オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

立川に食・茶・宿を融合した泊まれるレストラン「オーベルジュ ときと」がオープン

ミシュラン星付きシェフが腕をふるう「食房」や日本の美意識あふれる「茶房」を併設

編集:
Genya Aoki
テキスト:
Tomomi Nakamura
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2023年4月6日、立川エリアの老舗料亭「無門庵」の跡地に、食の真の豊かさを追求した「オーベルジュ ときと(Auberge TOKITO)」がオープンした。歴史的建築物の外観や庭をできるだけ継承し、改装を行った施設内には、「食房」と「茶房」、全室かけ流し温泉付きの「宿房」があり、東京とは思えないほど静寂に包まれた空間が広がる。

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

同施設は、インフィニティープールなどで人気を誇る「ソラノホテル(SORANO HOTEL)」を手がけた、立飛ホスピタリティマネジメントがプロデュースする和のオーベルジュだ。

もともとは陸軍将校の宿泊場だった土地でもあり、ソラノホテルを「陽」と表現するとすれば、この宿は「陰」の場所といえるだろう。日本の未来を築いた人々が集結した土地で、新たな食の未来が生まれようとしている。

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa
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総合プロデューサー兼総料理長は、「京都吉兆 嵐山本店」で実績を積んだ後、ロンドンでミシュラン二つ星を獲得した「ウム(UMU)」の料理長を務めた経歴を持つ石井義典。総支配人兼料理長の大河原謙治は、同じく「京都吉兆 嵐山本店」に入社後、「京都吉兆 洞爺湖店」で料理長を務め、ミシュラン北海道で二つ星を獲得している。その後、京都の懐石料理店「いと」をミシュラン一つ星へと導いた人物だ。

ともに名店のスターシェフであり、同じ現場で苦楽をともにした仲間がタッグを組んだ。

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そのほかにも、国内外で活躍する料理人が集結。カツオやコンブはもちろん野菜やジビエ、生ハムから取っただしをベースとするなど、会席料理の既成概念や食材に捉われない自由な発想の料理を提供していく。

食の本質的な価値を見極めた「食房」

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Photo: Keisuke Tanigawa

料理のコンセプトはフランス語で職人を意味する「アルティザン」と料理を意味する「キュイジーヌ」を掛け合わせた「アルティザン・キュイジーヌ」。料理人はもちろん生産者や猟師、漁師など、食卓までに携わる全職人がそれぞれの力を発揮し、チームとして一皿に精魂を込めて届ける。

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Photo: Keisuke Tanigawa

日本各地へ料理人自身が出向き、季節に応じた食材を厳選したメニューは、14品前後の「カウンター席おまかせコース」(5万5,000円、以下全て税込み・サービス料15%別)と、10品前後の「テーブル席おまかせコース」(2万7,500円)で構成される。

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa
オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

要となる食房は、臨場感たっぷりのカウンター席(宿泊者優先)、中庭を望むホール席、接待や冠婚葬祭などにぴったりの個室のほか、カスタムメイドで料理をオーダーできる離れがあり、あらゆるシーンに寄り添った空間になっている。

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Photo: Keisuke Tanigawa

総合プロデューサーであり、総料理長の石井の「五感で食を味わってほしい」という考えから、彼自身が作った器で料理を提供する点も新鮮だ。命の恵みを余すところなく巡らせることを掲げ、はしを燃やす際に排出する炭の灰を釉薬(ゆうやく)として再利用したり、建設時に伐採した木で器を作ったりするなど、循環を意識したサステナブルな取り組みにも力を入れている。

心と体を内側から癒やす、1日4組のみの「宿房」

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

石畳や石庭を抜けると現れる宿房の中には、全室106平方メートルの広々とした客室が広がる。料金は「開業記念特別プラン」夕・朝食付き2人利用34万2,250円から用意している。

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

「心身の回復」をテーマにデザインされた部屋は、障子や土壁を取り入れた重厚感のあるインテリアで安らぎのひとときが過ごせる。地下1300メートルからくみ出した温泉かけ流しの露天風呂からは、小さな日本庭園を臨むことができ、リラックスできること間違いなしだ。

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa
オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

全室にスパトリートメントを堪能できるゆったりとした専用スペースも完備するなど、とことん贅沢な造りが特徴的。ベッドには電磁波の影響を受けず快眠に導くメタルフリーの寝具や、弾力性と通気性を兼ね備えた馬毛まくらなどを揃えており、ぐっすり眠ることができる。

オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

各部屋にはレコードや良質なスピーカーも設置され、自分好みの音楽を聴きながら非日常感を満喫できる。ジャズやアンビエント、ロックなど多彩なジャンルの名盤をラインアップしたアナログレコードは常時50枚ほど揃い、フロントで好きなものをセレクトできるそうだ。

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茶の湯を現代的に解釈した「茶房」

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Photo: Keisuke Tanigawa

施設内の庭園にひっそりとたたずむのは、中目黒にある「茶方薈(Saboe)」が監修した、日本の美意識あふれる隠れ家のような茶房だ地域や風習、時代に合わせた製法によって進化した日本の茶文化を現代的に解釈。昼はアフタヌーンティー、夜はバーメニューが堪能できる。

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Photo: Keisuke Tanigawa
オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawaカウンター席からは本格的な畳の茶室を見ることができる(開放されておらず、一般利用は不可)

同店でおすすめのメニューは、季節に応じて内容が変わる「茶請箱(ちゃうけばこ)」と3種類の茶がセットになったアフタヌーンティー(7,590円)である。茶は全国から集めたこだわりの8種の中から好きなものをセレクトでき、選ぶ楽しさも味わえる。宿泊しなくても訪れることのできる優雅な空間で、移ろいゆくひとときを満喫しよう。

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「食」を目的とした世界中の旅人が訪れるオーベルジュへ

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Photo: Keisuke Tanigawa

「都会のど真ん中に施設がないと人が来ない、というのは違うと思っていて、レストランの役割は、その土地に価値を生むことだと僕は考えています。いいレストランがあれば、結果的に街全体が潤う。オーベルジュ ときともそんな存在になっていきたいですね。この宿の料理人は一人一人が料理長になれる人間ばかりなので、あえて決まりごとは作らず個々の個性を生かした料理を1つのコースとして提供し、世界に向けて発信していけたら」と、総支配人兼料理長の大河原は語る。

   オーベルジュときと
Photo: Keisuke Tanigawa

今後は、才能あふれる「食の匠」をさらにオーベルジュに集め、料理人たちが、海外に羽ばたけるような存在になることを目指していくそうだ。食・茶・宿を融合した新たな施設を、ぜひ自身の五感で体験してみてほしい。

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