トラベルバブル、オーストラリアとニュージーランド間でも構想

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Divya Venkataraman
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オーストラリア人は頻繁に旅行をすることで知られている。コロナ禍以前は、東ヨーロッパ諸国のホステルや南米のハイキンググループなどには、必ずオーストラリア人がいたものだ。多くの国民が今も外に出て広い世界を探検したいと、うずうずしているだろう。

しかし、現在の危機を考えると、そんな風に旅ができるのもずいぶんと先の話になりそうだ。旅行業界では、海外旅行は2023年まで正常化しないといわれている。ただ、それまでの間、世界中を駆け巡るオーストラリア人にとっては「トラベルバブル」が中間的なソリューションになるかもしれない。

トラベルバブルとは、国が国民の旅行の選択肢を広げるために他国と渡航協定を結んだ結果、形成されるゾーンのこと。協定を結んだ国々が概念としての一つの大きな泡(バブル)に入ることで、外界からのウイルス侵入を最小限に抑えながら、他国との行き来を再開することができる。ポストコロナの時代に観光業や他国との経済活動を順次再開させるため手段の一つとして注目されている。

世界の各地域で行われているトラベルバブルへの取り組みが、このコンセプトに見込みがあることを示唆している。5月15日、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト諸国が相互に国境を開放した。これは、新型コロナの大流行以降、国家間で結ばれた初めての排他的な渡航協定だ。この3国では、新型コロナウイルスの感染者数が合計でも4231人と近隣のEU加盟諸国よりも著しく少なかったため、慎重を期しながらも国境開放することができた。3国のトラベルバブル内に住む人はバブル内を以前のように移動できるようになった。バブルの外からこれらの国に到着した人にはこれまで通り、2週間の強制隔離期間が設定されている。

ドイツの首相メルケルは、EUのシェンゲン協定加盟国において、6月15日(月)に国境制限の解除できることを期待していると表明している。北半球の夏の観光シーズンが近づくにつれ、ヨーロッパの多くの国が観光客をしきりに歓迎している動きの表れだ。

アジア太平洋地域では、オーストラリアとニュージーランドがすでに、タスマン海をまたいだトラベルバブルを形成する構想を打ち出している。両国とも感染者数は比較的少なく、両国間で行き来できることは、ぞれぞれの住民が互いの国の自然の恵みを探求する機会を与え、コロナ禍以降の観光業やホスピタリティ産業に経済回復のチャンスを与えることにつながる。トラベルバブルの運用が開始されると、オーストラリアとニュージーランドの市民は、今はどちらの国も続けている14日間の強制隔離期間を経ることなく、両国間を行き来できるようになる。また予防対策として、空港での体温チェックのように、飛行中や空港内での厳格な衛生管理がさまざま導入されるだろう。

しかし、このようなオーストラリアとニュージーランド間のトラベルバブルがいつ形成されるかについては、まだ不明だ。最も早い可能性が、冬の始まりごろといわれている。うまくいけば、サウスアイランドのスキー場で最高のパウダースノーを満喫するには間に合うだろう。5月15日、ニュージーランドのアーダーン首相は、タスマン海を越える旅行ができるようになるのは数週間先になるだろうと述べた。オーストラリアのモリソン首相は、規制を徐々に撤廃していく3段階プロセスの中で、ニュージーランドへの旅行については最終段階に含めている。しかし、その段階の実施は7月になる見込み。

幸運なことに、オーストラリアには、ニュージーランドへ渡航が可能になるまでに、行くべき旅の目的地が多くある。シドニーから日帰りでも、自然の驚異を体験することが可能だ。カヤックなど、今までに楽しんだことのない方法で街を楽しむのも悪くないのかもしれない。

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