あと1000日でできること A.T. カーニー日本法人会長 梅澤高明インタビュー

「交通」「決済」「宿泊」3分野で訪日外国人向けのサービスの改善が急務

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in collaboration with 日経マガジンFUTURECITY

これまでオリンピック・パラリンピックの開催都市は、大会前後でその姿を一変させてきた。2020年の東京大会まで、残すところあと1000日となった今、多様な人々が世界中から訪れるその日のために、東京はどのように変わっていくべきなのか。また、どのようにその魅力をアピールするべきなのか。「東京をもっとひらくためにできること」について、政府のクールジャパン戦略を支援するA.T. カーニー日本法人会長 梅澤高明に話を聞いた。

「交通」「決済」「宿泊」3分野で訪日外国人向けのサービスの改善が急務

−梅澤さんは、東京を世界一魅力的な都市に進化させるプロジェクト「NEXTOKYO」や、国家戦略特区での政策提言など、未来について様々な取り組みを続けています。大会を1000日後に控えた今、東京が改善すべき課題は何でしょうか。

改善が必須なのは「交通」「決済」「宿泊」の3分野でしょう。まず、交通で言えば、Uberなどライドシェアサービスの合法化と普及です。訪日客が、彼らが使い慣れているスマホアプリで、移動のための足を確保できることは重要です。スマホアプリ上で行き先も入力するので、外国人がドライバーとの会話で苦労することもない。日本でも合法化を早急に進めるべきです。

新幹線のオンライン予約システムの改善も不可欠です。現状は、JR各社が異なる予約システムを使っている上、海外在住の外国人は購入できないケースもある。観光立国を目指すなら、せめて全国の新幹線を一括で扱う予約サイトの構築とeチケット化は実現したいですね。これらは1000日で十分可能です。

−「決済」と「宿泊」の改善点はどこでしょう。

近年、各国で急速にキャッシュレス化が進行し、例えば中国では現金を持たない生活が当たり前になっています。日本でもAlipay(アリペイ)やApplePayなどのモバイル決済サービスの普及が急務でしょう。宿泊については、大会中のピーク需要にも対応できるよう、民泊の活用を進める必要があります。もちろん単に「部屋数を増やせばいい」という発想では面白くない。バックパッカーから超富裕層にまで対応できるよう、宿泊の選択肢を質、量ともに充実させることが重要です。

−東京がもっと世界にアピールすべき魅力や強みとは何でしょうか。

世界に誇る文化都市であり、幅広い先端技術を生み出す都市であることです。また、2020年という、テクノロジーが非連続に進化しているタイミングで東京大会を開催できること自体も、大きな強みになります。テクノロジーの進化は日進月歩ですから、例えば複数のカメラを活用した自由視点映像やVR(仮想現実)によって、これまでにないリッチな観戦体験が実現するかもしれない。また、義足技術の進歩で、パラリンピアンがオリンピック記録を次々に塗り替えるかもしれない。そうした可能性を見据え、パブリックビューイング会場を多数設置したり、観客がストレスなく情報発信したりできる通信インフラの整備など、世界中に東京をアピールする下地づくりが必要でしょう。

−2020年の東京は、どのような姿になっているでしょうか。

各地域の歴史や特性を生かした、歩行者中心の街作りに期待しています。そこにAR(拡張現実)やロボットなど、様々なテクノロジーを重ね合わせることで、東京は本当に楽しい街になるはずです。2020年は、大規模な再開発やインフラ整備だけでなく、街に集う人を意識したヒューマンスケールの都市デザインを実証する機会にしたいですね。

梅澤高明(うめざわ たかあき)

1962年、東京都生まれ。東京大学卒、マサチューセッツ工科大学経営学修士。日産自動車を経てA.T. カーニー入社。2014年から日本法人会長。クールジャパン機構社外取締役。クールジャパン、デザイン、オリパラ、税制などのテーマで政府・関連委員会の委員を務める。11月16日、NEXTOKYOの書籍を刊行。

日経マガジンFUTURECITY第2号から転載

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