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2026年6月27日に65年の歴史に幕を下ろす、ジャズ喫茶の2代目・中平塁にインタビュー

新宿の靖国通りにあるジャズ喫茶・バー「新宿DUG」(以下、DUG)が、2026年6月27日に閉店する。入居する建物の老朽化によるビル解体に伴うもので、同店は65年にわたる歴史に幕を下ろす。4月1日に閉店の知らせがSNSで公開されてから、別れを惜しむ人々が連日店を訪れている。
なお最終日は20時から無観客配信ライブを開催。須永辰緒や菊地成孔、グレース・マーヤが出演する。
同店のルーツは、1961年に誕生した「DIG」にさかのぼる。その後移転を重ね、2000年からは地下2階にある現在の場所で営業を続けてきた。ジャズ写真家でもあった中平穂積が創業し、新宿のジャズ文化を象徴する店の一つとして発展してきた歩みを持つ。店内には中平が撮影した、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)やジョン・コルトレーン(John Coltrane)らといったレジェンドたちが静かに店内を見守る。
店のロゴは、和田誠がデザイン。寺山修司や中上健次といった作家が訪れ、上京したばかりのタモリが通っていたなど、さまざまな有名人・ジャズマンたちのエピソードに彩られている。村上春樹の『ノルウェーの森』にも登場し、村上ファンの聖地の一つでもあった。
閉店を前にして、タイムアウト東京では、2007年に中平から店を継ぎ、代表兼マスターを務める中平塁にインタビューした。
正直、ビル解体の知らせを突然受け、対応に追われる日々でした。建築家の岩淵活輝氏のデザインとお客さまと創り上げた空間がなくなってしまうのは、とても残念でなりません。国内外の著名なミュージシャンがふらっと立ち寄ってくれて、「おー、塁元気!?」と、陽気な笑顔と声に、ポジティブな風が一瞬で吹く最高の場所でした。
近年は、特に若い年代層も増えています。「聴く」ことに特化した「ジャズ喫茶」文化。これが日本独自の最大の特徴です。アメリカでジャズは、「踊る場所」や「お酒を飲む場所」でしたが、日本では「静かに音楽と向き合う場所」として発展しました。
巨大なスピーカーと膨大なレコード盤。私語厳禁で、コーヒー1杯で何時間も名盤に耳を傾ける。このような鑑賞スタイルは海外からは珍しく思われていたようです。
一巡して今は、もっと軽やかで自由なもの。難しい理屈を抜きにして、コーヒーの香りのように「日常を少しだけ贅沢にするスパイス」として、若い世代にも自然に受け入れられてきている気がします。ジャズという音楽に対する向き合い方が変化したというよりは、ようやく今の若者の暮らしに、いい意味で「馴染んだ」のだと感じています。
ジャズが持つ「自由な精神」がいつの時代も退屈している人の心を震わせていて、その本質だけは少しも変わっていない。それが一番面白いところですね。
国内外の有名ミュージシャンがふらっと立ち寄ってくれるのは大変うれしく、光栄に思います。特に仲良しの日野照正さんには、ご来店いただく度に白いカッターシャツの背中にサインとイラストを描いていただくのが定番で、大切な宝物です。
振り返ると1968年、日野照正、日野元彦らのDUGでのライブに来日中のスタン・ゲッツ(Stan Getz)とチック・コリア(Chick Corea)が飛び入り参加したのはじめ、アルバート・マンゲルスドルフ(Albert Mangelsdorff)の『Diggin'』(1971年)、マル・ウォルドロン(Mal Waldron)の『Meditations』(1972年)、カーメン・マクレー(Carmen McRae)の『AS TIME GOES BY』(1973年)、バリー・ハリス・トリオ(Barry Harris Trio)の『Barry Harris Live At "Dug"』(1995年)など、DUGでのライブが名盤として残されています。
渡辺貞夫さん、ケイコ・リー(Keiko Lee)さん、阿川泰子さんなど、数多くのジャズミュージシャンにご来店いただきました。
ロゴをデザインしてくださったイラストレーターの和田誠さんも学生時代から通ってくださって、先代と親交を深めていましたね。
「先代マスター・中平穂積のDUGは幕を降ろす」ということです。続く2代目・中平塁「らしい」新たな展開は、「To be continued……」。現在、鋭意模索中です。
7月1日にビル解体が決定しているということで、こちらには選択肢がない状況でした。時代の流れで、抗えないことです。
建築家の故・岩淵活輝氏、グラフィックデザイナーの亡き和田誠さんとジャズ写真家の故・中平穂積のコラボレーションにより、新宿で居心地のよい空間として1967年に「創造」された「DUG」は、幕を下ろす。「来るべき時が来た」と、感じています。
新宿を中心としたアングラ文化・ジャズ文化を象徴する昭和の名店がまた一つ消えていく。時代の流れとはいえ、「また別の場所で」を望む声も少なくない。日本のジャズ喫茶が見直されている今、中平の「To be continued……」に期待したい。
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