牙取引と気候変動でカバ絶滅の危機

専門家などが「附属書I」入りを目指す

Ed Cunningham
テキスト:
Ed Cunningham
翻訳:
Time Out Tokyo Editors
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カバはとてもかっこいい動物だ。体が大きく、危険といわれる陸生哺乳類の一種だが、丸々としていて、とてもかわいい。かなり厳しい心を持っていなければ、カバを嫌いになることはないだろう。

しかし、そのキュートで危険な生き物が、まもなく絶滅の危機に瀕するかもしれない。実際、世界のカバの生息状況は非常に不安定で、10カ国がカバを「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES)の公式リストに追加することを提案しているほどである。

カバを脅威にさらし、減少を助長している理由の一つが、牙取引。牙だけでなく、カバの体のほかの部分も高値で売買されているという。もう一つは、気候変動のためカバが淡水に入る機会が減り、生息地が破壊されていることが理由だ。

こうしたことにより、世界に残っているカバは約13万頭だという。多いように思われるかもしれないが、実は1990年に比べてなんと20%も減少している。そんな危機的な状況にもかかわらず密猟者の取引は盛んで、イギリスのガーディアンが報じたところによると、2009年から2018年まで、7万7579個のカバの体の一部や製品が合法的に取引されたそうだ。

ある生き物が正式に「絶滅危惧種」となるのは、ワシントン条約による「宣言」が必要となる。カバは現在、ワシントン条約によって、取引が規制されないと絶滅の危機に瀕する生き物が入る「附属書II」にリストされている。活動家たちは、これを体の一部や牙の取引も完全に違法となる、最高レベルの「附属書I」に再分類することを望んでいる。

カバが絶滅危惧種に分類されるかどうかは、2022年11月にパナマで開催される次のワシントン条約会議まで分からない。提案が通れば、取引が単に法律で規制されるだけでなく、カバの個体数を回復させるために、より熱心な国際的取り組みが行われることになるだろう。カバが「附属書I」に記載されることを祈りたい。

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