日本初となるヨーロッパの写真祭「Seeeu」が、2025年10月23日から11月23日(日)までの1カ月間にわたり開催されている。12カ国から集まった14組のアーティストによる、250点を超える作品が東京の街に集まり、ヨーロッパの「今」を多角的に映し出す。
同イベントを企画するのは、アートテックと文化事業制作を手がけるKOIの代表、セルゲイ・グリゴリエフ(Sergej Grigorjev)。キュレーターには、アート写真雑誌『IMA』の創刊者である太田睦子や、オランダ・アムステルダムを拠点に活動するキュレーターのキム・ボスケ(Kim Boske) など、日欧のアートシーンを代表する面々が名を連ねる。
武力衝突や気候変動、移民問題など、世界がさまざまな課題に直面する今。国々が陸続きで、地政学的にも緊張を強いられるヨーロッパでは、改めて多様な視点から世界を見つめ直そうとする動き広がっている。
「写真で世界を変えることはできなくても、対話を生み出すことはできると思うんです。そんな思いが、この写真祭の根底にあります」と、太田は語る。
街全体がアートの「プレイグラウンド」
同イベントは、作品の展示場所も特徴的だ。工事現場の周囲に設置される仮設の囲いや、オフィスと飲食店が入居したビル「田町センタービル」など、美術館やギャラリーを飛び出して、街の人々が日常の中で思いがけない形でアートと出合えるように展示が行われている。
展示作品も多様で、伝統的な手法にとどまらず、AIや水中撮影など最新技術を用いたものも登場。ただし、現代の社会課題を写真を通して鋭く切り取る点は、一貫している。
会期中には、さまざまなイベントも開催。10月29日(水)の19時から「駐日ベルギー大使館」で行われる「ウクライナのためのアートオークション」は、日本に避難しているウクライナの人々を支援するためのチャリティーオークション。売上は全額、日本国内でウクライナ避難⺠支援を行う慈善団に寄付される。
寄付に参加したことがない人や、具体的な支援の仕方に迷っている人でも、作品を買うことが貢献につながるので参加しやすいだろう。
また、同日21時からはクラブ「HVEN」で「SEEEU Social Night」という交流イベントも行われる。参加アーティストの多くが集まる貴重な機会なので、ぜひ足を運んでほしい。
日頃ニュースで眺めるヨーロッパの姿ではなく、アーティストの個人的な視点を通して世界を見つめ直せる同企画。テーマにも掲げられた「現実の新たな輪郭」を、自分なりの方法で描くきっかけになるだろう。
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