テクノ屏風
Photo: Keisuke Tanigawa

YMOのアルバムジャケットを屏風に施した「テクノ屏風」、3月26日まで弘法寺で展示中

予約をすれば無料で鑑賞可能、「テクノ屏風」について知っておきたい3のこと

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
広告

「テクノロジー(Technnology)」の語源であり、芸術、技術、技巧を意味するギリシャ語の「テクノ(Techno)」は、科学技術だけでなく、最先端を表す接頭語としても使用されている。この「テクノ」というものをアートピースとして体現したのが、ユーマ社が20周年記念プロジェクトとして立ち上げた「テクノ屏風(TechnoByobu)」だ。

2023年3月3日には、YMOのワールドワイド版ファーストアルバム「Yellow Magic Orchestra」のアートワークを屏風(びょうぶ)に施した第1弾作品「Electronic Fan Girl」の販売をスタートし、大きな話題に。ここでは、同日に行われた「テクノ屏風 開封の儀」の様子も交えながら「テクノ屏風」の魅力を3つの切り口で紹介する。

テクノ屏風
「テクノ屏風 開封の儀」の様子(Photo: Keisuke Tanigawa)

現在、港区の弘法寺ではこの「Electronic Fan Girl」を3月26日(日)まで展示中。こちらから事前予約をすれば、誰でも無料で鑑賞することができるので、ぜひこの機会に実物の美しさを体感してほしい。

1. 世界が注目する日本の伝統技術
職人の技術を結集した伝統工芸品にテクノを表現したアートワークを重ね、さらにデジタル証明書(NFT)も実装した「テクノ屏風」は、まさにテクノというものが幾重にも重なったアートピースだ。

「Electronic Fan Girl」のベースとなる屏風を手がけたのは、広島県で1905年に創業した歴清社。同社は、本金箔(きんぱく)と同様の美しさを持ちながらも、100年以上変色することのない真ちゅう製の箔(はく)、洋金箔を使った箔押し紙を開発したことでも知られる企業だ。洋金箔を使った金紙の製造方法は、唯一無二の伝統技術として海外でも認められているのだという。

テクノ屏風
「テクノ屏風 開封の儀」でのトークイベントに登壇した、歴清社の久永朋幸(Photo: Keisuke Tanigawa)

創業時から挑戦的な姿勢であった歴清社だが、同社代表の久永朋幸は「箔紙を傷めずにインクジェットを乗せること」が「Electronic Fan Girl」での新たな挑戦だったと話す。箔に色を乗せる上で苦戦したことも多かったそうだが、完成した作品は、肌の質感や唇のピンクの発色など見とれるような美しさが印象的。まさに、創業時から受け継がれてきた技術と、年々進化するデジタル技術が融合したからこそ誕生した作品だといえるだろう。

2. 国内外を代表するアーティストが手がけた名アートワーク

第1弾では、アーティストのルー・ビーチ(Lou Beach)が「Yellow Magic Orchestra」のジャケットのために作成したアートワークが採用されたが、今後も国内外のアーティストやクリエーターによるアートが「テクノ屏風」として登場する。第2弾以降の情報はまだ発表されていないが、次回はどのような作品に出合えるのか今から楽しみだ。

テクノ屏風
アーティストのルー・ビーチ。「テクノ屏風 開封の儀」にはビデオ出演し、実際に「Electronic Fan Girl」を見た感想を「まるで2月にクリスマスがきたみたいだ」と話していた(Photo: Keisuke Tanigawa)

ちなみに、「Electronic Fan Girl」に用いられたビーチのイラストレーションは、熱狂的なファンが多いことでも知られている。2011年にYMOが約30年ぶりのアメリカツアーを行った際、タトゥーとして入れていた観客がいたことにメンバーも驚いたというのは、YMOファンなら知っているかもしれない逸話だ。

3. NFTの可能性
「テクノ屏風」はフィジカルな作品であるが、NFTを活用したアート証明書「Startrail PORT」が実装されている。これは各作品に埋め込まれたNFCタグをスマートフォンで読み込むと、これまでの取り引きなどが確認できるというものだ。

NFTがあることで作品の真性が保証されるのはもちろんのこと、作品が二次販売、三次販売とされていった際に、収益の一部をアーティストやクリエーターに還元することも可能なのだそう。新しいアートインフラにも期待したい。

テクノ屏風
「Electronic Fan Girl」(Photo: )

「Electronic Fan Girl」は現在、公式ウェブサイトで作品の受注を行っている(価格は88万円、税込み)。気になる人は、ぜひチェックしてみてほしい。そして、第2弾以降の「テクノ屏風」も楽しみに続報を待とう。

関連記事

インタビュー:坂本龍一

細野晴臣の轍

インタビュー:ビートニクス

この春行きたい音楽フェスティバル2023

東京で行くべきレコードショップ

最新ニュース

    広告