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YOSHIROTTENによる初の常設展示も

東京からの小旅行にぴったりな新たなスポットが、2025年12月12日(金)、宇都宮市西部の町・大谷に誕生する。アートスペース、レストラン・カフェ、ショップを併設する複合施設「大谷グランド・センター」では、「見えないものを可視化する」をテーマに制作を行うアーティスト・YOSHIROTTENによる初の常設展示と、栃木県出身の気鋭シェフ2人が監修した地元の食材を使った料理やスイーツが楽しめる。
同施設が建つ大谷は、近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)が「帝国ホテル 東京」に採用したことがきっかけでその知名度を広げた「大谷石」の採石場が広がるエリアだ。町へ近づくと、白みがかったグレーの岩肌がむき出しになった小高い丘が現れ、荒涼とした独特の景観が広がる。かつて風景画のモチーフとして好まれたというのも納得だ。
大谷グランド・センターは、この土地の歴史と深く結びついている。もともとここには、自然の大谷石を大胆に取り入れた建築デザインで知られる複合施設「山本園大谷グランドセンター」があった。1967年に創業し、食事処や大浴場を備え、団体客を乗せたバスが何台も来るほどの人気を誇った宇都宮屈指の観光地である。
1980年代に廃業した後も、岩肌に抱きつくような圧倒的な建築は人々を魅了。「西の摩耶、東の大谷」と呼ばれるほど、廃虚としても注目を集めていた。
この建物を残したいという思いから、2016年に井上総合印刷が施設を譲り受け、保存と再生の方法を模索。建築プロデュースを手がけるbonvoyageが総合プロデュースに入り、自然と建築が溶け合う独特なデザインを生かしながら、数年に及ぶ改修を経て現在の姿へと再生させた。
施設の目玉は、YOSHIROTTENにとって初となる常設インスタレーション『大谷石景』だ。もともと大浴場だった場所が、丸ごと展示空間となっている。壁と床一面に映し出される映像は、作家が大谷石の岩肌をスキャンし、そのイメージを基に制作したもの。映像はゆったりと動き、タイルや蛇口、置かれた石の上をなぞっていく。
映像とともに流れるサウンドは、YOSHIROTTENの作品の音楽を数多く手がけるTAKAKAHNが採集・編集したもの。大谷石から滴り落ちる水音や鳥のさえずり、虫や風の音など、大谷エリアで収集した痕跡を素材として用いている。
同作についてYOSHIROTTENは、「YARのチームと1年半フィールドワークを重ね、大谷石をハンドスキャナーでスキャンし作品に落とし込みました。調査の中で、大谷の歴史を残すために構想された地下計画『大谷テクノパーク構想』を知り、プロジェクトのバトンを受け取ったような思いがしています。私が浴場跡を初めて見た時の感動が、作品を通じて、各地へ運ばれた大谷石のように広がっていけばうれしいです」と語った。
館内には、作家がコロナ禍の間、365日描き続けたアートプロジェクト『SUN』のインスタレーションが、オープニングを記念して期間限定で展示されるほか、屋外には「ミソ」と呼ばれる石のくぼみを赤いネオン管で照らした作品『Transtone』を設置。ミソとは、大谷石に含まれる不純物が酸化して生じる茶色い斑点のことで、長い年月を経るとその部分が崩れ落ち、空洞になる。
レストラン・カフェスペースは、大きな窓から豊かな自然が望める開放的な空間。ここでは、代々木公園近くのイタリアンレストラン「LIFE」のオーナーシェフ・相場正一郎と、人気パティスリー「MAISON GIVRÈE(メゾンジブレー)」のオーナーパティシエの江森宏之が監修した食事やスイーツが楽しめる。
併設のショップでは、YOSHIROTTENの作品をプリントしたロングスリーブシャツやポスターのほか、『大谷石景』で使用されている音源のレコードも今後販売される参考商品として陳列されている。レコードには、作家によるデジタルドローイング作品と、大谷にまつわる資料をコラージュしたライナーノートが差し込まれているという、うれしい特典付き。販売は公式ウェブサイトからの発表を待とう。
大谷へは、車もしくは電車で新宿からおよそ2時間半でアクセスできるため、大谷グランド・センターを訪れた後に、採石場跡を利用した「大谷資料館」で大谷の歴史に触れ、さらに大谷石を扱うインテリアショップに立ち寄ってみるのもいいだろう。いずれも徒歩圏内に位置しており、周辺に点在する大谷石を外装に用いた住宅を眺めながら歩けば、一日があっという間に過ぎてしまうはずだ。
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