Henrietta Hudson
Photograph: Molly Adams/ Henrietta Hudson

ニューヨーク最古のレズビアンバーが危機的状況に

存続が危ぶまれる、LGBTQ+コミュニティーのための場所

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現在、ニューヨーク市内で「レズビアンコミュニティーのための場」として特化したバーは、実はわずか3軒しかない。ウェストビレッジのヘンリッタ ハドソンカビーホール、パークスロープのジンジャーズ(ウッドサイドのバム バムは2019年に閉店している)。クリントンヒルのカモン エブリバディ、イースト ビレッジのノー バーや、ミスター アット ザ ウッズ、ビー キュートのパーティー、クィア スープ ナイトオープン フレームなども、あらゆる人々が楽しめるナイトスポットではあるが、たった3軒のレズビアンバーは現在経営の危機にさらされている。対照的にニューヨークの5つの区には、4倍以上の数のゲイバーが存在している。

ニューヨーク市は食事を提供するバーに対し、持ち帰りのカクテルやビールを出す場合、継続営業を許可してきた。しかし、アメリカで最古といわれるレズビアンバー、ヘンリエッタ ハドソンは、おいしいカクテルが目当てというよりも、コミュニティーのために奉仕する場所である。人の接触が危惧されている現在、持ち帰り営業のビジネスモデルは向いていない。

同店オーナーのリサ・カンニストラッチは、タイムアウトニューヨークの取材に対しこう答えた。

「休業を決めるのは簡単なことでした。当店はニューヨークの隣接3州のほか、アメリカ全域、さらには国外の顧客にも支えられています。顧客はウェストビレッジにはもう住んでいないので、その人たちに来てもらうことはできないのです。ウェストビレッジのほとんどの住民はセカンドハウスを持っていて、そこに移ってしまいました」

彼女は自分の店について「クィアな人々のためのレズビアン中心のバー」だと述べており、ほかの数多くのバーと同様、移ろいゆく世の中を反映しつつ、長い年月をかけて発展してきたのだ。

Henrietta Hudson

 

Photograph: Molly Adams/ Henrietta Hudson

 

また、この都市のほかの数多くのバーと同じく、彼女も店の資金集めのため、クラウドファンディングを始めた。 そして、このヘンリエッタ ハドソンは、単に酒を飲む場所を提供する以上のことをLGBTQ+のコミュニティーのために行っている。

「私たちは、トランスマスキュリンのグループである『トランス・イン・ザ・ワイルド』のような集まりを主催しています。ほかにもっといい表現がないのでトランスマスキュリンと称しているのですが、この集まりはトランスマスキュリンたちを支え、社会に溶け込む手助けをしています。毎月私たちはパーティーを開き、あらゆるジェンダーに寄与する何かがそこにはあります」

昨年、イーターのメーガン・マッカロン氏は、現在レズビアンバーがゼロになっているロサンゼルスのバー事情を嘆き、次のように記した。

「ほとんどのクィアの人々にとって、コミュニティーとは大人になってから得られるものだ。そして、そうしたコミュニティーは、最も好意的なストレートの人々主体の環境下でさえ、州法によって同性婚が許可されていようがいまいが確立され得ない。クィアな空間の喪失は、快適なナイトライフよりもはるかに重要なものを破壊する恐れがある。未来の恋愛関係から、政治的な組織化まで、全てのものがリスクにさらされる。シスジェンダーとトランスジェンダーのクィア間における連帯を構築する機会も、リスクにさらされるのだ」

しかし、ヘンリエッタ ハドソンは、店の営業の安全が確保された後、再開することに前向きでいるという(彼女は2016年、懸命に交渉して店のための15年のリース権利を得た)。だが、店を完全にフル稼働できるまでは再開しないことにしている。その理由は、ダンスフロアが線引きされて閉鎖になる可能性があることと、それが営業的に有利ではないことの両方だ。ほかのやり方では、人々にとってあまり幸せをもたらさないかもしれない。レインボープライドが行われる6月が近づいているが、この期間中に閉店するのは1991年の開業以来初めてとなる。

「レインボープライドは素晴らしい催しです。その活力こそが、私を突き動かしてくれるのです」 

ニューヨークでは、次世代のクィアスペースが出現する希望が生まれている。現在の財政的な困難にもかかわらず、カンニストラッチは楽観的だ。地域の賃貸料が下がることで、もっと小さい店が経営的な足場を作り、何か新しいことを試みる可能性が高まると話す。

また2019年にイーストビレッジ開業した、自然派ワインやフライ、クィアのための会話の場を提供する期間限定店舗ブッチ ジュディーズも計画を再考する必要に迫られている。ブッチ ジュディーズの共同創業者であるケイティ―・ザニンは次のように話した。

今は非常に困難な状況になっています。バーの再開が可能になっても、どうすれば通常の営業状態になるのか誰も分かりません。私がニューヨークに移ってきたころ、カビーホールでよく友人達と出会いました。あの店は多くの人たちにとって快適な場所です。私たちはニューヨークのクィアスペースがよい方向に向かっていると確信しています」

ザニンのビジネスパートナー、キャシディ・ガードナーは、オープンをいったん延期し、代わりに彼女たち独自のベルモット酒をプロデュースした上で、この酒のための期間限定パーティーを開くことを決めた。

Henrietta Hudson

 

Photograph: Molly Adams/ Henrietta Hudson

 

タイムアウトニューヨークはジンジャーズとカビーホールにも取材を申し込んだが、記事公開時までに返答を得られなかった。

原文はこちら

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