臨春閣  特別公開
画像提供:三溪園(写真:田中克昌)

三溪園の重要文化財「臨春閣」が9月に期間限定で一般公開

通常非公開の建物内部を観覧できる、改修記念イベントも実施

テキスト:
Genya Aoki
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横浜市中区にある「三渓園」で、2022年9月17日(土)~25日(日)、重要文化財「臨春閣」の5年にわたる保存修理事業の完了および三溪園完成100周年を記念し、通常非公開である「臨春閣」の建物内部が特別に一般公開される。

臨春閣 特別公開
画像提供:三溪園戦前に撮影された玄関棟内部の様子

「臨春閣」は、三溪園の創設者である原三溪によって守り継がれた重要文化財建造物だ。江戸時代初期に紀州徳川家の別荘として建てられたとされており、室内は、数寄屋の意匠を取り入れた書院造りの旧態を残している。各部屋からは三重塔や周辺の景観を存分に眺められ、外観の美しさのみならず、内部から見る風景もまた趣がある。

臨春閣 特別公開
画像提供:三溪園(写真:田中克昌)

この建物を、さらに末永く残し伝えることを目指し、檜皮葺屋根(ひわだぶきやね)と杮葺屋根(こけらぶきやね)の補修を主目的とした保存修理工事と耐震診断・補強工事を2018年から実施。2022年8月に完了する見込み。同工事は、約30年ぶりの大規模保存修理となった。

このたびの一般特別公開では、工事中に発見された戦前の遺構とともに、狩野派の絵師による障壁画や和歌が描かれた色紙をはめ込んだ欄間(らんま)など、工夫が凝らされた内部の意匠の数々を見学通路から観賞できる。

臨春閣 特別公開
画像提供:三溪園(写真:田中克昌)

また、2つのガイドツアーも用意。一つ目は、伝統建築と日本庭園の観賞方法を学ぶ講座の講師を務める藤井哲郎らがガイドする臨春閣入室特別見学ツアー。臨春閣1階に入室し、数寄屋造りの意匠を間近で観覧できるだけでなく、三溪園学芸員による案内のもと臨春閣と白雲邸の内庭を特別に見学できる。

もう一つは、「学芸員と巡る臨春閣入室『匠の技』特別見学ツアー」。建築担当学芸員の案内で、2階を含む建物内部の特別見学をしながら工事を振り返り、工事のためにふるわれた「匠の技」に触れるというディープなツアーだ。それぞれの詳細は以下の通り。

「人気講師・藤井哲郎さんと巡る 臨春閣入室特別見学ツアー」
日程:10月9日(日)、10日(月・祝)
時間:9時30分~・10時30分~・13時30分~・14時30分~(所要時間 約2時間)
定員:各回15名
料金:1人5,000円(税込・入園料込)
申込:オンラインサービス「Peatix」で販売中

「学芸員と巡る臨春閣入室『匠の技』特別見学ツアー」
日程:10月29日(土)
時間:10時30分~・13時30分~(所要時間 約1時間半)
定員:各回10人
料金:一人5,500円(税込・入園料込)
申込:オンラインサービス「Peatix」で販売中

このほか、9月17日には、臨春閣芝生広場で雅楽公演を実施。9月8日(木)~10月23日(日)は、写真展「あとさきー臨春閣ー」が三溪記念館第3展示室で開催される。建築写真家の田中克昌が情緒的な表現で切り取った臨春閣の風景写真の中でも、厳選した約15点の作品が並ぶ。

「臨春閣」の見学は10時(9月17日は13時)〜16時30分に実施しており、無料で入場できる(別途入園料)。この機会に美しい建物と庭園が作り出す景観を堪能してみては。

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