Tokyo International Bar Show
Photo: たまさぶろ「Tokyo International Bar Show」会場の様子

4年ぶり復活、「Tokyo International Bar Show」に過去最多の1万4700人

待ちに待った祭典が東京に戻って来た

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Tokyo International Bar Show 2023」は5月13日、14日の2日にわたり「東京ドームシティ プリズムホール」で開催された。同ショーは日本最大のバーの見本市。2012年5月に第1回が開かれ、今回で通算9回目となる。

2020年2月、日本でも新型コロナウイルスがまん延。4月には初めてとなる緊急事態宣言が発令され、飲食業界はそのあおりをくらって来た。特にバー業界は東京都知事の小池百合子から名指しで批判され、その冷風にさらされ続けて来たこの数年間だった。おそらく世界一と表現して差し支えないバーの街・銀座でも数々の名店がこの期間、荒波に飲まれ移転を強いられ、また時としては閉店に追い込まれた。

銀座
Photo by Pema Lama on Unsplash銀座の夜

2020年5月に開催を予定していた本来の「第9回」BARショーも急遽、中止。それだけに酒文化を愛する「BAR GOER」のうっぷんはたまりに溜まっていた。ゆえに4年ぶりの開催となった祭典に過去最多の来場者が集まったのも、当然だろう。出店社も過去最多の54社を数えたほどだ。 こうした背景もあっただろう。

4年ぶりの祭典と来場側は意気込んで足を運んでみたものの、13日のオープニングステージでは18年から同ショーのオフィシャル エクゼクティブを務めるデイブ・ブルームが登壇した関係者、ゲスト・バーテンダーたちとともに開会を宣言するのみ。特に奇をてらった演出もなかった。しかし、この祭典が無事開催されたという事実に酒類業界関係者のみならず、開場に足を運んだ観客たちも、安堵感と幸福感を味わったに違いない。

tokyobarshow
Photo:たまさぶろSGグループの後閑信吾

ウイスキー100年プロジェクト

各出店社によるブースはそれぞれの趣向を凝らし大盛況。今回のひとつの目玉は「100YEARS PROJECT FELLOW DISTILLERS〜ウイスキー100年プロジェクト」だろう。2023年は、1923年京都の山崎に日本初のウイスキー蒸留所が誕生してから100年にあたる。これに合わせ、サントリー、ニッカ、キリン、ベンチャーウイスキー、マルスの5社がそれぞれ自身の原酒を持ち寄り、100周年を記念したウイスキーをブレンドする企画を敢行。このショー限定で公開、試飲された。この企画、5社それぞれのメーカーが自社の原酒を60%未満使用、さらに他社が提供する原酒を5%以上活用するというルールを設け、その中で各社の「日本ウイスキー100周年」ブレンドウイスキーを繰り出した。

Tokyo International Bar Show
Photo: たまさぶろウイスキー100年プロジェクト

もちろん、私もすべて会場で試飲。各社の特長が生かされつつ、さらに互いの原酒にエールを送るような仕上がりに、ただひたすら感心。感想には個々人の差も多いにあろうかと考えるので、ここでの寸評は控えたい。ただし日本のブレンダーの実力が存分に味わえる逸品だけに、こうした企画はぜひ時折お披露目を願いたいものだ。 日本のウイスキーは海外ウイスキーの波に飲まれ1990年代から不遇の時代をかこって来た。だが、再び「ハイボール」に火がつくと、特に海外で評価はうなぎのぼり。ボトル1本に1億円という競売の値段がつけられるような狂騒曲となっている。不遇の時代、減産の影響もあり、日本ウイスキーの供給不足も原因。各メーカーはこの事態を乗り切るべく、蒸留所に巨額の投資をかけており、このテコ入れが今後の100年にどんな流れを作り出して行くのか、楽しみである。

恒例の女性バーテンダーによるコンペ

会場では、弊著「麗しきバーテンダーたち」にちなんだ恒例のイベント、女性バーテンダーによる「第8回 なでしこカップ」コンペが行われ、銀座「BAR東京」の朝倉美奈が栄冠に輝いた。私個人的に声援を送っていた神田・「バー羽月II」の無量小路美裕は試技の後、極度の緊張のあまり倒れるというハプニングがあり、非常にはらはらしたものだ。

Tokyo International Bar Show
Photo: たまさぶろ「なでしこカップ」の様子

またフレア・ジャパン・ファイナルでは新宿「ジェレマイア・トウキョウ (Jeremiah Tokyo)」の市川寛が戴冠。どちらのイベントもその日一番の集客だったとして過言ではないだろう。 ホールは両日ともに午後ともなると通勤ラッシュ時の駅構内かと思わせるほどの混雑。そんな中でそこかしこでご無沙汰や初めましての挨拶が繰り広げられ、やはりリアル・イベントの意義と重要性を再認識させられた。 こうした幸せな祭典が、いつまでも続く世の中であってほしいと痛感させられたバーショーの復活劇だった。

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