Katz's Delicatessan
Photograph: Noah FecksKatz's Delicatessan

ニューヨークの名物料理12選

ニューヨーカーのように食べるためのリスト

テキスト:
Christina Izzo
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ニューヨークでは、誰もが少しずつユダヤ人であり、イタリア人であり、中国人であり……。続ければキリがないが、このことは、ニューヨークが単なるメルティングポットではなく、小さな場所にたくさんのおいしいものが詰まった、特別なメルティングポットであることを意味している。ただ、どこから来ようが、一度ここに来れば、あなたは「ニューヨーカー」だ。

そして、我々が得意とすることといえば、食べること。有名なサンドイッチから、湯気立つスープ餃子、ピザまで、さまざまな「ローカルフード」がある。地元の人のように食事を楽しむためにトライしたい、ニューヨークの名物料理を紹介する。

Totonno's
Photograph: Time Out/Ali Garber


1. 炭火オープンピザ

シカゴでも、セントルイス、ニューヘブンなど、ピザで有名なアメリカの都市はいくつかある。しかし、スライス一つが1ドル(約110円)の立ち食いピザでも、レストランのホールピザでも、ニューヨークよりおいしいピザが食べられる場所はないだろう。本格的なピザにおいてニューヨークの唯一のライバルは、ナポリと言ってもいいぐらいだ。

1905年にジェンナーロ ・ロンバルディが、ロウアーイーストサイドでピザを焼き始めたのが、アメリカにおけるピザの始まりとされている。ピザはイタリアが発明したものかもしれない。しかし、サクサクとした食感の完璧なクラストの上に、たっぷりのマリナーラソース、溶けたチーズが乗ったニューヨークピザのスライスを見れば、ピザを完成させたのは我々だと納得がいくはずだ。

おすすめの店:ニューヨークでは基本的にどこでもおいしいピザが食べられるが、本当においしいものを食べたいのであれば、昔ながらの炭火オーブンピザでピザを作っている店に行くといい。ブルックリンのレジェンドといわれる、コニーアイランドのTotonno’sか、ミッドウッドのDi Fara Pizzaがおすすめ。


Barney Greengrass
Jonathan BumblePhotograph: Jonathan Bumble

2. ベーグルのスモークサーモンサンドイッチ

ニューヨークの日曜の朝に欠かせないこといえば、二日酔いと、それを治すためにデリで注文した、スモークサーモンとクリームチーズの入ったベーグルサンドイッチを食べることだろう。このサンドイッチの具体的な起源は不明だ。主な材料となるベーグルはニューヨークで生まれたものではないし、クリームチーズやスモークサーモンもこの街の発祥ではない。しかし、この三つの食材を組み合わせたゴージャスなサンドイッチは、ロウアーイーストサイドのユダヤ系移民が、エッグベネディクトなどのようなブランチの定番に代わり、(ユダヤ教の食事規定に対応した)コーシャ料理として考案したものだといわれている。

週末の一日をスタートさせるのに、スモークサーモンの塩気と濃厚なクリームチーズ、そしてカリッとした食感の焼きたてベーグルサンドイッチを食べる以外の方法があるだろうか。あるのであれば、教えてほしい。

おすすめの店:ダウンタウンで向かうべき店は、Russ & Daughters。創業店である総菜店と近くのカフェでは、満足のいくスモークサーモンサンドイッチが味わえる。アップタウンであれば、Barney Greengrassがいい。


PIES N THIGHS fried chicken
Photograph: Paul Wagtouicz


3. チキンアンドワッフル
 

何を考えているか当ててみせよう。きっと読者の何人かは、アメリカ北部に住む我々が、南部の名物であるフライドチキンについて何が分かるのかと思っているのだろう。意外なことに、ニューヨーカーは非常によく知っているのだ。

フライドチキンとワッフルを組み合わせたチキンアンドワッフルは、ニューヨークのハーレムで誕生。この料理が初めてWell's Supper Clubのメニューとして登場したのは1930年代のこと。サミー・デイヴィスJr.やナット・キング・コールといった、ミュージシャンたちにも、ライブ後の空腹を満たす食事として愛された。甘じょっぱいこの創作料理は街中のソウルフードレストランに広まり、深夜に酒を飲みながら、楽しむのに欠かせないメニューとなっている。

おすすめの店:このメニューが発祥したアップタウンに向かうのがいい。Amy Ruth’sでは、カリっと揚げられたチキンアンドワッフルに驚くだろう。ブルックリンのPies 'n' Thighsでは、この伝統的なメニューをシナモンバターと焼きリンゴでアレンジしていて、新しい感覚で楽しめる。



Halal Guys
Photograph: Noah Fecks

4. コンボ・オーバー・ライス 

ある都市では「ストリートミート」というと、食べた日の夜をたくさんの胃腸薬を飲みながら過ごすイメージがある。しかし、ニューヨークでは、路上で営業しているハラールのフードカートが人気で、それ自体が一つの文化として定着している。この道端の食文化は、エジプト人、アフガニスタン人、バングラデシュ人などの移民が増えてきた80年代に登場した歴史を持つ。

ハラールのフードカードでは、イスラム教の戒律にのっとって調理された肉を出すが、宗教に問わず、あらゆる人々に利用される。人気メニューは、「ハラールのっけご飯」とも言えるライスの上にたっぷりの肉が乗せられた、コンボ・オーバー・ライス。ランチタイムには、赤いハリッサと白いザジキのような二種類のソースがかかった、チキンのコンボなどを求める人が列を作る。


おすすめの店:ミッドタウンのHalal Guysは、1990年以来、チキンとジャイロのコンボを提供している有名店。近くにあるKwik Mealが出している味付けラム肉をバスマティライスに乗せたコンボもトライする価値がある。


Gray's Papaya
Photograph: Courtesy CC/Flickr/Ralph Hockens


5. ニューヨークホットドッグ

ニューヨークは常に動いている忙しい街。そのため、さっと出てきて、すぐに片手で食べられる料理のいくつかが、この街の名物になっている。その代表格は、ニューヨークホットドッグ。これであれば食べながら空いているもう一方の手でタクシーを拾ったり、地元チームのホームランに拳を上げられるというわけだ。トッピングが多いシカゴのものと比べ、ニューヨークのホットドッグは、持ち運びやすいスリムな形をしている。

その起源は、19世紀にドイツからの移民が食べていた屋台のソーセージにあるといわれている。ソースはブラウンマスタード。トングひとつまみ分のザワークラウトやレリッシュはトッピングしてもいいが、シンプルであることがニューヨークホットドッグの特徴であることを覚えておこう。本来は、塩水の入ったバットから取り出したビーフ100%のフランクを、柔らかくて白いバンズに挟んだだけの食べ物なのだ。フランクを温める塩水にはスパイスなども加えられていて、汚れたように見えることから、ニューヨークホットドッグは「ダーディーウォータードッグ」とも呼ばれている。

おすすめの店:コニーアイランドにあるNathan’s のホットドッグは世界的に有名で、エリザベス2世も食べたことがある。近くのFeltman’s 同じくらい歴史的な魅力を持ち、よりおいしいホットドッグを提供。


Junior's cheesecake
Photograph: Courtesy of Junior’s Restaurant

6. ニューヨークチーズケーキ

チーズケーキとニューヨークチーズケーキは別物だ。後者は砕いたグラハムクラッカーのクラストに、濃厚でほんのり甘くしたチーズクリームを乗せたもので、あまりのおいしさため、独自のカテゴリーが成り立ったのだ。

ニューヨークチーズケーキは、1920年代にThe Turf Restaurantのオーナーであり、ルーベンサンドイッチも生みの親といわれているアーノルド・ルーベンが作ったのが始まり。当時チーズパイに使われていたカッテージカードの代わりに、柔らかく滑らかなクリームチーズを用いたのがきっかけだったという。それから100年、このケーキはリトルイタリーのベーカリーや昔ながらのデリ、そして1980年代のテレビ番組『ゴールデン・ガールズ』を一気見するためのパーティーなどで目にするニューヨークの名物となった。

おすすめの店:観光客はブルックリン生まれのチェーン店Junior'sに集まるが、本物の地元民のように食べたいなら、ノリータにあるEileen's Special Cheesecakeへ。ニューヨークの伝統的なチーズケーキを忠実に再現している。 


Nom Wah Tea Parlor
Photograph: Courtesy Yelp/Bradley H.


7. 点心

ニューヨークで最も活気があるエリアといえば、マンハッタン、フラッシング、サンセットパークにある三つの主要なチャイナタウンであろう。これらの華やかな街は、週末になると腹をすかせた地元の人々が、ニューヨークの伝統である点心を食べるために大きなレストランや街の食堂のテーブルに集まり、混雑で混沌(こんとん)とした状態になる。

広東料理である点心で人気なのは、カートに乗せられてくる豚まん、エッグタルト、ライスヌードルロール、繊細に作られた小籠包など。ちゅうちょせず(注文するときは伝票を素早く渡すこと)、感謝の気持ちを伝える(茶が注がれたら、感謝の気持ちを込めて人差し指と中指でテーブルをたたく)、それがニューヨーク流だ。

おすすめの店:伝統的な店に行きたければ、ドイヤーズ通りにある街で最も古くて趣のある点心の店Nom Wah Tea Parlorがおすすめ。大規模でにぎやかな、ブルックリンらしい店がよければ、サンセットパークのBamboo Gardenがいいだろう。

Spaghetti and meatballs
Shutterstock


8. イタリアントマトソース

ニューヨークでは1週間のうちどの夜でも、母親がイタリアントマトソースを使って作るような「日曜日の夕食」が食べられる街だ。このソースは19世紀後半から20世紀初頭にかけて、イタリアからの移民がこの街に持ち込んだもの。彼らは街角に自分たちなりの「リトルイタリー」をオープンし、イタリア系アメリカ料理、いや、とてもニューヨーク的な料理を提供してきた。

代表的な料理は、子牛のパルミジャーノ風カツレツ、ハマグリのリングイネ、フライド・ガラマド(「ブルックリン語」でカラマリの意味)など。完璧な「イタリアントマトソース体験」を求めるのであれば、料理だけはなく、雰囲気も重視して店を選ぼう。あなたが生まれるずっと前にできた、マーティン・スコセッシの作品に出てくるような店が理想だ。テーブルにはクロスが張られ、ウエイターの首元には蝶(ちょう)ネクタイがあるといい。

おすすめの店:イーストハーレムにあるRao'sは、いつも予約が取れない人気店。予約が取れるルートがあればぜひ行くといいだろう。オゾンパークのDon Peppe'sやウィリアムズバーグのBamonte'sといった、街の中心から離れている老舗店は、比較的行きやすい。

Chopped cheese at Blue Sky Deli
Photograph: Noah Fecks


9. チョップドチーズサンドイッチ

ニューヨークのボデガ(ラティーノ系デリ)で、最も人気のあるサンドイッチメニューは、ベーコンエッグアンドチーズかもしれないが、最も「愛されている」メニューは、チョップドチーズだろう。ハーレム、クイーンズ、ブロンクスの何の変哲もない街角のデリで生まれた、グリルで仕上げるこのサンドイッチに入っているのは、ひき肉、溶けたチーズ、グリルした玉ねぎや調味料。

ビーフハンバーガーとフィリーチーズステーキサンドイッチを掛け合わせたような肉々しい味で、文字通りの地元の「ヒーロー」的メニューだ。ベーコンエッグアンドチーズは、マーゴット・ロビーがアメコミ原作の映画で食べたことで世界で知られることとなったが、「チョップドチーズ」は今でも、地元ならではのメニュー。スマートに注文すると、ボデガの店員から尊敬の念を込めて、うなずいてもらえるかもしれない。

おすすめの店:イースト・ハーレムの1stアベニュー2135番地にあるこの店は、Hajji's、Blue Sky Deli、Harlem Tasteなど、さまざまな名前で親しまれている。ここで生まれたといわれているチョップドチーズサンドイッチは、誰もが絶品だと口をそろえる。

  

Clinton Street Baking Co
Photograph: Courtesy Mark Weinberg

10. ブージーパンケーキ

パンケーキが好まれるのは、もちろんニューヨークに限ったことではない。しかし、ここでは日常的パンケーキではなく、週末のブランチに長い行列を作ってまで人々が求める特別なパンケーキのことを話している。

こうしたパンケーキにトッピングされるのは、シフォナード(細切り)したミント、ソルガムシロップ(モロコシのシロップ)、ノルマンディー産バターといった洗練された食材が多く、価格はおよそ20ドル(約2,200円)ほど。ブージーパンケーキは、インスタ映えし、ディナーにもふさわしく、都会的なパンケーキ。間違いなく、ニューヨークのブランチには欠かせないメニューの一つだろう。

おすすめの店:ロウアーイーストサイドにあるClinton St. Baking Companyは、ホイップした卵白を使うことでフワフワ食感を実現したパンケーキが有名だ。ウィリアムズバーグにあるChez Ma Tanteは、黄金色の美しさが特徴。こちらは、卵白よりも卵黄を多く使って、コクを出している。

Peter Luger
Photograph: Ali Garber


11. 乾燥熟成Tボーンステーキ 

この街に住む家族や地域の有力者にとって、ステーキハウスは自由の女神と同じようにニューヨークに受け入れられていることを感じられる場所だろう。ファンキーなミネラルを味わえるミディアムレアのステーキを提供するこうしたレストランは、高級レストランではあるが飾り気のないことが多い。

大皿に盛られた二人分のステーキには、まだじゅうじゅうと音をたてている油がかけられ、テーブルの上には、ホウレンソウのクリーム煮、シーザーサラダも置かれている。ウエイターが電話の相手に「うちでは、クレジットカードはまだ使えない」と話している声に混ざって聞こえるのは、マティーニグラスが軽くぶつかる乾杯の音だ。この街と同様に、ステーキハウスは長い間かけて得た威厳を誇っている。その雰囲気に負けないで大胆に行きたい場合、乾燥熟成されたTボーンステーキをシェアする(またはしない)以外の注文はないだろう。


おすすめの店:ニューヨークを代表する高品質のステーキが味わえる店といえば、1887年に創業したウィリアムズバーグのPeter Luger。数ブロック北にあるSt. Anselm は、新しい店ながら、ノスタルジックな雰囲気も十分感じられる。

Katz's Delicatessan
Photograph: Virginia RollisonKatz's Delicatessan

12. ライ麦パンのパストラミサンドイッチ

サンドイッチを愛する街で食べるべきメニューといえばこれ。軽く酸味のあるライ麦パンの上に乗っているのは、スライサーを使わずに切られた山盛りの肉。塩水漬け、スモーク、味付けを経て丁寧に作られたパストラミビーフだ。添えられているのは、ブラウンマスタードとディルピクルス。ライ麦パンにパストラミビーフを乗せて初めて提供したのは、1887年にリトアニアから移住してきたユダヤ人、サスマン・ボルクが営んでいたデランシー通りのデリカテッセンといわれている。

その説に反論しているのが、 Katz’sのスタッフたち。同店では今もなお、パストラミビーフが何枚も重なった「肉厚」のサンドイッチを提供していることで有名だ。その起源がどこであろうと、我々が、このサンドイッチがニューヨークで作られていることをうれしく思う。

おすすめの店:Katz'sが間違いなく王道だ。しかし、グリーンポイントにあるFrankel's Delicatessen & Appetizingも、新しい店だが、伝統をリスペクトしていて悪くない。 

原文はこちら

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