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メビウスだけじゃない、バンド・デシネに特化した書店が板橋にオープン

日本マンガ翻訳を手がけるフランス人店主が営むメゾン・プティ・ルナール

テキスト:
Time Out Tokyo Editors
MAISON PETIT RENARD
Photo: Keisuke Tanigawa
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2021年8月26日、フランスのバンド・デシネ作品を中心に展開している書店、メゾン・プティ・ルナール(MAISON PETIT RENARD)が、板橋区滝野川にオープン。オーナーは、日本のマンガをフランス語にする翻訳家、デビエフ・ティボーが務めている。同店は、日本ではまだまだマイナーなバンド・デシネを多くの日本人に知ってもらうことを目的としている。

MAISON PETIT RENARD
Photo: Keisuke Tanigawa

ここでは、オンラインと合わせて1000冊を超えるバンド・デシネやフランスのアートブックなどのほか、一部だが日本語訳の著作も並ぶ。「バンド・デシネ」とは、フランスやベルギーなどの国で生まれたコミックの一種で、画集のような緻密で色彩豊かなものから、社会的な内容、エンターテインメント性の高いものまで幅広い。フランスでは、コミック部門の売り上げの多くを占めるジャンルだ。

MAISON PETIT RENARD
店主のデビエフ・ティボー(Photo: Keisuke Tanigawa)

『AKIRA』の大友克洋、寺田克也、荒木飛呂彦ら多くの漫画家、アーティストに影響を与えたといわれてるメビウスもバンド・デシネの作家だ。日本にも熱狂的なファンが多く、知っている人もいるだろう。2012年に亡くなってしまったがその人気は健在で、同店でもメビウスのイラスト集『40日の砂漠』は入荷してもすぐに売り切れてしまうのだとか。「そのこと自体はとてもうれしいのですが、ほかの素晴らしい作家にも目を向けてほしい」とデビエフは語る。

MAISON PETIT RENARD
メビウスの書籍が並ぶ棚(Photo: Keisuke Tanigawa)

例えば、エイズにかかったカップルの生活が書かれている『青い薬』(フレデリック・ペータース著、原正人訳)や、イタリア漫画界の巨匠であるセルジオ・トッピの作品など。また、フランスで今最も勢いのあるイラストレーターであるバンジャマン・ラコンブ(Benjamin Lacombe)のアートブックといった、日本でもこれから注目されるであろう魅力的な作品が棚を埋めている。

MAISON PETIT RENARD
Photo: Keisuke Tanigawa

しかし、商品は原語表記のものが多い。こうした言語の壁を乗り越えるために、意識して画集や絵本なども陳列し、バンド・デシネを知らない人でも楽しめるように工夫している。ほかにも、SNSを中心に魅力的な作品の特徴説明や、さまざまな作家のフランス語インタビューの翻訳といった情報を毎週配信しているので、ぜひチェックしてほしい。

MAISON PETIT RENARD
Photo: Keisuke Tanigawa

元々はオンラインショップを計画していたが、進めていく中で置きたい本が膨れ上がってしまい、倉庫兼実店舗になったそう。「なぜ東京の下町に」と疑問に思うかもしれないが、実は同店のある狐塚商店街の近くにはインターナショナルスクールがあり、通学や昼時は一気にフランス人でにぎわう国際的な街へと変貌するのだ。

「予想外に『この本はありませんか?』『このバンド・デシネはありますか?』と来店するフランス人が多く、「今は、付近のフランス人にも喜んでもらえるような品ぞろえも意識しています」とデビエフは語る。

MAISON PETIT RENARD
Photo: Keisuke Tanigawa

今後は、バンド・デシネの作家を招いてのサイン会や講演会、インターナショナルスクールの子どもたち向けの講談などの企画も検討中とのこと。「日本のマンガはドラマ。バンド・デシネは一本の映画」とデビエフ。「ドラマが好きだけどたまに映画も見るという感じで、マンガが大好きだけどたまにバンド・デシネも読むというようになったらうれしい」と期待に胸をふくらませる。

メゾン・プティ・ルナールの詳細情報はこちら

テキスト:米谷美恵

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