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2025年6月5日、「クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業」中間報告会・情報交換会が、文化庁で行われた。
文化庁令和5年度補正予算において措置された補助金により、クリエーターやアーティストなどの育成、文化施設の高付加価値化のために行う事業を実施するため、独立行政法人日本芸術文化振興会に「文化芸術活動基盤強化基金」が設立。その基金を活用して、「クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業」 を実施し、複数年度にわたって支援を行うというのが同事業の趣旨だ。
また、本基金は、クリエーターやアーティストだけでなく、プロデューサーやコーディネーターなど、創作や事業展開を支えるスタッフたちも育成対象となっていることも特徴だといえるだろう。
中間報告会は、文部科学副大臣の野中厚のあいさつから始まり、独立行政法人日本芸術文化振興会の杉浦久弘 理事長代理が、本事業の趣旨を説明した。
シンボルマークの発表と公式ウェブサイトの開設
はじめに、「平面」をモチーフとしたシンボルマークを発表。幾何学において平面とは、無限に広がる平らな面を意味する。日本のクリエーターやアーティスト、文化芸術が国境を越え、世界に飛び出す姿をイメージしたデザインコンセプトになっており、クリエーターの海外展開や、文化施設の機能強化をサポートすることを目的としている本事業の願いが、デザインに落とし込められているといえるだろう。

加えて、公式ウェブサイトの開設と、本基金の通称が、「クリエイター支援基金(Japan Creator Support Fund)」に決定したことが報告された。
プロジェクト進捗説明、アーティストとクリエーターが参加したラウンドテーブル
中間報告会では、3つのセッションが開催。「セッション1」では、舞台芸術、分野横断的新領域、博物館・美術館・劇場・音楽堂などの文化施設の代表者が登壇した。「セッション2」では、メディア芸術に携わる各団体の代表者が集結。両セッションとも、各事業者による事業の進捗説明が行われた。
「セッション3」では、「セッション2」のプロジェクトに参画する育成対象者が登壇。「セッション1」のモデレーターを務めた、タイムアウト東京代表/ORIGINAL Inc. 代表取締役の伏谷博之が再びモデレーターとして、「セッション2」でモデレーターを務めたイメージフォーラム・フェスティバルディレクターの山下宏洋がコメンテーターとして参加した。

育成対象者が意見交換をするラウンドテーブル形式で開催された「セッション3」。全部で42件のプロジェクトが採択されているだけあって、育成対象者はマンガ家とその編集者、ゲームクリエーター、映画監督、アーティストなど幅広い。それぞれの参加者の今後の展望や海外での展開の仕方、各業界の課題など、議論は白熱した。
文化庁で採択された事業であることで周囲からの理解が得やすいといった意見だったり、海外に展開することで自身の作品に変化をつけたりしたかという、アーティストやクリエーターならではの悩みや意見をヒアリングする、またとない機会になった。
何より、こうしてある種の枠組みが生まれたことで、ほかの領域で活動するアーティストやクリエーター同士の交流が生まれることが、本事業の醍醐味なのでは、と感じた。
本事業への期待と海外展開への希望
最後は自身もマンガ家としての経歴を持つ、文部科学大臣政務官の赤松健が登壇。これからの日本をけん引していくようなクリエーターが揃い、かつ複数年度にまたがって基金形式で行われる本事業に、並々ならぬ期待を感じていると語った。

本事業をきっかけに、今以上に海外で日本のコンテンツの持つ深みが伝わることを願う。育成対象者たちの今後に注目したい。
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