おそらく日本一有名な文壇バー。太宰治がここのカウンター席であぐらをかく写真を知らない文学通はいないだろう。泉鏡花、坂口安吾など巨匠が通ったことでも知られる。「観光名所」などと侮るなかれ。数々の再開発が行われる銀座で、路地裏に残る怪盗ルパンの看板に、どれほどの時の流れを覚えるか、訪れる客の感性を問われる一軒だ。開業は1928年。1974年の改築を通し、店を見守り続ける樹齢100年以上のヤチダモのカウンターをはじめ、タイムマシンで昭和に戻ったかのような錯覚を呼び起こす。「大人のモスコミュール」を呑みながら、その時の流れも一緒に味わいたい。
タイムアウト東京 > ナイトライフ > 世界に誇る銀座のバー10選
「世界でもっともバーが多い街」、それは東京、銀座だろう。ロンドンやニューヨークを巡っても、シンガポールや香港、はたまたベルリンやモスクワに足を運んでも、これだけバーがひしめく街を知らない。あるメーカーの冊子によると銀座一丁目から八丁目までに多種多用なバーが350軒は営業している。街を歩いても、すべての雑居ビルに「BAR」という看板が見られるような気分だ。もちろん、数ばかりではない。銀座の歴史を、過ぎ去った昭和を閉じ込めたような歴史的一軒から、その卓越した創造性で世界から脚光を浴びるバーまで、そのコンテンツ力についても世界に誇ることができるバーの街として知られる。今回、そんな街から10軒のみを紹介。賛否あろうが、人生に命の水をもたらす個性派を揃えた。