坂本龍一と高谷史郎のコラボ作品がYCAMと常栄寺で展示

『ART – ENVIRONMENT–LIFE 2021』、樹木や水をモチーフにしたインスタレーションなど

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Time Out Tokyo Editors
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YCAMの開館以来、共同で制作活動を展開してきた音楽家の坂本龍一とアーティストの高谷史郎による展覧会『ART – ENVIRONMENT–LIFE 2021』が、2021年10月8日(金)~2022年1月30日(日)開催される。この展示は、『山口ゆめ 回廊博覧会』の一環で、会場は山口市にある山口情報芸術センター(YCAM)と常栄寺。

本展は、2013年にYCAMで開催された坂本の展覧会『ART–ENVIRONMENT– LIFE』の展示作品を一部改変、再展示するもの。展示作品は、『LIFE—fluid, invisible, inaudible...(ライフ ― フルーイド・インビジブル・インオーディブル)』(会場:YCAMスタジオA)、『Forest Symphony(フォレスト・シンフォニー)』(会場:サテライトA)、『water state 1(ウォーター・ステート1)』(会場:常栄寺)の3点だ。

『LIFE—fluid, invisible, inaudible...』

『LIFE—fluid, invisible, inaudible...』は坂本による1999年のオペラ 『LIFE』を再構築した作品で、2007年にYCAMでの滞在、制作を経て発表されたインスタレーション。初公開後世界各地に巡回しており、今回は実に8年ぶりの展示となる。

映像が上方から投影される9つの水槽が中空に浮かんでおり、水槽に対応して18台のスピーカーから楽曲が響き合う。映像も音楽も20世紀の記録映像や諸様式を参照して作られた楽曲だという。水槽には霧が充満しており、それを透過して見える映像と音が印象的な作品となっている。

坂本龍一+高谷史郎《LIFE ― fluid, invisible, inaudible... 》
坂本龍一+高谷史郎《LIFE ― fluid, invisible, inaudible... 》撮影:丸尾隆一(YCAM)

『Forest Symphony』

『Forest Symphony』は、2013年に坂本とYCAMが発表したインスタレーションとウェブコンテンツで、今回は常栄寺を会場にして改訂版を展示する。この作品の出発点になっているのは、坂本が構想したアートプロジェクト。2011年の東日本大震災の後、環境を支える森林を意識するために樹木が発する生体電位を元にして楽曲を制作するというもので、この構想にYCAMが参画して実現した。

作品はまず、YCAMが開発したセンサーデバイスを世界各地に設置して、樹木の生体電位を収集したという。そのデータに基づいてサウンドを生成する一方、高谷のディレクションの下で、生体電位の変化や設置環境を視覚的に表現。最終的に両者を統合したサウンドインスタレーションを作り上げた。

坂本龍一+YCAM InterLab《Forest Symphony》
坂本龍一+YCAM InterLab《Forest Symphony》撮影:山中慎太郎(Qsyum!)

『water state 1』

『water state 1』は、坂本と高谷のコラボレーションによって制作されたインスタレーション。坂本は水について「水は温度によって氷、水、水蒸気と、その様態を変える」「いつまで眺めていても飽きることはない」と語っており、この作品も水への関心に端を発している。

会場の中央には鏡のように澄明な水面の台座、その周囲には岩が設置されている。水面には水滴が落ちていくが、その量や落下場所などの変化に合わせて、会場の光量が微妙に変化するという。水をきっかけに引き起こされる、かすかな変化を通して環境への意識を喚起させる狙いだ。

坂本龍一+高谷史郎《water state 1》
坂本龍一+高谷史郎《water state 1》撮影:山中慎太郎(Qsyum!)

2021年11月〜20221月には、『やまぐちアートコミュニケータープログラム』の一環として展示作品にまつわるワークショップも予定されている。山口は、水や環境の様態を見事に描き出した『山水長巻』の作者、雪舟ゆかりの地でもある。歴史ある同地で、2人の作品を楽しんでみては。

『ART – ENVIRONMENT–LIFE 2021』の詳細はこちら

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