巣鴨が「おばあちゃんの原宿」として知られる理由

シニアが多く集まる巣鴨エリアをレポート

テキスト:
Ili Saarinen
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テキスト:イリ・サーリネン
翻訳:小山瑠美
写真:豊嶋希沙

原宿は若者のファッションの聖地かもしれないが、巣鴨は高齢者が自身のスタイルを誇示する場所だ。豊島区のはずれにある巣鴨エリアは、約800メートルにわたって続く地蔵通り商店街が有名。ここでは東京はもちろん、地方から集まった高齢者たちが、そぞろ歩き、買い物をして、充実した時間を過ごしている。

もともと、とげぬき地蔵尊 高岩寺の地蔵菩薩像という尊像にあやかって退職者たちの人気を集めた巣鴨エリア。最近はその魅力をより深く根付かせている。地蔵通りの入口を示す看板をくぐり抜けると、通りに立ち並ぶ喫茶店や居酒屋、病院などの入口には階段や障害物がなく、ほとんどが車いすで入るのに十分な広さが設けられていることに気付くだろう。

同様に車いすでも利用しやすいのが、地蔵通りを入ってしばらく歩いた場所にたたずむ由緒ある寺院、とげぬき地蔵尊高岩寺だ。遠方や近場から訪ねてきた参拝者たちが、いかなる病気も治癒させる力があるとされる奇跡の仏像、洗い観音の前で行列を作り、水を掛ける順番を待っている。1回以上お参りすると健康に最大の利益があるが、その言い伝えは地元の商店や食堂にとってありがたいものに違いない。 

“Sugamo”

バリアフリーの環境は、平坦な道路やなだらかな傾斜だけではない。巣鴨で接客業に携わる人々は、高齢者に慣れており、優れた柔軟性を発揮し、東京のほかのエリアよりもゆっくりとした口調で会話をしている。このように歓迎する姿勢があるからこそ、高齢者たちは巣鴨に通い続けるのだ。もちろん、価格の安さも街の魅力のひとつになっている。巣鴨ネイル うるうーるには、年代別割引サービスがある。たとえば、50代は50パーセントオフ、60代は60パーセントオフとなり、もし100歳以上ならば無料でネイルを施してもらえることになる。

巣鴨を訪れるなら、四の日の縁日が行われる毎月4日、14日、24日がおすすめ。地元の商店や飲食店が地蔵通り沿いに露店を出し、高岩寺の行列は境内からはみ出すほど長く伸びる。この日程に都合がつかない場合は、商店街の交通規制が正午から18時まで行われる土曜日、日曜日、祝日(平日は15時から18時まで)に訪れてみるのもいいだろう。

巣鴨名物の幸福を呼ぶ赤パンツを入手したら、甘味処の甘露七福神で抹茶と和菓子を味わおう。まるまる太った3匹の猫たちが出迎えてくれ、常連客と遊ぶために店内に入ってくることもある。しっかりした食事をしたければ、たけやまがおすすめ。肉食のシニアたちがハンバーグや豚肉の生姜焼きにかぶり付いている。

“Sugamo”

ゆったりと流れる時間を楽しむ……

  • Things to do

絶大な人気を誇る吉祥寺の隣にある街、西荻窪。土曜日や日曜日になると快速電車は通過してしまうし、大きな商業施設やシネマコンプレックス、さらにはスターバックスもない。だからこそ、西荻窪は良いのだ。個人経営の店が多いため人と人との繋がりを感じられたり、ゆったりと流れる時間が人に合わせる必要はないと物語っていたり、生活感がにじみ出ていたりと、この街は「西荻窪」という個性をしっかりと持っている。

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