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アウトドアで使いたい伝統工芸品5選
機能性と美しさを兼ね備える5つのプロダクト
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テキスト:吉澤朋
本格的な夏もすぐそこだ。週末、連休などアウトドアで過ごす計画を立てている人も多いのではないだろうか。アウトドアに必須のアイテムといえば、軽くて割れないプラスチックや、使い捨ての紙製品が主流だが、どうせなら五感にも心地良いものを選びたい。大人でエコなアウトドアを演出してくれる工芸品を、5つ紹介する。


蚊遣り(くわな鋳物)
虫対策で使いたいのが、鉄製の蚊遣(や)り器。花火やアサガオなど、夏の風物詩から発想を得た模様が施された蓋から立ち上る煙が、なんとも趣がある。江戸時代から続く鋳物の伝統が残る三重県桑名地方で、現代の生活に活かせる鋳物づくりを行う「くわな鋳物」が手がけている。
重厚感ある見た目だけでなく、実際に重いのだが、高さは5センチ弱でかさばらない。車で出掛けるなら十分携帯可能だ。蓋があるので多少の雨よけにもなり、やけどの心配がない。アクリル焼き付け加工はされているものの、鉄製なので、濡れたら乾いた布で拭いてから収納する手間は必要だ。
蚊取り線香も天然由来のものを使おう。化学成分を一切使用せず、主成分である除虫菊(じょちゅうぎく)に、ハッカやシラカバ木粉など、数種類の植物原料を組み合わせた「りんねしゃ」の菊花線香は、虫が嫌がる香りで蚊を遠ざけてくれる。蚊取り線香によくある鼻にツンとくる臭いはなく、どこか爽やかささえ感じられる。これなら子どもやペットがいる環境でも安心だ。どちらも高円寺の生活雑貨店コトゴト(cotogoto)で販売している。


コーヒーミル(ポーレックス)
自然の中で味わう一杯には特にこだわりたい、というコーヒー好きは多いはず。アウトドアだけでなく、オフィスでも活躍しそうなのがジャパンポーレックス社のコンパクトなコーヒーミルだ。
豆を挽く刃部分に同社が得意とするセラミックを使用している。セラミックには金属臭がなく、錆びることもないため、ステンレスの本体含め、すべてのパーツを丸洗いすることが可能。さらにはネジの締め方で、エスプレッソ用から粗挽きまで調節することもできる。アウトドアでここまでこだわれれば、コーヒー好きも文句は言うまい。
電池、電源が不要なのもアウトドア向き。またコーヒー豆が熱せられてしまう電動と違い、手挽きは風味を損なうこともない。
こだわりのコーヒーを淹れる店が日本各地にある今、訪れた先で出会ったコーヒー豆を、翌朝に小川のせせらぎに耳を澄ましながら挽いてみるのも良いだろう。時間に追われない環境だからこそ、一杯のコーヒーを淹れる作業を心から楽しみたい。




和ろうそく
非常用の明かりとして便利なろうそくだが、特別な灯の空間を演出するアイテムとして使うなら、和ろうそくをおすすめする。西洋ろうそくの芯が糸でできているのに対し、和ろうそくは撚(よ)りをかけた和紙でできている。さらにその上にイグサを巻いているため、火が大きく明るいのが特徴で、風にも強い。
鉱物油を使ったキャンドルと違い、ろうはハゼの実や植物性油脂、お米の糠(ぬか)を使った糠蝋(ぬかろう)などが使われている。ろうが垂れにくいので、自然の中でも心置きなく使える。鉄製のろうそく立てなどと合わせて使えば、アウトドアの夜をより美しく演出してくれる。写真は、石川県七尾市で和ろうそくの製造を行う「高澤ろうそく」のもの。


手ぬぐい
普段使いしている人も多いはずだが、アウトドアでも抜群の使い勝手を発揮するのが手ぬぐい。バーベキューの時には頭巾に、首に巻けば日除けにもなる。さらに保冷剤を包んで巻けば熱中症予防にも。吸収性が抜群なので、汗ふき、ハンカチ、布巾としてはもちろん、川などではしゃいだ後のタオル代わりにもなる。乾くのも早い。ハンガーや車の窓際に吊るしておけば、天気の良い日ならものの数時間で乾いてしまう。何より、かさばらないので家族全員分を揃えても邪魔にならない。
手ぬぐいの染色は、「注染(ちゅうせん)」という方法が主流。何枚もの布を折り重ねて、染料を上から注ぎ入れる染め方だ。大阪が拠点の手ぬぐいブランド「にじゆら」の東京支店では、その染めの機械を常駐させ、デモンストレーションを随時開催している。布の下部を真空にすることで染料を一気に浸透させる仕組みは、実際に見てみると納得するだろう。
日常の生活用品もこだわる...
素材で選ぶ、日常に取り入れたい工芸品10選
「匠の技」「超絶技巧」といった単語で飾られがちな日本の工芸。ときに北欧雑貨などよりも近寄り難い印象を抱く人もいるのではないだろうか。だからこそ、日本に昔からある素材・技術をもっと身近に活かそうという試みも長く行われてきた。その中でも、使い勝手が良く比較的手頃な値段で、現代の生活に取り入れたい工芸品10品を紹介しよう。