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岡本太郎は、近現代の日本美術史の中でも最もよく知られたアーティストの一人だろう。大阪府にある、『太陽の塔』の作者であるといえば、多くの人がイメージしやすいのではないだろうか。その岡本の大回顧展『展覧会 岡本太郎』が、2022年10月18日(火)から12月28日(水)まで東京都美術館で開催される。


今回の展示は、岡本没後最大規模となる展示。川崎市岡本太郎美術館と渋谷区の岡本太郎記念館が中心になり、これに国内外の作品が加わることで、彼の活動の全貌を明らかにしようと試みる。
展示は、「第1章 ”岡本太郎”誕生」、「第2章 創造の孤独」、「第3章 人間の根源」、「第4章 大衆の中の芸術」、「第5章 ふたつの太陽」、「第6章 黒い眼の深淵」の6章構成。その中でも注目されるのは、第1章で展示される岡本の初期作品だ。
岡本は1930年代にパリに滞在しているが、この時期の作品は、戦災で全て焼失している。そのため、当時の作品は、1937年にパリで発刊された岡本の画集『OKAMOTO』掲載の図版と、戦後に再制作された『空間』(川崎市岡本太郎美術館)、『傷ましき腕』(川崎市岡本太郎美術館)、『コントルポアン』(東京国立近代美術館蔵)、『露店』(ソロモン・R・グッゲンハイム美術館蔵)の4作品からしかうかがい知ることができない。


本展示では、これまで国内で見ることがかなわなかった『露店』が40年ぶりに里帰りし、これら4点が一堂に会する。『露店』は1949 年に『傷ましき腕』とともに再制作され、岡本がパリでシュルレアリスムの影響を受けた時期の作品として位置付けられており、岡本が国際的に認知されていたことを示す貴重な作例だ。
ほかにも、第3章では岡本と縄文土器など日本文化や呪術的な世界観とのつながりを概観、第5章では『太陽の塔』と渋谷駅に設置されている『明日の神話』についてドローイングなどの資料を展示するなど、各章ごとに見どころがあふれている。
芸術の秋にこそ「芸術は爆発だ」と語った岡本の作品を堪能してもらいたい。
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