Mami Tani

東京ひらく考 パラリンピアン 谷真海インタビュー

心のバリアを取り払い、多様な存在を認め合う社会へ

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in collaboration with 日経マガジンFUTURECITY

2020年に向け、大きな変化のときを迎えている日本の首都、東京。今、東京が抱える課題、そして目指すべき姿とは何なのか。東京オリンピック・パラリンピック招致で最終プレゼンターを務めたパラリンピアン 谷真海に話を聞いた。

心のバリアを取り払い、多様な存在を認め合う社会へ

2020年に開催が決まった東京オリンピック・パラリンピック。スポーツの力を信じるひとりのアスリートとして、両大会には大きな期待を抱く一方、日本の現状には課題も感じています。そのひとつが真のバリアフリー化をどう実現するか。日本のバリアフリーをめぐる議論は、エレベーターやスロープの設置といったハード面が中心となりがちです。しかし、ハンディキャップを持つ身であり、小さな子を持つ母親でもある自身の経験から言えるのは、ひとりひとりの意識の変化こそがより重要であるということ。困っている人がいたら自然に声をかけ、手を差し伸べる。そんな心のバリアフリー化に、もっと目を向ける必要があると思います。

パラリンピアンとなり、海外に遠征する機会が増えたことで、気づいたことがあります。スポーツ先進国といわれる欧米では、オリンピック選手とパラリンピック選手が同じ施設で練習し、同じコーチに指導を受けるのが当たり前でした。街なかでは、車いすの人やベビーカーを押す母親を、周囲の人々が当然のように手助けする光景もよく見かけました。社会全体に、ハンディキャップのある人や高齢者、赤ちゃん連れの母親から外国人まで、多様な存在を自然に受け入れ、包み込む空気が満ちていたのです。私はそこに、2020年の東京のあるべき姿を見た気がしました。

いくら目に見える段差をなくしても、制度や仕組みを整えても、人の心は簡単には変わらない。だからこそ、東京で開催されるオリンピック、とくにパラリンピックは重要な意味を持っています。自らの限界に挑戦するパラリンピアンの姿に感動し、熱狂することは、きっと障がいを持つ人々への意識を変え、心のバリアを取り払う絶好の機会になるはずです。スポーツには、さまざまな困難を乗り越え、人の心をつなげる力があると私は信じています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを満員の会場で迎える。それが招致活動の頃から掲げている目標です。言葉や国籍、民族を超え、子どもからお年寄りまで楽しめるボーダレスな大会を、みんなの力で作っていきたい。そして真の意味での「バリアのない社会」を、東京大会のレガシーとして未来の日本に引き継いでいきたいと思っています。

谷真海(たに まみ)

1982年、宮城県生まれ。早稲田大学在学中、骨肉腫により右足膝下を切断、義足生活へ。その後、陸上競技を再開し、女子走り幅跳びで2004年より3大会連続でパラリンピック出場。2016年にトライアスロンに転向。現在はサントリーに勤務しながら、2020年の東京大会出場を目指す。

日経マガジンFUTURECITY創刊号から転載

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