マツモト建築芸術祭
割烹 松本館と小畑多丘作品『KIIROI B-GIRL』(Photo: Kazumi Kiuchi)

ノスタルジックな名建築を会場にした芸術祭が松本市で開催

2022年初開催の『マツモト建築芸術祭』で街巡り

テキスト:
Hisato Hayashi
広告

※2022年2月4日更新

国宝や県宝をはじめ国登録有形文化財が多数ある松本市で、名建築の建物を会場にしたアートフェスティバルが開催。2022年1月29日(土)~2月20日(日)、『マツモト建築芸術祭(MATSUMOTO Architecture + Art Festival)としてさまざまな場所で行われる。初開催となる今回をきっかけに、今後の開催や幅広い芸術事業との関わりも検討しているという。

マツモト建築芸術祭
旧宮島肉店と五月女哲平作品(Photo: Kazumi Kiuchi)

文化開く城下町、松本市内の建物を会場にアート作品を展示

まず、松本とはどんな街だろうか。北アルプス連峰の景色や温泉など、観光地としてのイメージが強いかもしれないが、実はあちこちに洗練されたカフェやレコードショップなどが見つかる文化色の濃い街である。第二次世界大戦の戦災を逃れたことから、市内には松本城を中心に明治から昭和初期の建築物が多く残っているのが特徴だ。

マツモト建築芸術祭
中国の西王母伝説を題材に建てられた床柱。コイの木彫りが見事(Photo: Time Out Tokyo)

今回の注目会場である割烹 松本館は、1890(明治23)年創業の老舗料亭。大広間『鳳凰の間』は太田南海が設計監修した結婚披露宴のための大広間で、すみずみまで美しい細工が施されている。

マツモト建築芸術祭
割烹 松本館に設置された小畑多丘作品『KIIROI B-GIRL』(Photo: Kazumi Kiuchi)

展示を行うのは、B-BOYをモチーフにした木彫り作品を生み出す小畑多丘。ロンドンで21本の角材を組み木し、手彫りで制作された『KIIROI B-GIRL』を日本国内で初めて発表する。

マツモト建築芸術祭
旧開智学校(Photo: Kazumi Kiuchi)

旧開智学校は1876(明治9)年に建てられ、明治時代初期の小学校建築を代表する国宝に認定された建物だ。ストレッチフィルムを素材としたインスタレーション作品を制作する、中島崇が担当した。

マツモト建築芸術祭
旧開智学校と中島崇作品(Photo: Kazumi Kiuchi)

散歩しながら半日で鑑賞できる距離に

芸術祭というと、車移動が必須であったり、街中でも会場と会場の距離が離れていたりと、移動に負担がかかるのがネック。その点、マツモト建築芸術祭は、会場間の距離の近さも魅力の一つだ。

マツモト建築芸術祭
旧念来寺鐘楼と山内祥太作品(Photo: Kazumi Kiuchi)

徒歩でも十分回れるが、レンタサイクルで散策するのもおすすめ。どこか懐かしく貴重な建築そのものの魅力と、アート作品との相乗効果が生まれている。

マツモト建築芸術祭
池上邸土蔵(Photo: Kazumi Kiuchi)
マツモト建築芸術祭
池上邸土蔵と磯谷博史作品(Photo: Kazumi Kiuchi)

今回のために開場した映画館、上土シネマで上映される鴻池朋子作品は、時間をとってゆっくりと鑑賞してほしい内容だ。

マツモト建築芸術祭
上土シネマ(Photo: Kazumi Kiuchi)
マツモト建築芸術祭
©Tomoko Konoike(Photo: Kazumi Kiuchi)

疲れたら腰を落ち着けて一休みを。純喫茶ファンにはたまらない喫茶店にも作品が設置されている。

マツモト建築芸術祭
珈琲茶房かめのやと河田誠一作品(Photo: Kazumi Kiuchi)
『マツモト建築芸術祭』
『マツモト建築芸術祭』

そのほかの会場は、アルモニービアン(旧第一勧業銀行松本支店)、かわかみ建築設計室(旧松岡医院)、白鳥写真館、下町会館、池上百竹亭 茶室、旧司祭館、レストランヒカリヤ(旧光屋)など20カ所。ノスタルジックな名建築とアートのコラボレーションをぜひ鑑賞しよう。開場時間などの詳細は、公式ウェブサイトの発表を確認してほしい。

マツモト建築芸術祭の詳細はこちら

関連記事

岡本太郎らがモチーフ、淀川の街彩る巨大グラフィティを写真で紹介

東京、ノスタルジックな古民家カフェ7選

外国に学ぶ、日本の観光復興に参考とすべき2つのモデル

乾杯できる個性派靴下屋、クツシタトサケ ボボが吉祥寺にオープン

瀬戸内国際芸術祭2022、参加アーティストなど企画内容を発表

東京の最新情報をタイムアウト東京のメールマガジンでチェックしよう。登録はこちら

最新ニュース

    広告