩的な波が見られるこのシーンは、かつてのハリウッドにしては驚くほどセクシーなものだったのだ。

31〜40位

ピンク・フラミンゴ(1972年)
Pink Flamingos

31. ピンク・フラミンゴ(1972年)

監督:ジョン・ウォーターズ

ベッドでの共演:クッキー・マーラー、ダニー・ミルズ

どんな映画か:ボルチモアで「世界で最も下品な人間」という称号を得られるのは、一人の人間しかいない。ディヴァイン(ボブス・ジョンソン)なのか、それとも嫉妬深いゲス野郎デヴィッド・ローチャリー(レイモンド・マーブル)なのか……。

セックスシーン:ピンクのトレーラーハウスに潜入したクッキー(クッキー・マーラー)は、味覚が欠けている怠け者のクラッカー(ダニー・ミルズ)と付き合うことに。2人のセックスはワイルド。鳴いている生きたニワトリが2人の間に押し込まれていることで、奇抜さがより一層増している。

どこが画期的か:『ピンク・フラミンゴ』は、今もなお、史上最も物議を醸す映画の一つである。(ネタバレになるので詳しくは書かないが)特に、最後の最後に登場する、セックスとは無関係のシーンが強烈。しかし、ニワトリと一緒のこのセックスシーンも忘れることはできないはずだ。同シーンが理由で、この作品が世界中で上映禁止になったといっても過言ではないだろう。

Joshua Rothkopf

欲望の法則(1987年)
Law of Desire (1987)

32. 欲望の法則(1987年)

監督:ペドロ・アルモドバル

ベッドでの共演:エウセビオ・ポンセラ、アントニオ・バンデラス

どんな映画か:ペドロ・アルモドバルが監督したセックスコメディーであり、メロドラマ。ゲイの三角関係を描いた唯一無二の傑作だ。ジャンルを横断した、1980年代におけるアルモドバル映画の代表作でもある。

セックスシーン:映画監督のパブロ(エウセビオ・ポンセラ)は、アントニオ(アントニオ・バンデラス)という若い男と出会い、彼を家に連れて帰る。アントニオにとっては男性との初めてのセックスで、楽しかったが、それがきっかけでいくつかの緊迫した出来事が起こる。

どこが画期的か:この作品は、アルモドバルが初めてセクシュアリティーを強調した作品ではない。しかし、現実的な世界を舞台にした最初の作品としては注目に値する。また、この作品は『マタドール〈闘牛士〉 炎のレクイエム』(1986年)の様式化された狂気と、その後のより洗練された作品との間をつなぐ重要な役割を果たしている。今でも、彼の映画の中で最も新鮮な作品かもしれない。

Daniel Walber

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セクレタリー(2002年)
Secretary (2002)

33. セクレタリー(2002年)

監督:スティーヴン・シャインバーグ

ベッドでの共演:マギー・ギレンホール、ジェームズ・スペイダー

どんな映画か:頑固な弁護士(ジェームズ・スペイダー)は、精神的に不安定な若いアシスタント(マギー・ギレンホール)を雇ってしまった。2人は、勤務時間外に逆転するサドマゾヒスティックな関係を発展させていくが……。

セックスシーン:映画の終わりに、観客はかなり甘い肉体崇拝を観ることになる。しかし多くの人が記憶しているのは、アシスタントが机の上にかがみ、パンティーをゆっくりと下ろしている姿だろう。

どこが画期的か:合意の上での支配と服従は、多くのインディーズ映画の底流。しかし、この映画はそれにもう一つの意味合いを重ねている。つまり、2人の間におけるときには暴力的な親密さを称賛しつつ、ギレンホールを初めて成功に導いた作品でもあるのだ。彼女は、活躍の場を与えられてとても自信に満ちあふれている。『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015年)も、きっとそのことを羨ましがっているだろう。

Joshua Rothkopf

アイズ ワイド シャット(1999年)
Eyes Wide Shut

34. アイズ ワイド シャット(1999年)

監督:スタンリー・キューブリック

ベッドでの共演:大勢の裸のエキストラ

どんな映画か:マンハッタンの裕福な医師(トム・クルーズ)は、自分の妻(ニコール・キッドマン)がかつて船乗りに誘惑されたことがあると知り、満たされない性の旅に出る物語。スタンリー・キューブリックの遺作でもある。

セックスシーン:セックスをテーマにした映画にしては、それほど多くのセックスは盛り込まれていない。むしろ、ニューヨークの夜を舞台にした主人公の旅は、壮大な「機会損失」の旅となっている。

それはともかく、モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPAA)がこの作品をNC-17(17歳未満入場禁止映画)指定にしたのは、やはりセックスが多過ぎたからだと思われる。それに対してワーナー・ブラザースの解決策は、象徴的な乱交シーンの多くを、CGIエフェクトでシルエットにして隠してしまうことだった。キューブリックが墓に入ってからまだ数カ月しかたっていなかったが、中で怒っていたに違いない。

どこが画期的か:監督の同意を得ずにセックスシーンをデジタルで変更する、非常に危うい前例となった。さらに良くないことにその後、映画制作者がそうしたことに同意してしまうこともあった。『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』(2011年)でのレスリー・マンのCG生成された胸を覚えているだろうか。そもそも、この映画のことを忘れているかもしれないが。

David Ehrlich

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運命の女(2002年)
Unfaithful (2002)

35. 運命の女(2002年)

監督:エイドリアン・ライン

ベッドでの共演:ダイアン・レイン、オリヴィエ・マルティネス

どんな映画か:ニューヨーク市の郊外に住む裕福な夫婦が崩壊していく物語。妻のコニー(ダイアン・レイン)は、フランス人の古本商、ポール(オリヴィエ・マルティネス)と出会い、自由奔放な魅力に引かれていく。

セックスシーン:この作品には不倫関係が満載だが、最もセクシーなのは、メトロノース鉄道に乗って帰宅するコニー(レイン)が、汗だくになった午後の記憶を頭の中に思い浮かべ、顔を赤めるシーンだ。

どこが画期的か:『危険な情事』(1987年)を監督して名声を得たラインが、一転してクレイジーではない女性に権力(と共感)を与えているのはうれしいことだ。また、リチャード・ギアを寝取られ役に降格させたことは、どこか大胆なことのように思える。レーンはその繊細な演技で、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

Joshua Rothkopf

ワイルド・パーティー(1970年)
Beyond the Valley of the Dolls

36. ワイルド・パーティー(1970年)

監督 : ラス・メイヤー

ベッドでの共演 : エディ・ウィリアムズ、デビッド・ガリアン

どんな映画か : ロックなガールズグループ『キャリー・ネイションズは、一千金を狙ってロサンゼルスに向かう。ワイルドなパーティーシーンに存在するその快楽が、彼女たちの理性を徐々に奪っていく。

セックスシーン : 貪欲なポルノスター、アシュリー(エディ・ウィリアムズ)は、バンドマネージャーのハリス(デビッド・ガリアン)にロールスロイスで近づき後部座席に招き入れ、パンティーを脱いで悲鳴を上げながら性交する。

どこが画期的か : ドキュメンタリー映画『ライフイットセルフ』のマーティン・スコセッシが顔を赤らめながら名前を挙げたこのメロドラマは、「ロールスロイスに勝るものはない」というブランド意識をあえぎ声の中に挿入することで、コミカルな作風に仕上げている。メイヤーが監督した作品の中にはもっときわどいものもあるが、この作品はカルト界の「Gスポット」を見事にさえているとえるだろう。

Joshua Rothkopf

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ブエノスアイレス(1997年)
Happy Together (1997)

37. ブエノスアイレス(1997年)

監督 : ウォン・カーウァイ

ベッドでの共演 : トニー・レオン、レスリー・チャン

どんな映画か : ブエノスアイレスに住む香港人の駐在員をトニー・レオンとレスリー・チャンによって描く、ロマンチックなラブストーリー。ウォン・カーウァイがカンヌ映画祭で監督賞を受賞した。

セックスシーン : 南米の暑い夜、ベッドに横たわる2人の主人公。ウォンのフィルモグラフィーは、監督自身の憧れをテーマにした作品が多いが、本作はかつてないほどの露骨な情熱を放つ。まずキスをし、そして2人は狂おしい愛に流されていく。それは唐突でエロティックなものに変わり、激しくベッドをきしませる。

どこが画期的か : 当時、香港の大スターであったレオンが、ゲイロマンスに出演を果たしたことで多くのファンを驚かせたのは有名な話だ。一方ポップスターのチャンは、自分がバイセクシャルであることを世間に公表するのを控えていた。

その後、本作がカンヌ国際映画祭で上映された同じ年に、彼はコンサート会場で幼なじみのダフィー・トン・ホクタクと同性交際の関係にあることを発表。トン・ホクタクはチャンが亡くなる2003年まで、常にパートナーとして隣にいた。

Daniel Walber 

イディオッツ(1998年)
The Idiots (1998)

38. イディオッツ(1998年)

監督 : ラース・フォン・トリアー

ベッドでの共演 : イェンス・アルビヌスアンヌ・ルイーセ・ハシングトレルス・リュビュー、ボディル・ヨルゲンセン

どんな映画か : ドグマ95ムーブメントの公式作品としては2作目となる、ラース・フォン・トリアーの挑発的な作品。カレン(ボディル・ヨルゲンセン) はある日立ち寄ったレストランで、知的障害者のまねをする健常者のグループに出会う。自分の人生から逃れようと、カレンは次第に彼らに近づいてくのだった。

セックスシーン :障害者のふりをしながら暮らす「イディオッツ」はデンマーク郊外の家に引きこもり、行き当たりばったりの乱交パーティーを始める(彼らはこのパフォーマンスを「Spazzing」と呼んでいる)。ある日カレンは、新しい仲間たちの異常な光景を目撃するのだった。彼らはリビングルームの床で裸体をき出しにしながら、勃起したペニスを四方八方に突き出したり、うめき声を上げながら演技で手足を震わせていた。

どこが画期的か : 『イディオッツ』がその当時いた種は、16年後の『ニンフォマニアック』(​ 2013年​)として開花した。本作はフォン監督が初めてスクリーン上で「勃起したペニス」を描いた歴史的な作品だ。同シーンでは、シミュレーションなしのセックスをしているかのように錯覚させるため、演出用に作られた性器を撮影に導入している(挿入シーンは1回だけで、出演者の顔は出ていない)。

しかし、最終的に最も物議を醸したのは、フォン・トリアー が障害者の特徴を演技に取り入れようとしたことだった。このプロジェクトのモラルについての意見は別として、本作は監督が観客と出演者の性的興奮を浮きりにさせるためには手段を選ばない、といった部分が垣間見えている。

David Ehrlich

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恋する女たち(1969年)

39. 恋する女たち(1969年)

監督 : ケン・ラッセル

ベッドでの共演 : アラン・ベイツ、オリヴァー・リード

どんな映画か : 1920年に出版されたD.H.ロレンスの2人の姉妹の恋愛を描いた小説を、イギリス人の監督ケン・ラッセルと、同性愛の脚本家の草分け的存在であるラリー・クレイマーが官能的にアレンジした作品。

セックスシーン : 悪名高い存在になってしまったルパート(アラン・ベイツ)とジェラルド(オリヴァー・リード)はリビングで、燃え盛る火のそばに座っている。ジェラルドは「自分自身をしっかり見ていないと、何かおかしなことをしそうな予感がするんだ」とささやいた。気がつくと2人は全裸で取っ組み合い、床に転がりながらたたき合っている。それが終わるとルートがジェラルドに一言つぶやく。「やりぎたか?」

どこが画期的か : 実際にはセックスとは違うが、その強烈な愛の形は笑い話になるほどのものだ。しかし当時、このシーンはかなり先進的に見えたに違いない。ラッセルは、映画界の中でまだ誰も試みていなかった、究極のブラザーロマンスを私たちにせてくれた。

David Ehrlich

欲望(1966年)
Blow-Up (1966)

40. 欲望(1966年)

監督 : ミケランジェロ・アントニオーニ

ベッドでの共演 : デヴィッド・ヘミングス、ジェーン・バーキン、ジリアン・ヒルズ

どんな映画か : イタリアの巨匠アントニオーニが初めて英語で製作した作品で、陰謀の中で起こる殺人に遭遇する写真家を描いている。そして世界中の観客にスウィンギング・ロンドンの存在を印象付けた。

セックスシーン : ヒップスターな写真家のトーマス(デヴィッド・ヘミングス)は、無名のモデル2人(ジェーン・バーキン、ジリアン・ヒルズ)を「撮影」のためにアパートへ招待する。衣装が乱れ、薄手のシーツと破れたレギンスが空を舞い、手足を絡ませながら彼女たちはスタジオで大暴れするのだった。

どこが画期的か : イギリスで初めて大画面で陰部が公開されたことでも有名。古い社会の終わり、そして新しい社会の混乱した部分がにじみたような作品だ。

Tom Huddleston

41〜50位

私は好奇心の強い女 イエロー篇(1967年)
I Am Curious (Yellow) (1967)

41. 私は好奇心の強い女 イエロー篇(1967年)

監督 : ヴィルゴット・シェーマン 

ベッドでの共演 : レナ・ニーマン、​​ボニエ・アールステット

どんな映画か : セックスと政治、そして大人の社会の複雑さに対して、自由奔放な20歳の若者が真っ向から体当たりする。

どんな映画か : セックスと政治、そして大人の社会の複雑さに対して、自由奔放な20歳の若者が真っ向から体当たりする。

セックスシーン : レナ(レナ・ニーマン)は眠っている彼氏の体に顔をゆっくりと近づけ優しくキスをする。

どこが画期的か : スウェーデン発の挑発的な本作は、わいせつ罪でアメリカの裁判にかけられるという歴史を持つが、最終的には勝訴したポルノ映画界の先駆的な作品。しかし、マサチューセッツ州では放映が禁止され、さらにヒューストンの劇場ではこの映画を上映したことで市民から反感を買い、映画館は放火により全焼してしまった。

Joshua Rothkopf

エマニエル夫人(1974年)
Emmanuelle (1974)

42. エマニエル夫人(1974年)

監督 : ジュスト・ジャカン

ベッドでの共演 : シルア・クリステル、その他複数

どんな映画か : 1970年代にフランスで大流行した作品。タイに住む外交官夫人のエマニエル(シルビア・クリステル)が、男女を問わず自由に快楽を味わう様子を描いている。

セックスシーン : この映画がこれほどまでに注目されたのは、セックスシーンの豊富さだ。自慰行為やいくつかのレズビアンシーン、女性が膣(ちつ)でタバコを吸うショットなど、過激な映像が検閲の対象となった。

どこが画期的か : この作品がリスト入りしたのは、エマニエル夫人が世界へもたらした影響、そしてそこから派生した模倣作品がいくつもあることが理由だ。『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972年)に続いて登場したこの作品は、当時の批評家の多くが「出来が悪く、意図が疑わしい」と批判した。しかしそれにもかかわらず、本作が大作エロティカに尊敬の念を抱かせ、ソフトコアポルノを主流にしたのも事実だ。

Dave Calhoun

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ハロウィン(1978年)

43. ハロウィン(1978年)

監督 : ジョン・カーペンター

ベッドでの共演 : P・J・ソールズ、ジョン・マイケル・ グラハム

どんな映画か : ジョン・カーペンターは、10代の若者を狙う顔のない連続殺人犯を描いた低予算のスリラー映画を制作した。そしてこの作品はスラッシャー映画の先駆けとまではえないが、大ヒット。スリラーのジャンルの価値を、世に広めるきっかけをった。

セックスシーン : おしゃべりな高校生リンダ(P・J・ソールズ)と少し頭の足りないボーイフレンドのボブ(ジョン・マイケル・グラハム )は2階の両親のベッドでセックスを始める。しかし彼らは、下の階に殺人鬼が潜んでいることを知るよしもなかった。

どこが画期的か : カーペンターが意図したかどうかは別にして、本作は、60年代が盛り上がりのピークから崩壊へと向かう瞬間を提示しているようだ。野蛮で性的に乱れた10代の若者に対しての敬意は、この映画には存在しない。保守的な時代であり、下品な行為を行う若者に対しては突然の血なまぐさい死がれる。しかし、代わりに処女のヒロインだけが助かるという演出だ。

Tom Huddleston

 It Is Fine! Everything Is Fine. (2007年)
It Is Fine! Everything Is Fine. (2007)

44.  It Is Fine! Everything Is Fine. (2007年)

監督 : デヴィッド・ブラザーズ、クリスピン・グローヴァー

ベッドでの共演 : スティーブン・C・スチュート、キャリー・スラザ

どんな映画か : 俳優のクリスピン・グローヴァーの2度目の監督作品(ここではデビッド・ブラザーズとコンビを組む)で、脳性まひを患うスティーブン・C・スチュワートが脚本と主演を務めた作品。病院の床で死を迎えようとしている障害者の視点からのおぞましいセックス、そして暴力のファンタジーの語りでストーリーが進む。

セックスシーン : ポール(スチュート)は体は不自由だが性的な欲求は健在。彼女の喉に手を回すという露骨なしぐさから、セックス好きのカルマ(キャリー・スラサ)をベッドに誘い込む。

どこが画期的か : 映画の中で勃起している男性の姿を見るのは、まだかなり珍しいことだ。それも重度の障がいのある男性が、誇りを持ってそのイチモツを披露する姿にはユニークささえも感じられる。グローヴァーの作品に対する評価は賛否両論。粗野で、女性差別的ともえる。しかし同時に対象となる人物に深く影響を与え、共感を呼ぶ力がある。スチュワートは、撮影が終了したわずか1月後に亡くなっており、完成した作品を自ら視聴することすらかなわなかった。

Tom Huddleston

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ワイルドシングス(1998年)
Wild Things (1998)

45. ワイルドシングス(1998年)

監督 : ジョン・マクノートン

ベッドでの共演 : デニス・リチャーズ、マット・ディロン、ネーヴ・キャンベル

どんな映画か : フロリダを舞台に、教え子の女子高校生ケリーを自宅でレイプしたとして彼女の母親から訴えられる高校教師を描いた、エロティックサスペンス。

セックスシーン : 犯罪を魅力的なものへと変貌させてしまう演出がこの作品の特徴。サム(マット・ディロンスージー(ネーヴ・キャンベルケリー(デニス・リチャーズ の3人が裸になってプールで3Pするシーンには、思春期の少年少女が経験するようなドキドキ感がある。

どこが画期的か : ハリウッドの映画では、グループセックスを演出に組み込むことは少ない。そして「このような教師と生徒の関係は不適切である」と訴える人も多い。しかし本作のプールシーンは、これから起こるての悪行の中心となるかのような、焼きつくような刺激を見る者に与えてくれる。

Joshua Rothkopf

さらば、愛の言葉よ(2014年)
Goodbye to Language (2014)

46. さらば、愛の言葉よ(2014年)

監督:ジャン=リュック・ゴダール

ベッドでの共演:リチャード・シュヴァリエ、ゾー・ブルノー

どんな映画か:ジャン=リュック・ゴダールによる3D映画。実験的に撮影したこの作品は、立体映画の常識を覆している。2組のカップルの関係を抽象的に描いた作品。

セックスシーン:本作品には実際のセックスシーンはない。しかし、ヌードのシークエンスは観客にインタラクティブなエフェクトを与え、人々の記憶を変えてしまうだろう。俳優のリチャード・シュヴァリエとゾー・ブルノーが裸で会話をしているとき、ゴダールは3Dカメラをそれぞれの目に当てて撮影した。この撮影方法により一つのシーンが分割されることになる。その結果、片方の目を閉じればブルノーの陰毛が見え、もう片方の目を閉じればシュヴァリエの緩んだペニスが見える、というように視聴者が自分で作品の描写を選ぶことができる不思議な効果を作り上げた。

どこが画期的か:映画を撮影するために発明された多くの技術革新と同様に、3Dという技術も最終的にセックスを撮るためにも使用されている(本作よりもはるかに早い段階で)。

ゴダールは3D技術に独特の感覚をもたらし、結果的にパートナーを選ぶことができるという、最初の映画を作り上げた。上映会では、周りの観客が片方の目を閉じてもう片方の目を開ける音が聞こえてくるような、奇妙な感覚を感じるだろう。

David Ehrlich

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千夜一夜物語(1969年)
 

47. 千夜一夜物語(1969年)

監督:山本暎一

ベッドでの共演:アラジン、ミリアム

どんな映画か:手塚治虫が脚本を担当した壮大なアラビアンナイト・ファンタジー。ストーリーは、アラジンが体つきのいい奴隷の少女や、服を脱ぐ赤毛の女戦士、そして島中の裸の女性たちと絡み合い、さまざまな災難(主に性的な)に見舞われるという内容である。1969年に制作されたとは思えないサイケデリックな映像は、この時代の日本にも幻覚剤が存在していたことを示唆するかのようだ。

セックスシーン:美しい曲線美のミリアムが高値で売られるのを助けたアラジンとの初夜のシーンでは、突如アニメが非常にトリッピーな映像に変わる。紫色の肌とたくさんの花のモチーフが印象的だ。

どこが画期的か:本作は、現在の「ヘンタイ」映画のサブジャンルの先駆けとなった作品。

Trevor Johnston

クラッシュ(1996年)
Crash (1996)

48. クラッシュ(1996年)

監督:デビッド・クローネンバーグ

ベッドでの共演:ジェームズ・スペイダー、ホリー・ハンター

どんな映画か:JGバラードが1973年に発表した小説を、鬼才デヴィッド・クローネンバーグが映画化。自動車事故により性的に興奮する人々をダークな雰囲気で描いている。

セックスシーン:この狂気と天才のはざまにあるアンチドラマには、不適切なシーンがいくつもある。しかし、駐車場でスペイダーが事故の被害者であるハンターの足の縫合部分に自分の体を擦りつけるシーンは、心配になるほど印象的だ。

どこが画期的か:傷のあるセックス。そのことについて説明する必要があるだろうか?クローネンバーグは常に肉体の性的倒錯に関心を持っている。彼の深いアイデアはやはり挑発的なもので、私たちがそれらのフェティシズムを楽しむようになり、そこから距離を置かなくなるよう働きかけている。

表向きは死の教団を描いた映画だが、拷問された肉ときらびやかに光る金属を、気が遠くなるような方法で融合させている。

Joshua Rothkopf

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アメリカン・パイ(1999年)
American Pie (1999)

49. アメリカン・パイ(1999年)

監督:ポール・ワイツ

ベッドでの共演:ジェイソン・ビッグス、シャノン・エリザベス

どんな映画か:卒業までに童貞を捨てたい4人の仲間を描いたハイスクール・バージン・コメディ

セックスシーン:『アメリカン・パイ』のタイトルの由来となったシーンを選ぶこともできた。 現実的に考えてティーンエイジャーが焼き菓子と「ヤッている」光景は、かなり画期的なものであるとえるからだ。

しかしその代わりに、ジェイソン・ビッグス演じるジムが東欧人の美女、ナディア (シャノン・エリザベスに誘惑されたにもかかわらず、残念ながらラブトレインから1、2駅早く降りてしまう、という名シーンに一票を入れることにしよう。

どこが画期的か:21世紀の入り口に、刺激的なティーンセックスコメディを先駆けて送り込んだアメリカン・パイ。本作にりばめられた先見性ある目玉シーンの数々は、ティーンの「卒業白書」として映画を定着させただけでなく、インターネットがセックスの在り方を永遠に変えてしまうであろうことを予測させた。

David Ehrlich 

天国の口、終りの楽園(2001年)
Y Tu Mamá También (2001)

50. 天国の口、終りの楽園(2001年)

監督:アルフォンソ・キュアロン

ベッドでの共演:ディエゴ・ルナ、ガエル・ガルシア・ベルナル、マリベル・ベルドゥ

どんな映画か:アルフォンソ・キュアロンは、『グラビティ・ゼロ』(2013年、この映画にはセックスシーンが必要だった)を製作する10年以上前に、この作品でブレイクしている。若き日のディエゴ・ルナとガエル・ガルシア・ベルナル演じる親友2人が、美しい人妻を連れて狂おしいほど官能的なドライブ旅行をする青春映画。

セックスシーン:この映画のクライマックスといえばディエゴ、ガエル、そしてマリベル・ベルドゥの3人がジュークボックスのメロディに合わせて海辺で踊る、という名シーン。マリベルがフレームの下に落ちていき、人妻を奪い合ったはずの親友2人がゆっくりとキスを交わすのだ。

どこが画期的か:逆説的にえば無償のセックスシーンほど記憶に残る傾向がある。この作品の最後に登場する「メナージュ・ア・トロワ(フランス語で三角関係の意味)は、それらと同様に重要な意味を持つ。ブロマンス(男性同士の強い友情)を中心に描かれたこの映画のクライマックスでは、不安の中で維持されていたジェンダーの力関係やルールが突然崩れ、性的なアイデンティティーさえ粉々になってしまう。

最後のこのシーンでは、映画全体が最初から性の自由のために構築されていたことを感じ取ることができるはずだ。

David Ehrlich

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