Delhi skyline
Photograph: Shutterstock

インドが国名を「バーラト」に変更?

植民地時代のイメージ払拭が狙い

Liv Kelly
テキスト:
Liv Kelly
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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多くの調整が必要なことではあるが、国名が変わることはそう珍しくはない。スリランカはかつて「セイロン」と呼ばれ、「マラヤ」はマレーシアとなり、最近では、チェコ共和国が1993年から通称として提唱してきた「チェキア」を、公式の場で積極的に使っていくことにしたという動きも見られた。

これらの国に続こうと噂されているのが、世界で最も人口の多い国であるインド。同国の憲法で「India」と並んで国名とされている「Bharat(バーラト)」が新しい正式名称として採用される可能性があるという。この名称は、約2000年前に書かれた聖典にさかのぼるサンスクリット語だ。

この国名変更を進めようとしているのは、現在のナレンドラ・モディ政権。一般的に国の名称を変更する理由は、単純化のためや国の地理をよりよく表現するためなどさまざまあるが、インドの場合は、植民地時代における奴隷のイメージを払拭(ふっしょく)するのが理由。「北ローデシア」がザンビアに、「南ローデシア」がジンバブエになったのと同じ理由といえる。

今回の流れは、これまでもインド国内の地名や都市名を改名してきた同政権の傾向にリンクするものだ。ただ、この事象には多くの論争がある。例えばニューデリーの「ムガル庭園」が正式に「アムリット ウディヤン」となった後、政府を批判する人たちは、モディと彼のインド人民党がインドにおけるムガル人の歴史を消し去っていると非難した。

当然のことながら、国全体の名前を変えるというアイデアもかなり論争になっている。インド国民会議の議員であるシャシ・タルールは、「政府が、何世紀にもわたって築き上げられた計り知れないブランド価値を持つ『インド』を完全に捨ててしまうような愚かなことをしないことを望みます。歴史をほうふつとさせる名前、世界中で認知されている名前へのそれぞれのこだわりを放棄するのではなく、両方の言葉を使い続けるべきです」と述べている。

国名の正式な変更はまだ確認されていないが、モディをインドではなく「バーラトの首相」と呼ぶ文書がネット上で共有されて以来、この噂が拡散。その中で、2023年9月9日から開催されていた「G20サミット」に参加する各国の要人たちへ送られた夕食会への招待状にドラウパディ・ムルムが「バーラトの大統領」と記されていたこと、また会議に出席するインド政府関係者のIDカードには「バーラト」が国名として用いられていたことが分かっている。

まだ噂の域を出ないが、インド政府はこのアイデアにかなり乗り気のようだ。インドの正式な改名が実現するかどうかは、もう少し様子を見る必要がある。

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India could be changing its name – here’s why(原文)

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