「タイムアウト」が毎年選出する「 世界で最もクールな街」ランキングの2025年度版の第1位に東京の神保町が選ばれた 。その栄誉を記念して2025年10月27日、「世界で最もクールな街のナイトライフ」と題したトーク&DJイベントを神保町で実施。会場は、この街の食・アート・音楽が交差するカルチャースポット「 肆-YON- (ヨン)」だ。
Photo: Manabu Morooka
1980年代末から活躍してきた東京を代表するディスクジョッキーことDJ MOODMAN がプレイするほか、同店のオーナーである杉山佳世子と、タイムアウト東京・英語編集部でナイトライフジャンルを担当しているJasmina Mitrovic(ジャスミーナ・ミトロヴィッチ)、同副編集長のili saarinen(イリ・サーリネン)の3人でトークセッションを実施した。
トークテーマは「ローカルとグローバルの目線で見た東京のナイトカルチャー」。杉山は、肆-YON-のほかにも渋谷で「 ゴールデンボール 」「 女豹 」というバーとスナックを経営しており、東京ローカルなナイトカルチャーをよく知る人物だ。
神保町と渋谷の違いについて、「神保町は『守る』街。一方、渋谷は常に新しいものを求めて『壊す』街」と杉山は評する。神保町は、本の街・カレーの街・スポーツの街といくつかのキーワードで多くの人に認知されるなど、歴史と文化を大切に育てることが得意なのだという。一方で夜に目を向けてみると、24時を過ぎても営業している店は数えるほどしかないという街の課題も提示された。
Photo: Kisa Toyoshima
肆-YONの本格的なサウンドシステムを備えた「リスニングスペース」は、音楽好きによる音楽好きのためのカジュアルな空間だ。「音楽に集中して楽しんでもらうために、リスニングバーのように曲をつながず、一曲全てを流すのが特徴です。でもジャズ喫茶のように黙って聴くのではなく、音楽などに対してワイワイおしゃべりできる自由な空間でもあります」(杉山)
近年、世界からも注目されている日本のリスニングバー文化の突端ともいえるこの空間は、日本のナイトライフの特徴的な要素を表出させたものともいえる。
ジャスミーナは他国、特に欧米のナイトクラブでのスマホ依存を危惧していると語る。「スマホから目を上げない、あるいは画面越しに楽しむ人が目立ちます。でも東京は、みんなが音楽を楽しんでいると感じられるパーティーがまだまだ多くありますよね」と違いを語る。リスニングバーの潮流も、そうした日本人ならではの集中的な楽しみ方の一つなのだろう。
Photo: Manabu Morooka
最後に「神保町をどんな街にしたい?」という質問に対して、杉山は「今は書店など、目的を持ってくる街だと思います。肆-YONはナイトライフをはじめ、パーティーやアート展などいろいろな遊び方ができる場所にしていくつもりです。そんな機運が街全体に広まり、5〜10年先には『とりあえず神保町行かない?』と、行けば何かあると思ってもらえる街になったらいいなと思います」と未来への展望を語った。
Photo: Manabu Morooka 2階のアートスペース
トーク終了後はDJ MOODMANによるセレクトプレイを実施。音楽好きな客が身体を揺らしながら聞いたり、音楽談義に花を咲かせたりと思い思いに楽しんでいた。