[title]
2025年4月14日、両国駅から徒歩15分の北斎通り沿いに、中国雲南省産のスペシャルティコーヒーを取り揃える「マウンテンムーバーカフェ(Mountain Mover Cafe)」がオープンした。
オーナーは、上海出身でコーヒーの難関資格である「Qグレーダー」を持つ趙乾英博(チョウ・カンエイハク)。趙は中国雲南省に特化したコーヒー豆のダイレクトトレードを行う「マウンテンムーバーコーヒー」の代表も務めており、今回オープンするのは同社初の実店舗となる。

中国・雲南省と聞くと、茶の名産地という印象を持つ人も多いだろう。しかし地理的にはコーヒーの栽培に適した「コーヒーベルト」に位置し、20世紀初頭から政府主導でコーヒー事業を開始。1988年以降はネスレやスターバックスなどの大手企業が生産拠点を設け、産地として大きく発展した。
現在では、品質の高いスペシャルティコーヒーの収穫量も増えてきている。しかし日本では中国産のコーヒーが、あまり流通しておらず、趙は日本での認知を広げるべく会社を立ち上げた。現在では、都内でも雲南省のコーヒーを提供する店が増えてきている。

マウンテンムーバーだからこそ提供できる高品質コーヒー
趙は毎年生産地に足を運び、150~200種類ものコーヒーを試飲した上で日本に仕入れる豆を厳選している。しかし、ただ買い付けるだけでなく、2つの自社農園や契約農家で新たな発酵プロセスを取り入れたり、専門的な知識を提供し、よりハイクオリティーなコーヒー豆を作り出している。
趙自身が一年のうち数カ月間は生産地で暮らし、各農家と深い関係性を築き上げてきたからこそできることだろう。

江東区にある自社の保管倉庫に温・湿度制御設備を導入したり、生豆を保管する際に高気密性パッケージを採用したりするなど、仕入れた生豆を良い状態のまま保てるよう管理を徹底。趙以外にもQグレーダーの有資格者が在籍しており、抽出にも力を入れている。
コーヒーを使用したバラエティー豊かなメニュー

同店では、「Let's talk about coffee.」という言葉を大切にしている。コーヒーを一つの食材と捉え、エスプレッソマシンやハンドドリップで抽出するコーヒーのほか、コーヒーを使用した自家製スイーツやアルコールメニューなど、バラエティー豊富な商品を提供する。ここを訪れた人にさまざまなコーヒー体験を楽しんでほしい、という趙の思いからだ。

一度でいろいろな種類を味わいたいなら、同じ豆で抽出方法が異なるアメリカーノとカフェラテ、シグネチャーコーヒーの3種類を飲み比べる「コーヒーコンボ」(2,280円~以下全て税込み)がおすすめだ。
コーヒーと他食材を組み合わせて作られるシグネチャーコーヒーは日本ではまだあまり知られていないが、趙の出身地である上海などではかなり人気があるという。レモングラスの風味を加えたココナツウォーターに、エスプレッソ入りのココナツクリームを注いだ同店オリジナルのシグネチャーコーヒーの味わいは絶妙で、思わず目を見張る。

雲南省のローカルスイーツをアレンジした「コーヒーライスプディング」(750円)もぜひ試してほしい。もち米や米に牛乳、コーヒー、ココナツミルク、5種類のスパイスを加えて煮たスイーツで、もちっとした食感がたまらない。まさにクセになる味わいである。

水曜〜土曜は21時まで営業しており、夜の時間帯だけ提供される7種類のコーヒーカクテルや、醸造所とタッグを組んで製造したオリジナルのクラフトビールも見逃せない。コーヒーカクテル「モナスティック・カスケード」(1,800円)はジンで作るカクテルで、一口飲むとライムとコーヒーの香りがふわりと立ち上る。
そのほか、シングルオリジンやオリジナルブレンドも常時8、9種類用意。メニューが多彩で、つい何度も通いたくなってしまうラインアップだ。
生産農園をイメージした開放的な空間

店内はグレーをベースにした開放的な空間に、ブロックで造られた客席や大きな石でできたテーブル、植物などが並ぶ。石は趙自身が山へ行き、自ら選んだ。空間デザインは生産地である雲南省の農園をイメージしており、自然本来の荒々しさを表現しながらも開放的で心地よい空間に仕上げている。
今後の展開としては、2026年にシグネチャードリンクに特化した店舗を開く予定だ。中国で品質の高いコーヒー豆の生産に取り組みながら、日本でコーヒー文化の可能性を広げていきたいと考えている。ぜひ両国に足を運び、新しいコーヒー体験を楽しんでほしい。
関連記事
東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら