BATSHEVA DANCE COMPANY DECA DANCE|Photographer: Gadi Dagon
BATSHEVA DANCE COMPANY DECA DANCE|Photographer: Gadi Dagon

バレエ&ダンスの名作を自宅で鑑賞:第2回 バットシェバ舞踊団『DECA DANCE』『LAST WORK』

コンテンポラリーダンスの雄、オハッド・ナハリン作品

編集:
Hisato Hayashi
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テキスト:高橋彩子

3月に来日公演を予定しながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で公演中止となったバットシェバ舞踊団。芸術監督として長年率いてきた振付家オハッド・ナハリンの、在任中の最後の作品『Venezuela-ベネズエラ』を上演するはずだったため、悲しみに暮れたファンも多いだろう。

彼の作品のうち『DECA DANCE』『LAST WORK』は現在(2020年3月28日)、ネットで視聴可能。コンテンポラリーダンスの中でも、人間離れした強靭(きょうじん)で奇妙な動きや、ユーモアと神秘性が混じり合う不思議なテイストで、一頭地を抜くナハリン作品は、ダンスを見慣れない人にもぜひ体感してほしい世界だ。

『DECA DANCE』人気作を含む過去9作の抜粋

まず2000年初演の『DECA DANCE』を公開しているのは、シャイヨー劇場の「おうちでシャイヨー」企画。こちらは2013年収録の映像だ。過去9作の抜粋で構成しており、その振付のユニークさとダンサーのクオリティーの高さがよく分かる。途中、観客を舞台に上げて踊らせる趣向があるのだが、日本でも幾度も上演されており、ヤラセではないことは周知の事実。実際にその場に立ち会っているかのような気持ちで「参加」してほしい。

ちなみにこの企画ページには『Sadeh-サデ21』も入っていて、終盤にダンサーが美術から飛び降りるさまなどは忘れられない名シーンだ。しかし日本では鑑賞できない仕様のよう。

『LAST WORK』走る女性の意味するものは?

110ものダンス映像があるmedici.tvでは、「OPERADEPARISKEX1GDC6」のコードをこちらのサイトに入力すると、30日間無料で視聴できる。登録できたらmedici.tvへ。ここでは15年初演の『LAST WORK』を観ることができる。

『LAST WORK』は、まず舞台奥を一人のダンサーが走るシーンから始まる。さまざまなダンスが展開するのを尻目に、ひたすら黙々と走り続けるダンサー。その様には、人類の営みの歴史を巡るのを見るかのような感覚を覚えるかもしれない。終盤、彼女が旗を持って走り始めた時、あなたは何を感じるだろうか? 作品から受けた印象や解釈を、いろいろな人と語り合ってほしい。

高橋彩子
舞踊・演劇ライター。現代劇、伝統芸能、バレエ・ダンス、 ミュージカル、オペラなどを中心に取材。「エル・ジャポン」「AERA」「ぴあ」「The Japan Times」や、各種公演パンフレットなどに執筆している。年間観劇数250本以上。第10回日本ダンス評論賞第一席。現在、ウェブマガジン「ONTOMO」で聴覚面から舞台を紹介する「耳から“観る”舞台」、エンタメ特化型情報メディア「SPICE」で「もっと文楽!〜文楽技芸員インタビュー〜を連載中。

 http://blog.goo.ne.jp/pluiedete

ダンスをもっと見たいなら......

  • ステージ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、外出を控えている人、見るはずだった公演が中止になってしまった人、さらには海外への観劇旅行をキャンセルした人もいることだろう。しかし、代わりに多くの劇場が無料で映像配信を行っており、自宅で見られる映像がざくざくだ。その中から、お勧めできる映像を独断と偏見で選んでご紹介しよう。この機会にあなたも、ダンスや演劇、伝統芸能の鑑賞デビューを。

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