オラファー・エリアソン展
Photo:Kisa Toyoshima展示風景

麻布台ヒルズギャラリー開館記念「オラファー・エリアソン展」をレポート

充実の展示空間、オリジナルメニューやグッズにも注目

Naomi
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Naomi
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自然現象や、気候変動などの社会課題から着想を得て、インスタレーションや立体作品を手がける現代アーティスト、オラファー・エリアソンが、港区に開館する「麻布台ヒルズギャラリー」で、オープニング記念の個展を2023年11月24日(金)から開催する。

国内で開催されるエリアソンの個展は、2020年に清澄白河の「東京都現代美術館」で大きな話題を集めた展示以来。今回の企画は「森美術館」館長の片岡真実と、アソシエイトキュレーターの徳山拓一が担当した。 

オラファー・エリアソン展
Photo:Kisa Toyoshimaオラファー・エリアソン展

エリアソンは1967年、コペンハーゲン生まれのアイスランド系デンマーク人。1990年代初頭から、写真や彫刻、ドローイング、インスタレーション、デザイン、建築など幅広くジャンルレスな表現活動を行い、手がけた作品はロンドンの「テート美術館」やニューヨークの「グッゲンハイム美術館」「金沢21世紀美術館」など、世界各国のミュージアムに所蔵されている。

オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期
Photo: Lars Borgesオラファー・エリアソン

リサイクル素材に特化した新作を初めて発表

「街全体がミュージアム」をテーマに掲げる麻布台ヒルズ敷地内には、パブリックアートが点在。エリアソンの新作、かつ国内で発表された中でも最大規模のパブリックアート「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」が、「森JPタワー」オフィスロビーで鑑賞できるが、それと同じモジュールを使った、世界初公開の新作「呼吸のための空気」が、ギャラリー内の展示室中央に鎮座していた。

麻布台ヒルズ
Photo:Kisa Toyoshima森JPタワーにある、オラファー・エリアソン「相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」(2023)
オラファー・エリアソン展
Photo:Kisa Toyoshima展示風景

作品を構成するのは、「バイシメトリック・ヘンデカへドロン」と呼ばれる、ハンドメイドで成形した十一面体。エリアソンは、最新技術を用いて、廃棄物を焼却処分した際の煙に含まれた亜鉛を物質化させ、初めて作品の素材に用いたという。どこか有機的なかたちの作品が、実は大気として私たちの肺に入るはずだった金属からできている、という事実に思わずたじろいでしまうかもしれない。

オラファー・エリアソン展
Photo:Kisa Toyoshima16の吊り彫刻シリーズのひとつ「蛍の生物圏 (マグマの流星)」(2023)

本展に合わせて再構成したインスタレーションなど15点を展示

天井高5メートル、奥行20メートルを超える真っ暗な空間では、瞬間的に照らすストロボの光と水だけで構成されたインスタレーション「瞬間の家」(2010年)が、本展の空間に合わせて再構成されて展示。水と光というシンプルな要素ながら、無限に変化し続ける水の曲線と音、そこに内在する美しさにはっとさせられるだろう。

オラファー・エリアソン展
Photo:Kisa Toyoshima「瞬間の家」(2010)

本展の鑑賞にはチケットが必要。通常チケットのほか、振り子の原理を利用したドローイングマシン作品「終わりなき研究」(2005)を、実際に操作・体験し、完成したドローイング1枚を持ち帰ることのできる先着順の体験付きチケットや、カタログ付きチケットも数量限定で販売する。日時指定、事前予約制のため、公式ウェブサイトから確認してほしい。

オラファー・エリアソン展
Photo:Kisa Toyoshima「終わりなき研究」(2005)

作品を自宅で楽しめる限定グッズも登場

ギャラリーすぐ下のフロアには、オリジナルグッズを販売する「ザ ショップ(THE SHOP)」がオープン。 環境負荷の低減に配慮した素材を使用した、限定Tシャツやトートバッグ、ノートなどが用意されている。

オラファー・エリアソン展
Photo: Naomi限定グッズ

中でも注目したいのが、パブリックアートを構成する11面体のモジュールをモチーフにした箸置き。スマートフォンなどのいわゆる都市鉱山から抽出した銀99.9%のピュアシルバーを素材に使用した、シリアルナンバー入りのアイテムだ。

オラファー・エリアソン展
Photo: Naomiリサイクルピュアシルバー箸置き

ここでしか味わえないメニューを楽しむ

展覧会と同じくらい早くから話題と注目を集めているのが、ベルリンにある「スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン」が麻布台ヒルズギャラリーカフェとコラボレーションして営業するレストランだ(事前予約制)。

スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン
画像提供:森ビル株式会社スタジオ・オラファー・エリアソン キッチン

メニュー開発は、在日フランス大使館で副料理長を勤め、名だたるホテルやレストランに従事してきた日本人シェフ、増谷武士が担当。日本ならではの食材「麹」と、国内産の素材を生かした、唯一無二のメニューが味わえる。「ひとつの料理を、空間にいる人たちとシェアする体験」をテーマに、ランチとディナーはそれぞれビュッフェスタイルで提供されるほか、有機和紅茶がつくケーキセットも楽しめる。

約4カ月と会期が長いので、時間帯を変えて訪れてみてほしい。展示は2024年3月31日(日)まで開催する。

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