アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo: Andy Warhol Kyoto

「アンディ・ウォーホル・キョウト」が見逃せない5つの理由

2023年2月12日まで、大回顧展が京都市京セラ美術館で開催

テキスト:
Ayako Takahashi
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アンディ・ウォーホル・キョウト」展が「京都市京セラ美術館」で2023年2月12日まで開催されている。アメリカ・ピッツバーグの「アンディ・ウォーホル美術館」の所蔵作品のみで構成される大回顧展で、絵画や彫刻など約200点、映像15作品を展示。その見どころを紹介しよう。

Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト

1. 注目のイラストレーター時代

1949年にカーネギー工科大学(現カーネギー・メロン大学)を卒業し、ニューヨークへ向かったウォーホルは、ほどなく商業イラストレーターとして活動し始める。1950〜1960年代の彼の作品は、後の活躍の萌芽(ほうが)を見せつつ、猫や妖精、キューピッドなども頻出し、愛らしくみずみずしいのが特長。

そのうちの1作、スタンプドローイング「I Love You So」は、赤いハートにウォーホルの母・ジュリアのレタリングを添えた、シンプルながら観る者の心をとらえる作品だ。

2. 日本とのつながりを知る

1956年、ウォーホルとテレビ業界で働く彼の友人チャールズ・リザンビーは、世界一周旅行の一環として日本を訪れている。ウォーホルはリザンビーに恋心を抱いていたものの2人は恋人同士にはならなかったというが、旅は充実したものになった。

Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト

本展では、ウォーホルの旅程表、ホテルのパンフレット、絵はがき、小冊子、電報頼信紙、税関告知書など、さまざまな旅の証拠や記念品を展示。さらに、彼が描いた日本ーー京都の景色や、葛飾北斎に倣った波の絵、ジェームズ・ディーン「理由なき反抗」の日本語ポスターの模写などを観ることができる。

3. 「三つのマリリン」が初公開

知られざるウォーホルを見た後は、誰もが知る彼の名作を味わおう。出迎えてくれるのは、有名なキャンベル・スープやブリロの箱のほか、ビートルズ、マリリン・モンロー、毛沢東、エルヴィス・プレスリー、ジャックリーン・ケネディ・オナシス、坂本龍一らが並ぶポートレートシリーズなど。

アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo: Ayako Takahashi

「三つのマリリン」は門外不出で、今回が日本初公開。肖像画だけでなく、絵のためのポラロイド写真やビデオ作品も並ぶ。

また、奇抜さを極めていったウォーホルのファッションも紹介され、アーティストとしてカリスマ的な人気を得たウォーホルの姿をさまざまな形で知ることができる。

Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト

4. 死の影と戯れる

1987年に58歳でこの世を去ったウォーホル。その作品にはしばしば死のイメージも描かれた。「頭蓋骨のある自画像」は直接的にそのテーマを扱っている。ツナ缶を食べて女性が中毒死したことに着想した「ツナ缶の惨事」など、新聞雑誌の自殺や事故死などの記事に基づいて作成された「死と惨事」シリーズもその一つ。死刑執行に用いる電気椅子の写真をもとにした「電気椅子」シリーズも同様だろう。

Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト

こう書くと何やら暗い印象を与えるかもしれないが、1984年に始まった「最後の晩餐」シリーズは、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会横にある修道院の食堂を飾るダヴィンチのフレスコ画をもとにしたもので、図柄を大胆に解体し、自由にイマジネーション豊かに展開させているキリストの死の直前を描いた同シリーズのうち22作が、ウォーホルの死の一カ月前、修道院のすぐ近くの展示場に飾られたという。

Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト

5. グッズで追体験する

展示の最後にたどり着くグッズ売り場では、ウォーホル作品とグッズ類との相性の良さを実感するはず。アートプリントポスターやカレンダーのほか、Tシャツや帽子、タオル、トートバッグや手提げバッグ、マグカップ、マスキングテープなど、どれもウォーホルの魅力が生かされたキュートな商品ばかりで、財布のひもが緩むこと請け合いだ。

Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト
Photo:アンディ・ウォーホル・キョウト

ウォーホルを取り入れれば、日常生活もそれまでとは一味違うものになるかもしれない。ウェブサイトからもラインアップを見ることができる。

テキスト:高橋彩子

舞踊・演劇ライター。現代劇、伝統芸能、バレエ・ダンス、 ミュージカル、オペラなどを中心に取材。『エル・ジャポン』『AERA』『ぴあ』『The Japan Times』や、各種公演パンフレットなどに執筆している。年間観劇数250本以上。第10回日本ダンス評論賞第一席。現在、ウェブマガジン『ONTOMO』で聴覚面から舞台を紹介する『耳から“観る”舞台』、バレエ雑誌『SWAN MAGAZINE』で『バレエファンに贈る オペラ万華鏡』、バレエ専門ウェブメディア『バレエチャンネル』で『ステージ交差点』を連載中。

http://blog.goo.ne.jp/pluiedete

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