2025年を代表するベスト怪談師5選
木根緋郷|Photo: Kisa Toyoshima | 木根緋郷
木根緋郷|Photo: Kisa Toyoshima

2025年を代表するベスト怪談師5選

王道な実話怪談から人の闇が垣間見える「いやな」物語まで、東京を拠点に活動する5人を紹介

広告

タイムアウト東京 > Things To Do > 2025年を代表するベスト怪談師5選

人はなぜ「怖いもの見たさ」に心引かれてしまうのだろうか?  怪談は、いつの時代も一定の層に深く支持されてきた文化だが、近年その熱狂は一気に加熱。さまざまな怪談・ホラーイベントが各地で開催され、私たちの好奇心を日々くすぐっている。

伝統的な心霊話が持つ奥ゆかしい怖さはそのままに、現代の怪談は進化したといえるだろう。圧倒的な取材力によるリアルな実話の体験談、「怪談師」の枠にとどまらない多角的なユニーク視点、さらにそれを増幅させる「生(なま)の語り」の臨場感。ぜひ「会いに行ける」怪談ライブへ足を運んで体験したい。

人がいるところに恐怖あり。本特集では、そんな大都市・東京を拠点に2025年の怪談シーンを牽引(けんいん)した、実力派怪談師5人を紹介する。呪物コレクターから「いやな」話の帝王、研ぎ澄まされた感性を持つ女性語り部、精神医学とラップを知る異色の怪談師、そしてクールな収集家まで、個性的なラインアップに注目してほしい。

ブームの最前線に立つトップランナーたちの、恐怖の世界をのぞいてみては。

関連記事
東京、ホラーアトラクション2025

令和のホラー好きなら外せないのが、オカルト研究家の田中俊行だ。いわく付きの品々を、国内外を飛び回りながら集め、現在は約500体の呪物と暮らしているという。呪物コレクターとして「クレイジージャーニー」に出演するほか、数多くの著書出版などを通して、ホラーファンを魅了する。

民俗学者のように呪物やその土地の歴史や伝承、探求する一方で、田中のアイコン的な呪物キャラクター「チャーミー」のグッズ化など、オカルトをポップカルチャーにした一端を担う存在でもある。2025年8月には「呪物書店」を主催したほか、11月からは田中原案のホラーサスペンス漫画の連載がスタートした。

そんな田中は、呪物コレクターとしてだけではなく、怪談師としても絶大な支持を集めている。2013年の「稲川淳二の怪談グランプリ」では王者に、「怪談最恐戦2021」ではグランプリに輝いており、その腕前は言うまでもない。

呪物は人の呪いや願いをモノに込めて伝えるものであり、その背景にはさまざまな人のエピソード・思いが介在する。存在自体が「恐怖のタネ」ともいえる呪物を実際に見せながら話す怪談も多いので、イベントで直接目にすれば、恐怖をより身近に感じるかもしれない。

もちろん、取材や体験談に基づいているという怪談は、わざと怖がらせるような口調では語られない。淡々と紡ぎ出されていく言葉が余計にリアリティーさを増し、さらに引き込まれていくだろう。

田中のデビューしたきっかけともいえる怪談「あべこべ」をはじめ、とある呪物を取り巻く怪談や民族信仰など、実体験や実物があるからこそ語られる、飾り気のないピュアな恐怖体験をしたい人におすすめの怪談師だ。

東京が拠点だが、全国でイベントに出演。2026年1月14日(水)は中野で丸山ゴンザレスや村田らむが参加する「『闇社会』報告会 〜ここでしか聞けない禁断トーク」が予定されているので、怪談&オカルト初めにぜひ参加してみては。公式XInstagramYouTubeで詳細をチェックしてほしい。

怪談師・作家の木根緋郷(きね・ひさと)は、そのクールな外見が怪談の持つ妖艶さと相まって、独特の魅力で令和のファンを引きつける。北海道出身で岐阜育ちという経歴から、書籍『北の怪談』や『岐阜怪談』というご当地怪談シリーズにも参加。主に街の日常の延長線上にある飲食店や物販店で集めたという怪談はどれも、人間の「恐怖」というフィルターを通して日々の営みに潜む、深層心理にまで触れられる。

「稲川淳二の怪談グランプリ」では2024・25年にファイナリストにも選出。「怪談界の若手ナンバーワン」として人気を博し、単独怪談ライブも即完するという木根は、2025年を代表する怪談師の一人としてはピッタリだろう。

YouTubeなどで木根の怪談を聞くと時折、その意外なほどのカジュアルさに少し拍子抜けするかもしれない。まるでたまたま立ち入ったバーで相席になった客が「そういえば、この間こんな不思議な話があって……」という感じでこっそり教えてくれたような、親しみやすさを覚えそうだ。

「怖がらせてやろう」というわざとらしさはなく、実際に木根の語りを聞くと、妙なリアルさを醸し出しているのが分かるだろう。話し手と聞き手の距離感を遠ざけないからこそ、まざまざと浮かび上がる情景に恐怖してほしい。

一方で、怪談ライブなどでは江戸以降の怪談師による「聞くお化け屋敷」かのような演出を調べ、現代に落とし込んだ語りを披露することもあるという。その場に応じて自由自在に工夫された、プロの語りが聞けるだろう。

2026年1月31日(土)には両国で怪談イベント「木根緋郷の傀」が開催。木根を囲み、参加者自身が体験談を語る第2部(1,000円、税込み)も初開催される貴重な機会だ。ぜひ気軽に参加してみては。

広告

ラッパー・精神科医・怪談&ホラー作家という、思わず二度見してしまいそうな異色の肩書を持つDr.マキダシ。昼間は東京都内の病院で精神科医を務め、夜や週末はラッパーとして活動する彼は、2025年8月に開催された「稲川淳二の怪談グランプリ」では見事優勝を果たした。

さらに、7月には初の単著となる『トラウマ怪談録 精神科医が語る本当に怖い話』が発売。精神科医の観点から描かれる人物描写や考察が高評価を得ている。今年注目の怪談師の中では最も新鋭だ。

一見怪談とは無縁のような彼が怪談の世界に足を踏み入れたのは、八甲田山・恐山・白神山地など、神聖や恐ろしさが漂う青森県出身ということも一因だという。

肩書からも分かる通り、彼の特徴は唯一無二の多角的な視点とアーティストならではのユニークな表現。自らの医者としての体験談はもちろん、周囲の医療関係者から聞いたという「実話怪談」は、その字面だけでも好奇心がくすぐられそうだ。「精神」と「怪談」という、密接に関わり合うジャンルを、医者でありオカルトファンでもある立場でどのよう視点からひもとくのか。実際に彼のパフォーマンスを聞いて体験してほしい。

また、ラップ、もっというと、バトルがメインのヒップホップ界隈(かいわい)という、一見怖いもの知らずな感じのアーティストやDJからも怪談を収集し、「ラッパーの怖い話」というテーマで大会を主催。重厚感のある口調で、身近な視点と意外な視点の両方を兼ね揃える彼の怪談は、現代カルチャー的でもあり、はたまた伝統を踏襲したスタイルともいえるだろう。

何を語り出すかは口を開くまで全く予想できない、独特の世界観に引き込まれてみては。イベント「ラッパーの怖い話」の開催情報は、随時公式Xで確認してほしい。

総視聴数1600万回以上を記録した松原タニシ発案の人気怖談賞レース「OKOWA」で、2018年に優勝した作家の深津さくら。聴き入るような美しい声と、その静けさの中ににじみ出る恐怖が人々を惹きつける怪談師だ。

京都の芸術大学の卒業研究では「実話怪談」について怪談論を書いたというほど熱心な恐怖への探究心を持つ深津は、厳選して収集した話を「代弁者」として丁寧に伝えていく

2025年のサウナ×音楽×アートの都市型フェス「OSAKA SOUND BARTHE」や、野外イベント「森、道、市場」では怪談ユニットの「おばけ座」として参加したほか、「BRUTUS」で「深津さくらの実話怪異手帖」として連載をするなど、カルチャーの一部として怪談を気軽に楽しめるのもうれしい。

初の単著である『怪談びたり』や、続編の『怪談まみれ』でも、静寂に漂う奇妙な怪談が多く、ホラー初心者でも入りやすい。イベントでは定期的に怪談を披露しているが、その癒やされる語り口に油断して聞いていると、隙をついて恐怖が襲ってくるかもしれないので注意が必要だ。

母に見せてもらった卒業文集の何気ないページに書かれた内容がゾッとするような現実とつながってくるという「卒業文集」や、披露すると奇妙な現象が起こることが多いという「大きな女」など、良質な実話怪談を堪能してみては。 

2026年1月4日(日)は渋谷で、おばけ座として怪談イベントが開催。吉田悠軌をはじめとする審査員による対決型なので、ワクワク・ゾクゾクした新年が楽しめそうだ。

広告

作家としても活躍する夜馬裕(やまゆう)は、まるでミステリー小説を読み解くかのように怪談を繰り広げる話術を持つ。

「怪談最恐戦2021」では見事グランプリに輝くなど、怪談師としての実力は言わずもがなだ。近年では、ホラー映画『ドールハウス』のノベライズの執筆や、ホラーオムニバス漫画『厭談夜話』で原作を担当するなど、多様な角度で令和のホラー・オカルトブームの流行を牽引する。2025年の怪談最恐戦では実行委員も務めた。

「怪談界の帝王」の異名を持つ夜馬裕の特徴の一つには、その卓越した構成力が挙げられるだろう。徹底的な取材から得たネタ自体の質の高さはもちろん、素材を最大限に生かした構成や展開により、聞き手は幾重にも恐怖を体験できる。オチの後の後日談や余談でさらに嫌なオチが用意されていたりと、いい意味でなんとも言えない「いやな」余韻がクセになりそうだ。

また、怪談にふさわしい落ち着いた語り口調も、独特なリアリティを演出している。幽霊系はもちろん、人の闇が垣間見える「ヒトコワ」もおすすめだ。

「ゴールデン街ホラーズ」という怪談ユニットで「新宿ゴールデン街」を中心とした活動もしており、人々の行き交う眠らない街ならではの怪談も面白そう。東京ならではの都会的な恐怖に触れてみてほしい。

定期的に怪談イベントに出演しているので、公式Xを確認して見逃さないようにしよう。

もっとホラーを楽しむなら……

  • 映画

日本映画界は世界的に見ると、象徴的で背筋が凍るようなホラー作品を制作することで確固たる評判を築いている。ジャパニーズホラーの特徴は、観客の悪夢をあおるためにCG技術に頼るのではなく、長く続く恐怖とより恐ろしい物語のためにサスペンスをじっくりと構築しているところにある。

ハリウッドはこれらの素晴らしい作品の多くをリメイクしたが、オリジナルの素材にはかなわなかった。今回は、そんなジャパンホラー映画の中でも特に優れた作品を紹介しよう。身震いするほど恐ろしくも心に残る作品を発見できるだろう。ただし、鑑賞は一晩に1本だけし、明かりをつけておくことをおすすめする。恐怖で眠れぬ夜を過ごしたくなければ。

おすすめ
    最新ニュース
      広告