写真で振り返る、東京オリンピック閉会式7つの名シーン

ARを用いた光のショー、コロナ禍で久しい盆踊りなど、最後は感謝の7文字で幕

Kaila Imada
テキスト:
Kaila Imada
翻訳:
Genya Aoki
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東京2020オリンピックの17日間が駆け抜けるように終わった。今年の大会がかつてないものだったことは誰もがうなずくところだろう。意義深い開会式や、日本チームが獲得した数々の記録的なメダルまで、この期間に行われた339の種目は注目すべき事柄ばかりだ。

何より、同大会では「コロナ禍の世界を一つにする」という不可能と思われていたことに挑むことになった。その結果、一流のアスリートたちが競い合い、世界中の人々が画面越しに観戦したオリンピックは、スポーツが持つ団結力を如実に示してくれた。そんな歴史的な大会の最後を飾った閉会式の名場面を7つ、レポートしよう。

開会式同様、閉会式は落ち着いた雰囲気の中で始まった。一般客のスタンド入場は禁止されており、秋篠宮殿下、首相の菅義偉、そして残った選手たち(競技が早く終わり、残念ながら帰国してしまった選手もいた)など、少数のVIPが出席した。

日本国旗の入場、100年以上の歴史を持つ宝塚歌劇団の歌手による国歌『君が代』斉唱と続く。そして、全参加国の国旗が入場の後、選手団のパレードが行われた。すでに多くの選手が帰国していたため、開会式のパレードに比べると規模は小さかった。しかし、メダルを手にした選手たち(そうでない選手たちも)は祝賀ムードに包まれており、その楽しげな雰囲気は世界中に伝わったことだろう。

選手たちがステージを囲むように配置すると、スタジアムの中央から花火が打ち上がり、鮮やかな光のショーが始まる。このショーは拡張現実(AR)と複合現実(MR)を組み合わせて作られたテレビ視聴者向けの特別なもので、スタジアムにいる人には見えなかった。

まず、国立競技場が世界の国々を象徴する虹色に変わり、その虹は床面で動きながら輝く。そして、何千もの小さな光の粒がスタジアム全体に流れる川のようにうねる。最後に、スタジアム上空からステージ中央に向かって光の滝が注ぎ、一つ一つは小さな光の群れが形を変え、金色に輝く五輪の輪に変わったのだ。

幻想的な光のショーの後は、東京スカパラダイスオーケストラとシンガーソングライターのMiletのライブを中心に、音楽とダンスのコーラスが鳴り響いた。アニメ『鬼滅の刃』のオープンニングテーマである『紅蓮華』も演奏され、世界中のファンの声が聞こえてきそうなほどの盛り上がりを見せていた。

パフォーマーたちは、音楽に合わせて、ジャグリング、なわとび、ブレイクダンス、さらにはBMXやスケートボードの技を披露するなど、スタジアムのフロアを縦横無尽に動き回り、観客を楽しませた。大会期間中、アスリートたちは試合以外では選手村から出ることができなかった。そんな選手たちに東京の雰囲気を味わってもらうことが目的だという。

ギリシャの国歌斉唱に続き、オリンピック閉会式の伝統であるマラソンの表彰式が行われた。女子はケニアのペレス・ジェプチルチル(Peres Jepchirchir)が金メダル、ブリジット・コスゲイ(Brigid Kosgei)が銀メダルを獲得。アメリカのモリー・セイデル(Molly Seidel)が銅メダルを手にした。男子は、ケニアのエリウド・キプチョゲ((Eliud Kipchoge)が金、オランダのアブディ・ナギー(Nageeye Abdi)が銀、ベルギーのバシル・アブディ(Bashir Abdi)が銅メダルをそれぞれ獲得した。

オリンピックボランティアへの感謝の言葉が述べられた後、和太鼓の演奏に続いて、追悼の演目としてアオイ ヤマダによる独創的なダンスが披露された。そして、北海道の美しい風景中で踊るアイヌの伝統的な踊りの映像が映し出され、沖縄のエイサー、秋田県の西馬音内盆踊り、岐阜県の郡上踊りと日本の伝統的な踊りの数々で、自国に残る文化の一端を世界に届けた。

Olympics Closing Ceremony
Photo: Steph Chambers/Getty Images

国立競技場に場面が戻ると、『東京音頭』が流れ、会場は盆踊り大会に。踊り子たちが思い思いに踊りを披露した。2020年のパンデミック以降、日本各地ではほとんどの夏祭りが中止になっていたため、この光景は歓迎され、喝采を浴びた。海外のアスリートたちが楽しんでいる様子もカメラに映し出された。

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続いて、国際オリンピック委員会(IOC)会長のトーマス・バッハ、東京都知事の小池百合子、パリ市長のアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)の3人が登壇。オリンピック旗の引き渡し式が行われた。フランスの国歌斉唱はパリ市内を巡るビデオで実施し、音楽家はルーヴル美術館などさまざまなパリの名所で演奏。フランス人宇宙飛行士のトマ・ペスケ(Thomas Pesquet)は、なんと宇宙空間に浮かぶ船内からサックスを奏でた。

そして、2024年のパリ大会のイントロダクションを放映。ハリウッド映画のようなBMXアクションや、2024年にオリンピックの新種目として導入されるブレイクダンスなどをライブ実演。また、フランス大統領のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)もエッフェル塔の上に登場し、観客を沸かせた。

Olympics Closing Ceremony
Photo: Steph Chambers/Getty Images

再びカメラは国立競技場に戻り、トーマス・バッハと東京2020組織委員会の会長である橋本聖子がスピーチを行った。感動的な言葉の後は、大竹しのぶと杉並児童合唱団による宮沢賢治の『星めぐりの歌』を歌い、第32回オリンピック競技大会を締めくくった。曲が終わると、クロード・ドビュッシー作曲の『月の光(Clair de Lune)』が演奏され、聖火が納火された。

最後に、スタジアム上空が明るくなるほど鮮やかな花火が何発も打ち上げられた。花火とともに、スクリーンには「ARIGATO」というシンプルなメッセージが点灯され、閉会式の幕を降ろした。

Olympics Closing Ceremony
Photo: Dan Mullan/Getty Images
Olympic Closing Ceremony
Photo: Carl Court/Getty Images

見逃してしまった人も安心してほしい。2週間後の2021年8月24日(火)に東京パラリンピックが開幕する。それまでにもう一度、オリンピックを振り返ってみてはいかが。

原文はこちら

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