奈良美智『 東京の森の子』
奈良美智『 東京の森の子』 | Photo: MIE MORIMOTO
奈良美智『 東京の森の子』

東京、ベストパブリックアート

日常を見つめ直す、一流作家の眼差しで街を巡る

テキスト: Sato Ryuichiro
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東京には高層ビルから伝統的な街並みまで、多彩な風景が広がっている。だが、魅力はそれだけではない。広場や商業施設、駅の一角など、思いがけない場所にパブリックアートが点在しているのもこの街の面白さだ。

著名な芸術家による傑作が野外のあちこちで鑑賞でき、いつもの風景に新たな視点をもたらしてくれる。少し足を止めて周囲を見渡せば、見慣れた東京の景色もきっと違って見えるはずだ。

東京のパブリックアート

1. 名和晃平『 Snow-Deer』

名和晃平による高さ5メートルの彫刻作品『Snow-Deer』は、2026年3月28日にオープンした「JINS 銀座店」の吹き抜けに常設展示されている。雪が降り積もったかのようなふっくらとしたフォルムに、ホワイトパールの色彩をまとったシカが、白を基調とした空間に静かにたたずみ、銀座の街に幻想的なひとときをもたらしている。

2. 鴻池朋子『ワイルドシングス − 地形の魔力』

神田淡路町の複合施設「ワテラス」の広場に現れる、高さ約6メートルの巨大な彫刻。アーティストの鴻池朋子によるこの作品は、まるで地面から生えているかのような存在感を放つ。都市の中に突如立ち現れる、大地から競り上がる白い翼のような有機的フォルムは、その足下に広がる深い地中の世界を想像させるだろう。

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3. 奈良美智『 東京の森の子』

針葉樹のようにとがった頭部が印象的な、奈良美智による少女の彫刻。「麻布台ヒルズ」の中央広場に立つ、高さ約7.6メートルのブロンズ作品だ。頭部をアンテナに見立て、宇宙から受け取ったものを根を通して地中へ増幅させるというイメージが込められている。都会の真ん中で、目に見えない世界とのつながりに思いを巡らせたい。

4. 江上越『 交差する光 — 顔、顔、顔…』

海外で過ごした原体験をもとに、言語や文化の違いによる認識のずれからコミュニケーションの本質を探るアーティスト、江上越。大手町駅直結の緑地空間「Otemachi One GARDEN」には、2026年12月25日(金)まで、色とりどりのポートレートが描かれたドーム型テントが点在し、夜になると優しい光を放つ。緑地のほか、館内各所にも作品が展示されている。

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5. Cloud

アルゼンチンのアーティスト、レアンドロ・エルリッヒによるこの作品は、ある種の錯視を生み出している。日中だけでなく、LEDライトで照らされている光景もとても美しい。

霞が関の飯野ビルディング前に設置され、ビジネス街の中で一風変わった雰囲気を醸し出している。このインスタレーションは『Cloud』として知られており、ガラス製の箱に浮かぶ雲を10枚のセラミックインクで印刷されたガラスを重ねて制作されている。

  • ショッピング
  • 六本木
  • お勧め

東京でも著名な野外彫刻の一つに、六本木ヒルズにある『ママン』がある。フランス出身の彫刻家、ルイーズ・ブルジョワが制作したもので、高さ10.23メートルにおよぶクモの姿は圧巻。

作品名はフランス語で「母親」を意味し、胴体に大理石の卵を入れた袋を抱えている。このクモには姉妹もおり、カナダ国立美術館やスペインのグッゲンハイム美術館、ロンドンのテートモダン、ソウルのサムスン美術館リウムなどで見ることができる。

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7. 25 Porticos: The Colour and its Reflections

フランスのコンセプチュアルアートをけん引するダニエル・ビュレンが制作したこのインスタレーションは、お台場マリンパークの二つの建物の間にある通路に設置されている。

東京湾を望む場所にあって、この作品は25本のストライプの門柱を間隔を空けて配置して構成されながら、その高さや色彩はさまざまで、鏡でできた壁面が前後を囲んでいる。門柱の間に立って眺めると周囲を門柱がたおやかに切り取った景色が体験できるだろう。

8. グローイング・ガーデナー

赤色の帽子が空まで伸びていきそうなこの小人の彫刻は、ドイツの芸術家集団『インゲス・イデー』の作品。JR山手線の大崎駅の近くにあり、電車で駅を通り過ぎる際にも姿を見せてくれる。その陽気な姿に思わず微笑んでしまうこと間違いなしだ。

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9. Work 2012

三島喜美代による、この実物よりも大きなくずかごは、『天王洲アイル』駅最寄りの東横INN品川港南口天王洲の前に設置されている。その高さは2.5メートルという大きさで、私たちの消費行動で日々生み出される大量の廃棄物が着想源となっている。

その中には、「コカ・コーラ」や「アサヒビール」といった多くの商標も確認できる。かごの中に見られるゴミは、この陶製の作品を通してもろいアートへと変容しているのだ。

10. 日テレ大時計

汐留の日テレタワーの外側面にある、銅と鋼で造られた巨大な時計。スタジオジブリが制作した映画『ハウルの動く城』を連想してしまうのは、ほかならぬ宮崎駿がデザインしたからだ。

時計のからくりが動くのを見たければ、正午、15時、18時、20時に時計に注目しよう。土・日曜、祝日であれば、10時にも動くのを見ることができる。

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  • Things to do
  • 新宿

新宿駅に直結しているスバルビルの地下に現れる巨大な目。1969年に宮下芳子が制作して以来、毎日100万人以上の通勤客がその前を通り過ぎるのを眺めている。間違いなく東京で最も目を引くパブリックアートの一つだろう。 

12. Sun Dial

本作品は杉本博司による『数理模型』シリーズの一つとして制作され、大手町プレイスで見ることができる。

高さ11メートルのアルミニウム製の流線型構造物は、数式を目に見える対象にした、杉本なりの方法の結果だ。杉本は、ほかにもオーク表参道など東京を中心に多くのパブリックアートを制作している。

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13. ルーツ/Roots

虎ノ門ヒルズのオーバル広場にあって、ジャウメ・プレンサのこの彫刻はひときわ目立っている。高さ10メートルにもなるこの作品は、グローバルカルチャーや人々を結び付ける絆を表現。

タイトルの「ルーツ」はこの作品が、八つの言語(日本語、ラテン語、中国語、アラビア語、ヘブライ語、ギリシア語、ヒンディー語、ロシア語)の文字でかたどられた人間に由来している。

14. ゴジラヘッド

美しいアートより、怪獣を間近に見たいという人は歌舞伎町に行こう。新宿東宝ビルの上部から、怪獣の王とも呼ぶべきゴジラが迫力の表情で新宿の街をのぞき込んでいるのを見ることができる。

全身像が見たければ、日比谷ゴジラスクエアへ。1994年から街の人々を守る、体長1.2メートルのゴジラが出迎えてくれるだろう。

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15. 都庁おもいでピアノ

草間彌生の代名詞とも言える水玉模様の付いたグランドピアノは、東京都庁の西展望デッキの改修後に設置された。誰でも無料で演奏できるのがうれしい。

16. 岡本太郎の作品

日本を代表する芸術家、岡本太郎。彼の作品も、都内各所で目にすることができる。青山にある『こどもの樹』(1985年)は、木の枝の先に幸せそうな顔がたくさん付いている様子がかわいらしい。

銀座の数寄屋橋公園にある『若い時計台』(1966年)は、1970年開催の大阪万博に向けて制作されたもの。夜にライトアップされる光景も幻想的だ。

そして、都内で最も印象的な作品といえば、渋谷駅の渋谷マークシティ内にある巨大な作品『明日の神話』(1969年)だろう。彼の作品の中でも、最大かつ最高の傑作と呼ばれる絵画で、横30メートル、縦5.5メートルにもなる。原爆の爆発の瞬間が描かれており、その悲惨さと、そこから続く希望が表されている。

メキシコで制作後、長年行方不明となっていたが、2003年に発見、3年をかけて入念に修復された。ウェブ上にある音声解説を聴きながら、一度じっくりと向き合ってみたい。

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17. LOVE

ロバート・インディアナはアメリカの著名なアーティストで、この巨大な「LOVE」のインスタレーションは、新宿アイランドの入り口外に設置されている。

1960年代にインディアナが制作したタイポグラフィーの作品の彫刻版での再制作であり、ニューヨーク、ビルバオ、台北、そしてここ東京など世界各地に散在する同種のインスタレーションの一つだ。

18. 

紹介したもののほかにも、赤坂のTBS放送センターのすぐ隣にある『21世紀カウントダウン時計』もおすすめスポットの一つ。その名称が示す通り、オーストリア人芸術家のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーが、新千年紀へのカウントダウンのために制作したという。

時計で言えば、キネティックアーティストのジョージ・ローズが設計した青山の『マジッククロック』もチェックしたい。ガラスのケージの中で歯車やチェーン、チューブが組み合わされた不思議な見た目で、作動している様子は一見の価値ありだ。

最後に、世田谷区にある東宝スタジオでは、高さ2メートルのゴジラのブロンズ像や、黒澤明監督の映画『七人の侍』の主役たちを描いた巨大な壁画を拝むことができる。

アートな買い物を楽しむなら

  • ショッピング

東京には世界最高のショッピングスポットが数多くあることは間違いない。この都市のショッピングシーンの最もユニークな側面の一つは、美術館やギャラリーなどの中にあるすてきなショップだ。

ショップ自体がギャラリーの役割を果たしているものさえあり、全国のデザイナーや職人によるユニークな作品が展示され、限定品が売られていることもよくある。都内のミュージアムショップとギャラリーショップを紹介しよう。

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