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構想20年、UAEは世界的な文化・芸術拠点としての地位をさらに強固なものに

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ文化観光局(DCTアブダビ)は2026年7月28日、建設中の「グッゲンハイム・アブダビ」が、同年12月11日(金)に開館すると発表した。アメリカのニューヨーク、イタリアのヴェネチア、スペインのビルバオに続く4館目の分館として2006年に建設契約が結ばれてから20年を経て開館にこぎつけた。
「グッゲンハイム美術館」といえば建物そのものがアートであり、奇抜なデザインが特徴だ。グッゲンハイム・アブダビの設計を手がけたのは、「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」と同じ、「プリツカー賞」を受賞した建築家のフランク・ゲーリー(Frank Gehry)。UAEの首都・アブダビのサディヤット島に位置し、湾岸地域の建築様式から着想を得たという外観が見ものである。
最高88メートルに達する10基の彫刻的な円錐(えんすい)形構造物が建物のスカイラインを彩り、うち9基はステンレスメッシュ、1基はオニキスとガラスで覆われている。これらは単なる装飾ではなく、自然換気と日陰を生み出し、砂漠気候に対応するエネルギー効率の高い設計としても機能する。
延べ床面積8万平方メートルはグッゲンハイムのネットワークで最大規模となり、屋内1万1600平方メートルの展示スペースを、中央のアトリウムで結ばれた30の展示室が取り囲む。
コレクションの核となるのは、1960年代以降の近現代美術。西アジアや北アフリカ、南アジアを中心としながらも、あらゆる大陸の作品を取り揃え、地域性とグローバル性を兼ね備えるという。展示は年代順ではなく、「抽象芸術」「大衆文化」「土地」「言語」「物語」といったテーマで構成され、来館者は地理や世代を超えたつながりを、自分自身のペースと順路で発見していく仕組みになっている。
ソロモン・R・グッゲンハイム財団は1988年にトーマス・クレンズ(Thomas Krens)が館長に就任して以降、ブランドと収蔵品を軸に世界展開を進める「グッゲンハイム・モデル」を打ち出してきた。ビルバオ・グッゲンハイム美術館は衰退していた工業都市の再生を後押しする成功例となった一方、ソーホーやベルリン、ラスベガスの分館は短命に終わり、ヘルシンキなど計画段階で撤回された案件も少なくない。
そうした中、グッゲンハイム・アブダビは2006年の契約から継続してきた数少ない大型プロジェクトであり、建設労働者の待遇をめぐる批判やコロナ禍など度重なる延期を経て、ようやく開館の発表に至った。
同館は、2017年開館の「ルーヴル・アブダビ」や2025年に開館した「ザイード国立博物館」などとともに「サディヤット文化地区」を構成する中核施設を成す。石油依存脱却を掲げるアブダビの文化戦略の象徴であると同時に、ソロモン・R・グッゲンハイム財団にとっても拡大路線の中で数少ない実を結んだプロジェクトといえる。
「アート・ドバイ」などのフェアを通じてすでに存在感を増している中東の現代美術シーンに、グッゲンハイム・アブダビがどのような厚みを加え、世界のアートシーンに影響を与えていくのか、開館後の展開が注目される。
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