Marijuana
Photograph: Terre di Cannabis / Unsplash

ニューヨークの大麻合法化で期待される4のこと

大麻業界のリーダーたちに聞く、この街における大麻の未来

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Shaye Weaver
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ニューヨーク州で大麻が合法化された今、この街では文化的に大きな変化が起きている。娯楽用の大麻をいつでも3オンス(85.05グラム)まで合法的に所持できるようになった。今後数年間で、より多くの大麻ディスペンサリー(販売所)がオープンし、娯楽用の大麻や大麻製品が販売される。文化的な規範も緩和され、さらには観光業にも大きなブームが訪れるだろう。

そこで、大麻業界のリーダーたちに、ニューヨーカーが近い将来に期待できること、特にニューヨークにおける大麻の将来について話を聞いた。

1. 汚名返上と雇用増加、税収拡大につながる

大麻がニューヨークで合法化されたことで、まず秘密裏に扱われる必要がなくなる。その結果、アフリカ系やラテン系ニューヨーカーが受けていた、麻薬関連の検挙における人種的に偏った扱いが減ると期待される。さらに雇用の増加、税収拡大という利点もある。詳細を見ていこう。

新法では、街の歩道やタバコの喫煙が可能な場所であれば、大麻を吸うことが認められる。つまり、これまで屋内で身を隠して生活していたような21歳以上の人たちが、これからは外で自由に大麻を楽しめるようになるのだ(ただし、公園、ビーチ、遊歩道、歩行者用広場、遊び場は除く)。

2018年、マサチューセッツ州グレート・バリントンに住むシャーロット・ハンナは、同州で大麻が合法化されてから2年後、大麻ディスペンサリー、Rebelleをオープン。彼女はすぐに、自分の店に「さまざまな職業の人たち」がやって来るのを目の当たりにした。

「隣人、教師、親たち、さらには60代の親と成人した子どもが一緒に暮らすような多世代の家族など、さまざまな人がこの店に魅了されています。それまでタブーとされ、隠れた存在だったものが、そんな風に変わったのです。ニューヨークでもそうなるといいですね」と、ハンナはその時の変化について教えてくれた。

さらに重要なのは、この合法化によって大麻所持が犯罪でなくなるということだ。旧法で有罪判決を受けた人々の記録も、文字通り抹消される。大麻の合法化によって生まれた税収の40%をこれまで麻薬関連の検挙で人種的に偏った扱いを受けてきたアフリカ系やラテン系コミュニティーに、40%を公共教育に、20%を薬物の治療や予防、そして教育に充てられることも決まっている。

雇用増加への期待も大きい。ニューヨーク市内のディスペンサリーの増加、市外でも生産施設が増えることで、より多くの雇用が創出されると見込まれている。ハンナによるとマサチューセッツ州では、この業界、特に大麻製品の製造分野で多くの雇用が増加。州内の古い製紙工場や繊維工場が多くの企業により再開発されることで、景気回復をもたらしているという。

大麻の栽培、製造、流通、販売など、業界全体で新たに生まれるビジネスや雇用の規模は驚異的だ。ニューヨークでは、娯楽用市場で年間約3億5,000万ドル(約378億円)の税収と数十億ドル(数千億円)の売上が見込まれている。これだけの収入があれば、大麻を巡る文化的風潮が時間とともに好転していくのは当然のことともいえる。

Rebelle products
Courtesy: Rebelle

2. スモーキングラウンジの登場

大麻が喫煙できるソーシャルラウンジはすぐにできるわけではない。ただニューヨーク州の法律では、最終的にはラウンジや「消費場所」で大麻製品を使用することができるようになるとしている(また、自宅に大麻を届けてもらうこと、個人使用のために6本までの大麻を栽培することが可能になる)。

残念ながらマサチューセッツ州では、合法化から4年たった今でもそのような施設はオープンしていない。州は必要とされているライセンス等級の準備をまだ整えておらず、顧客はディスペンササリーで買った製品をその場で消費することができないのだ。

ニューヨーク州では、2021年中に大麻管理室(Office of Cannabis Management)が設立し、娯楽市場、既存の医療用マリファナやヘンププログラムを統制し始める予定だ。ただ、監理委員会を5人のメンバーが就任するまでは業務がスタートしないため、しばらくは待ちの状態が続くことになるだろう。

アメリカの複数の州で大麻事業を展開し、ニューヨークで医療用大麻薬局、FP Wellnessを経営するGreen Thumb Industries社の創業者兼最高経営責任者(CEO)、ベン・コヴラーは、ラウンジであれクラブであれ、そうした空間が確実に必要になってくると指摘。大麻についても、酒類のように買った場所での消費が求められるようになると考えている。

Rebelle
Courtesy: Rebelle

3. ディスペンサリーと郊外生産施設のオープン

ルールが整い、娯楽用大麻の販売ライセンスを申請できるようになるのは、おそらく1年以上先になると見込まれている。その後は、ニューヨークでも新しいディスペンサリーがオープンし、医療用大麻のみを扱っているディスペンサリーは、娯楽用も販売するようになるだろう。

2020年時点で、マサチューセッツ州内の大麻ディスペンサリーの数は約100店。ハンナによると、ディスペンサリーライセンスの導入は「かなり遅い」ようで、法律が成立してから申請が開始されるまで、約18カ月かかったそうだ。

医療用大麻ディスペンサーやCBDやクラトムを販売する事業者は、それでもすでに準備を始めている。全米に36店舗を展開し、チェルシーにニューヨーク第1号店をオープンしたばかりのCBD Kratomは、ニューヨーク州でライセンスが取得可能になったと同時に、娯楽用大麻製品を提供する予定だ。すでにデルタ-8-THC成分を含む製品は販売しているが、同社の共同経営者の一人であるダフナ・レヴァは、さらに多くの商品を提供できる機会を楽しみにしていると次のように語っている。

 「この法律がどのように定められているのか、人々は注目し、情報を待っています。私たちは当然、この法律も受け入れていますし、提供する製品を増やせることを喜んでいます」

 CBD Kratomの拠点はセントルイスで、これまでもニューヨーカーが合法的なCBD製品をオンラインで注文することが多かった。そのため、レヴァと彼女の夫でありビジネスパートナーでもあるデイヴィッド・パラトニックにとって、ニューヨークに新店舗をオープンすることは当然の選択だろう。彼らは、娯楽用大麻が合法化されたばかりのこの州で、ビジネスが拡大する可能性がさらに高まっていることを十分に分かっているのだ。

前途のGreen Thumb Industries社では、現在ニューヨークで展開する4店舗の医療用大麻のディスペンサリーを8店舗へと拡大。2022年後半には、かつて大麻所持で多くの人が投獄されていたニューヨーク州ワーウィックの元連邦刑務所内に、5,000万ドル(約54億円)をかけて大麻製品の製造工場を新設する計画を立てている。

コブラーは「市場は巨大です。合法化されたということは、たくさんのチャンスがあるということ。2020年、ニューヨークの医療用マリファナ産業は1億1,000万ドル(約約119億)でしたが、今後は、その50倍になるでしょう。これはグレート・アメリカン・ストーリーであり、うまくいけばすごいことになります」と語り、ビジネスの大きな成長に期待を寄せている。

彼は、ニューヨーク州が業界がうまく機能するために必要なインフラを、時間をかけて整備することを期待している。同時に同州の規模では、イリノイ州のように6カ月で申請手続きを開始することは不可能で、多少の時間がかかることも覚悟しているようだ。

People weeding a garden.
Photograph: Supplied


4. 大麻ツーリズムと大麻を交えた新たな楽しみの創出

ニューヨークでディスペンサリーができるまでの間、これまで娯楽用の大麻が合法化されている場所では、大麻を求める観光客が押し寄せることになるだろう。まさに「大麻ツーリズム(Canna-tourism)」の台頭だ。

グレート・バリントンにあるハンナのディスペンサリーには、毎週末、ニューヨークから車で2時間半かけて買い物に来る客もいるそうだ。なかには、ニューヨークとの間にある全てディスペンサリーを回る大麻ツアーの一環として訪れる人たちもいるという。

ハンナは最終的に彼女の住む街が属するバークシャーズ郡のような地域が、大麻の「ナパバレー」のようになり、ディスペンサリーでテイスティングルームのような体験ができるようになればいいと考えている。

すでにマサチューセッツ州などでは、「パフ・パス・アンド・ペイント・ナイト(吹かして、回して、絵を描く夜)」「パフ・バス(大麻ラウンジバス)」「バッド・アンド・ブレックファスト(大麻B&B)」といったイベトやサービスが見られ始めている。

ハンナは、これまで幾度となくさまざまなことをリードしてきたニューヨークだけに、議員が業界の声に耳を傾けて創造性を発揮することができれば、大麻についても新しい道を切り開くことができると信じていると、次のように語った。

「私はニューヨーカーを100%信頼しています。彼らは大麻産業をとてもクリエーティブで最先端のものにしてくれるでしょう。あの街は特別なのです。私たちはニューヨークの創造性と感性をこの大麻の業界にもたらすことが、いよいよできるのです」

原文はこちら

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