フィンガーインザスープ
Photo: Keisuke Tanigawa

アーティストが世界の個性派料理を曜日替わりで出す定食屋が開店

吉祥寺フィンガーインザスープでパンダ餃子やフェジョアーダを堪能

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Time Out Tokyo Editors
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2021年6月26日に気軽でおいしい定食屋、フィンガーインザスープがオープンした。吉祥寺駅を北に進み、右折した女子大通りに店は存在する。歩いておよそ10分ほどだ。

同店は吉祥寺にあるアートセンター オンゴーイング(Art center ongoing)の建物を間借りして営業している期間限定の飲食店だ。運営に当たるメンバーはアーティストとキュレーターで、曜日ごとにそれぞれが持ち回る形で料理を提供している。土曜のパンダ餃子を担当する和田昌宏が友人のアーティストやキュレーターに声をかけ、曜日ごとに別々の人間がその料理をふるまうという現在の形が出来上がった。

特製『フェジョアーダ』や『パンダ餃子』、スパイスカレーなど、どの料理も趣向を凝らした逸品ぞろいで、通い詰めて味わい尽くしたいものばかり。この記事では料理を曜日に分けて紹介する。お気に入りの一皿を見つけてみよう。

木曜:ブラジルの国民食を味わう 

フィンガーインザスープ
『フェジョア―ダ』(Photo: Keisuke Tonigawa)

木曜は、映像などの作品を手がける斎藤玲児が作る『フェジョア―ダ』(800円)はとびきりの一皿だ。「フェジョア―ダ」とはブラジルの国民食で、黒インゲン豆でさまざまな豚肉をじっくり煮込んだ料理。斎藤のものは肉に肩ロース、ハツ、ベーコンとジューシーな味わい。ただし、肉の種類はその時々で変えることもあるという。

フィンガーインザスープ
『スパイスポテトサラダ』(Photo: Keisuke Tanigawa)

味は塩と黒インゲンの相乗効果か酸味が効いており、暑い夏によく似合う。キャッサバでできたブラジルのふりかけ「ファロッファ」や浅漬けの「モーリョ」も一緒に楽しめる。サイドメニューとしてライムピクルスの酸味がきいた『スパイスポテトサラダ』(300円)や、プーアル茶とナンプラー、紹興酒に漬けた特製『煮卵』(300円)も見逃せない。

土曜:おいしさの決着に白黒つける

フィンガーインザスープ
『パンダ餃子』(手前)、天野太郎による『自家製激辛辣油 多国籍唐辛子入』(右奥)、『アメリカン辣油』(左奥)(Photo: Keisuke Tanigawa)

土曜は、『パンダ餃子』(600円)や『鶏笹身白髭ネギ搾菜和え』(300円)が提供される、町中華をほうふつさせるラインアップとなる。『パンダ餃子』の皮は芸術家の和田が、あんはインディペンデントキュレーターである天野太郎が手作りする。『パンダ餃子』とはイカ墨で色付けした黒い皮の餃子と、普通の餃子をセットにしたもので、白黒の見た目が楽しい。肉とニラを多めに使い、干しシイタケとその戻し汁で作られたあんは、とってもジューシーだ。餃子はテイクアウト(500円)にも対応している。

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『鶏笹身白髭ネギ搾菜和え』(Photo: Keisuke Tanigawa)

餃子は、天野が世界中のアーティストなどさまざまなつてを通じて手に入れた唐辛子から作ったラー油で味わうことができる。ラー油は単体(600円)でも販売されており、こちらは連日入手可能。そのほかに天野の知り合いの写真家、オサム ジェームズ中川が手作りした『アメリカン辣油』(1,000円)も手に入る。

日曜:特製スパイスの調合にうなる

フィンガーインザスープ
『2種のあいがけスパイスカレープレート』(Photo: Keisuke Tanigawa)

日曜を迎えたら、福永大介が作るスパイスカレーを心待ちにしよう。種類はムング豆(緑豆)を使用した『ヴィーガンダルカレープレート』 (800円)と、ひき肉とナスの調和が引き立つ『ナスとキーマカレープレート』(800円)の2種類で、『2種のあいがけスパイスカレープレート』(1,000円)にすることもできる。

マスタードオイルに「悪魔のふん」の異名を持つ「ヒング」などの数種類のスパイスを調合し、炒めたタマネギで合わせたベースを使ったカレーは舌鼓を打つこと間違いない。付け合わせとして『チキンティッカ』(400円)も用意する。

フィンガーインザスープ
『プレミアムテキーラ』(左)と『いぶりがっこ』(右)(Photo: Keisuke Tanigawa)

日曜のもう一つの注目ポイントは、ブルーアガベのみを使用するという厳選した素材にこだわった『プレミアムテキーラ』(700円)。ほかでは高価なテキーラを、ここでは比較的気軽に味わえる。銘柄はテキーラ沼にはまってしまった福永の肥えた目によるセレクトだ。金曜はゲストを招いて料理を提供しており、月に1回程度で大久保ありとあだちゆかりが厨房(ちゅうぼう)に立つ予定だ。

同店ではユニークな酒を日替わりで味わえる。木曜はベトナムの蒸留酒、『ネプモイ』(500円)。マイナーではあるが、その甘みのとりこになってしまうだろう。土曜は餃子と相性ピッタリのかめ入り10年物の紹興酒だ。おつまみにはスモーキーな匂いとほどよい酸味が極上の『いぶりがっこ』(300円)もある。

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『ネプモイ』(左)と『煮卵』(右)(Photo: Keisuke Tanigawa)

そのほか、曜日に関係なくいつも置いているメニューとして、『メスカル』(500円)と『瓶ビール』(600円)が挙げられる。さらに、「ハリッサ」という名の後を引く辛さが特徴的なマグレブ(北アフリカ)の調味料も常備する予定。料理にあともう少し辛さが欲しくなった時に加えるにはもってこいだ。

運営するメンバーはアート関係者

フィンガーインザスープ
左から、和田昌宏、福永大介、千葉正也、斎藤玲児、天野太郎(Photo: Keisuke Tanigawa)

小川希が運営する施設、アートセンター オンゴーイングのカフェを、小川が1年間留守にしている間に間借りして営業している。定食屋を開こうと発起した和田は『手作り餃子ホー・・・』というタイトルで、餃子を実際に食すアートイベントを2021年の1月にアートセンター オンゴーイングで開催した。今回の定食屋は、その発展形ともいえる営業形態なのである。

フィンガーインザスープ
店内のオブジェ。ピラミッド状のものは伊佐治雄悟の作品(Photo: Keisuke Tanigawa)
フィンガーインザスープ
Photo: Keisuke Tanigawa


店の内観も「定食屋」になるように徹底的にこだわっている。コンセプトの一つに「海外旅行で訪れた、現地の謎だけれどおいしい定食屋」というものがあり、その雰囲気を出すための内装への力の入れようには目を見張ることだろう。レースのカーテン、装飾過多なビニールクロス、結婚式場にありそうなイスなど、豪華だけれど、どこか親しみを感じるものでそろえられている。もともとはカフェだったものを大きく転換したとのこと。デザインを手がけたアーティスト、千葉正也の手腕が存分に発揮されたたまものといえるだろう。

フィンガーインザスープ
Photo: Keisuke Tanigawa


店内の席数が限られているので、確実に座りたい人は予約をおすすめする。また、オンゴーイングの代表が戻ってくるまでの間借りのため、長くても2022年3月31日(木)までの営業を予定している。吉祥寺の外れにできたこの店を、旅行気分で訪ねてみよう。おいしい料理が待っていることは間違いない。

なお、まん延防止等重点措置期間は時短営業となる。また、営業時間の変更や臨時休業の可能性もあるため、訪れる際は事前に公式Instagramで確認してほしい。

フィンガーインザスープの詳細情報はこちら

テキスト:大橋洋介

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