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東京、1月にリバイバル上映される映画

青春・アニメ・SF――年明けの映画館で観るべき名作たち

Rikimaru Yamatsuka
テキスト
Rikimaru Yamatsuka
作家
トレインスポッティング
トレインスポッティング
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謹賀新年、ついに2026年が到来した。始まったばかりの本年に対し、今年こそはきっとやってやると決意に燃える人も多いことだろう。「一年の計は元旦にあり」というように、なんといってもこの時期の初速が肝心だ。名作映画や名作文学などに触れて、心を大いに動かし、エネルギーを蓄えよう。

おあつらえむきに1月はたくさんの注目作がリバイバル上映される。1990年代を風靡(ふうび)した青春映画の超傑作『トレインスポッティング』や、国産サイケデリックアニメ『パプリカ』、AIの隆盛が著しい昨今において再評価を受けているSF恋愛映画『Her/世界でひとつの彼女』など、多くの歴史的名作が新年早々スクリーンで観られるのである。

名作群を映画館で鑑賞し、大いにブチ上がったり落涙したりして、新年のスタートダッシュを図ろう。

『トレインスポッティング』(1996年)

トレインスポッティング
トレインスポッティング

舞台は不況にあえぐエジンバラ。夢も目的も持たないその日暮らしのジャンキーたちのセックス・ドラッグ・ヴァイオレンスな青春模様を描いた傑作で、90年代のミニシアターブームを牽引(けんいん)した超重要作だ。

社会現象にまでなった伝説的サウンドトラックや、個性豊かな登場人物のスタイリングなどは今観るだにクールだし、生々しくもスピード感あふれる映像感覚も魅力的。相当やりたい放題やってるのに、キッチリ90分尺にまとめ上げている脚本の秀逸さにも注目したい。スコットランドの労働者階級の実情を浮き彫りにした考証性の高さなど、社会派の側面も存外強い。

「90年代ノットデッド」を貫く中年層は、ぜひ感動にむせび泣いてほしい。

新宿ピカデリー」「池袋HUMAXシネマズ」ほかで、1月30日(金)から2週間限定上映。

公式ウェブサイトはこちら 

『her/世界でひとつの彼女』(2013年)

her/世界でひとつの彼女
her/世界でひとつの彼女

手紙の代筆業を営むサエない中年男が、AI(声はスカーレット・ヨハンソン。吹き替え版はなんと林原めぐみ)と恋に落ちる! 

鬼才スパイク・ジョーンズが手がけたSF恋愛映画で、脚本はハッキリ言ってユルユルで腰砕けだが、役者陣の名演とアーケード・ファイアによる素晴らしいサウンドトラックとハイブランド広告のようなシャレた映像美が化学反応を起こし、絶妙な「深イイ感」を醸し出している。

実際は単なるおしゃれなポップコーンムービーだが、徹底的な雰囲気作りによって批評眼を巧みに惑わし、「深い」とか「予言的だよね」とか言わしめるジョーンズの手腕たるや天才的である。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』以前の、色白ぽっちゃりなクリス・プラットがとても愛らしい。

新宿ピカデリー」「MOVIX亀有」ほかで、1月9日(金)から1週間限定上映。

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『百万円と苦虫女』(2008年)

アルバイトで100万円がたまるたびに新しい街へ引っ越して、新生活を始める女性の、波乱の日々を描く青春ロードムービー。スタッフとキャストの才気が結実した、大変に滋味深くクオリティーの高い映画である。

他者とうまく関われず、何者にもなりたくないと願う主人公・鈴子を演じる蒼井優が素晴らしく(つーかシンプルに死ぬほどかわいい)。不器用なダメ大学生を演じる森山未來のリアリティーあふれる演技や、モモ農家の長男を演じるピエール瀧の芸達者ぶりなども実にいい。

いかにも「ゼロ年代邦画」っぽい色合いやオフビート感などは今観ると隔世の感があり、淡いノスタルジーも味わえる。原田郁子の主題歌も素晴らしい。

渋谷ホワイトシネクイント」で、1月16日(金)から上映。

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『スタンド・バイ・ミー』(1986年)

スタンド・バイ・ミー
© 1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.スタンド・バイ・ミー

4人の少年が死体探しの旅に出るという、ひと夏の大冒険をみずみずしく描いた青春映画の歴史的傑作。

森の中に秘密基地を作ったり、番犬に追いかけられたり、年上の不良に絡まれたり、誰しも覚えがある子ども時代の思い出が圧倒的な輝きを持って迫ってくる。そして、ベン・E・キングの名曲を筆頭に、バディ・ホリーやジェリー・リー・ルイスなど50年代ヒットナンバーの数々が、その輝きをさらに加速させている。 

大人になるにつれ味わいを増していく作品であり、これほどまでに「12歳であること」を真摯(しんし)に描いた映画はないだろう。本作で監督を務めたロブ・ライナー夫妻が刺殺体で発見されるという痛ましいニュースがあったばかりだが、冥福は祈らない。あれほどの才気と愛にあふれた人物が、冥土で福に恵まれぬワケがないからだ。

グランドシネマサンシャイン 池袋」「TOHOシネマズ日本橋」ほかで、1月2日(金)から上映。

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『パプリカ』(2006年)

パプリカ
パプリカ

鬼才・今敏の遺作にして、映画史にさんぜんと輝くサイケデリックアニメーションの金字塔が、公開20周年を記念し4Kリマスターでリバイバル。「DCミニ」というデバイスを使って患者の夢に入り込み治療を行うサイコセラピストの主人公が、盗まれたそのデバイスを巡って奔走するサイコスリラーだ。

声優陣の熱演、緻密なストーリーテリング、魅惑的なセリフ、大胆な編集、サイケな映像美、平沢進が手がけたカオシックなサウンドトラック。全てのセクションに技巧とアイデアがあり、夢と現実が液状化してゆく恐怖と恍惚(こうこつ)を克明に描き切っている。

ものすごく気持ち悪くて、ものすごく気持ちいい映画。ミーム化した百鬼夜行のパレードシーンはもはや伝説。「虚構と現実」というテーマを追求し続けた今の最終到達地点であり、彼の足跡がここで止まってしまったことが残念でならない。

TOHOシネマズ 新宿」「アップリンク吉祥寺」ほかで、1月2日(金)から上映。

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『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』(1985年)4Kレストア版

Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto
©Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto

1984年にエリザベス・レナード監督とフランス国⽴視聴覚研究所(INA)が制作した、坂本龍一の幻のドキュメンタリー映画が、40年の時を超えて4Kレストア版として公開される。

当時、4枚目のソロ作「音楽図鑑」を制作していた坂本のレコーディング風景や、音楽哲学や価値観を語るインタビュー映像に加え、「新宿アルタ」や渋谷のスクランブル交差点、原宿の竹の子族など、海外の視点から切り取られた1980年代の東京はエキゾ&サイバーでかなり刺激的。何より、尖りまくりでナルシズム全開、けれども知的でチャーミングな32歳の坂本龍一がすさまじく格好良く、「こりゃあモテるわ」と思わされる。

坂本と矢野顕子が連弾する「東風」がとにかく素晴らしい。

109シネマズプレミアム新宿」「ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて、116日(金)から上映。

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