選炭工場跡
Photo AC/ID: 24842770炭鉱施設の廃虚「選炭工場跡」

国内旅行の目的は、ダムや発電所など「産業施設」が30%超えと判明

メタ観光推進機構が多様化する「旅の目的」を1000人に調査

テキスト:
Genya Aoki
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旅の楽しみ方は十人十色、その目的は日に日に多彩さを増している。メタ観光推進機構は2023年6月27日、旅⾏者の多様な旅のテーマに対しての興味・関⼼を調査したアンケートの結果を発表した。この中で、旅のテーマについての設問では、34%の人が「灯台・ダム・水門・発電所などの大きなインフラ施設」、33%が「炭鉱、製糸場、工場跡など産業遺産スポットを訪れることがある」(図1)だと回答した。

観光の多様化に対する調査結果
画像提供:メタ観光推進機構同調査は2023年6⽉に直近3カ⽉以内の国内旅⾏経験がある20〜60代の男⼥1000人を対象に実施された

旅⾏者が興味・関⼼を引かれるテーマについての質問では、従来型の観光ではない旅のテーマに対して⾼い興味・関⼼が⾒られた。「地形(30%)」「昭和レトロ(29%)」「廃墟(27%)」(図2)など、これまでニッチと思われていたテーマに対しても回答者の約30%が興味があると回答。年代別では、20代と30代は1⼈あたり平均10以上のテーマを選択したことから、旅のテーマは多様化し、特に若い年齢層にその傾向が顕著であると示した。

観光の多様化に対する調査結果
画像提供:メタ観光推進機構

さらに、従来型(新たな土地を訪れ、その地域の建物や有名スポットを観て巡る)だけではないテーマを持った観光に「興味がある」と回答した人は、全体の84%(図3)に上った。

観光の多様化に対する調査結果
画像提供:メタ観光推進機構

同調査を行ったメタ観光推進機構の代表理事である牧野友衛は、同結果に対して「元々メタ観光では、観光振興に必ずしも100万人集まる1カ所が必要ではなく、『1万人集まる100カ所』を考えればいいとしてきました。今回多くのテーマに一定規模の興味がある旅行者がいることが分かったことで、それが裏付けられたと考えています。地域には、今回の調査結果を元に多様な視点で自地域の魅力を見つけて、観光につなげてもらいたいです。そして観光客にとっても新しい多様な観光を楽しむ機会につながることを願っています」とコメントを寄せた。

観光の多様化に対する調査結果
画像提供:メタ観光推進機構

このほか、先述した「図1」のような複数のテーマが重なり合っている「旅⾏先の地図」への興味・関⼼を聞いたところ、約半数(47%)の人が興味を持っており、「今、⾃分が住んでいる⾃治体」を対象とする地図については、半数を超える52%が興味があると回答した。

メタ観光推進機構では2021年に墨⽥区と協力して、地域の魅⼒をテーマごとに分類し、地図上にレイヤー(層)として重ねた多様な旅のテーマを可視化するオンライン地図「メタ観光マップ」を作成している。さまざまな目線から地域の魅力を掘り起こすことによって、市民一人一人の地域に対する誇り「シビックプライド」が高まるほか、アートなどクリエーティブな価値の創造につながるなど、観光のみならず副次的な効果も多く得られた。

同調査で明らかになった新たな旅のテーマや「メタ観光マップ」の普及によって、「100人100通りの楽しみ方」が一般化し、それを互いが共有することで、新たな視点を獲得してさらなる観光の多様化が進む。そんなふうに街も旅もますます面白くなっていけば、こんなに楽しいことはないだろう。

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