車いす目線で考える 第7回 障害はうまくデザインする

バリアフリーコンサルタント大塚訓平が考える、東京のアクセシビリティ
イラスト:hyugakoike
作成者: Shiori Kotaki |
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テキスト:大塚訓平

毎年12月3日〜9日が『障害者週間』であることを知っているだろうか。内閣府のウェブサイトには、『国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的として、従来の「障害者の日」(12月9日)に代わるものとして設定されました』とある。

今年の障害者週間のニュースで僕の目に止まったのは、筋ジストロフィー患者の半生を描いた映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』で主演を務めた俳優の大泉洋が、「少しでも障害者と健常者の垣根をなくせる映画になれば」という言葉を残したこと。12月4日に、障害者週間の特別企画として開かれた講演会での一言だ。社会的に影響力のある有名人から、このような言葉を聞ける時代になったのである。

また、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催が決定して以来、パラアスリートのメディア露出が増えたり、障害者を題材とした映画やドラマが数多く放送されたことで、障害者に対する意識が、少しずつ社会の中で変わりつつある。今までのように、障害者を感動のストーリーに乗せて伝えるのは、もう古い。最近良くなってきたこの流れを、さらにポジティブにしていくには何が必要か。僕は、「障害をうまくデザインすること」だと思う。

「すごい!」や「かっこいい!」というイメージで、障害者に対する意識を世界的に大きく変えたのが、イギリスの公共テレビ局、チャンネル4が制作したパラリンピックのCM『Meet The Superhumans』だ。ヒップホップの名曲、PUBLIC ENEMYの『Harder Than You Think』に乗せて、パラアスリートの誕生からハードなトレーニング、そして、想像を超えるパフォーマンスを描いている。このCMは、障害者を不自由な人や助けが必要な人、弱々しい人だと思っていた人には衝撃を与え、「強さ」や「人間」に対する概念さえも変えてしまった。最も印象的だったのは、パラアスリートを「Superhumans(超人)」と表現したことだ。

ネガティブをポジティブに、そして、そのポジティブをさらに超えていくには、悲壮感漂うものや、同情を乞うものではいけない。むしろ、笑いやポップさ、クールさが必要で、うまい見せ方ができていると、誰が見ても「かっこいい!」「(いい意味で)やばい!」となるはずだ。だからこそ、障害をうまくデザインすることが必要不可欠なのである。

僕自身が考える、ドラマや映画での「ポジティブな表現」とは、現在、健常者の俳優が演じている障害者役を、障害当事者の俳優が演じるようになること。そして、「ポジティブを超える表現」とは、主役が演じる様々なシーンの裏側で、多数の障害当事者が、通行人Aや路上ライブをする青年B、居酒屋の客Cという具合に、エキストラとして背景を彩っているということだ。障害を持った人が、自然に日常に溶け込んでいるシーンこそが、真に障害者と健常者の垣根がなくなっている世界だと思う。

大塚訓平(アクセシブル・ラボ代表理事)

1980年、栃木県宇都宮市生まれ。2006年、不動産会社オーリアル創業。2009年に不慮の事故で脊髄を損傷。車いすで生活を送るようになったことで、障害者の住環境整備にも注力するように。2013年には、外出環境整備事業に取り組むNPO法人アクセシブル・ラボを設立。健常者と障害者のどちらも経験している立場から、会社ではハード面、NPOではソフト面のバリアフリーコンサルティング事業を展開中。

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