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「アジアの混沌」をコンセプトに落とし込んだオリジナル商品も

学芸大学のコンセプトストア「Bababa - 333(バーバーバー)」が、2026年5月23日にリニューアル。ベトナム・タイ・台湾・中国などのビンテージ雑貨をはじめ、気鋭の作家によるアクセサリーや、独自のオリジナルアイテムを展開するコンセプトストアへと生まれ変わった。
2018年のオープン以来、アジアの生活雑貨を扱うショップ兼カフェとして学芸大学エリアで親しまれてきた同店。店主の坂野高広は、自身の収集品がより深く成熟してきたことを機に、新たな魅力を発信したいという思いから今回の改装を決めたという。
装いを新たにした店内では、コンクリートの構造躯体(くたい)をあえてむき出しにし、大きな掃き出し窓を覆うかわいらしい台湾のレースカーテンが大胆なコントラストを生み出す。その中に、店主自ら現地で買い付けた高貴なたたずまいのビンテージ家具が美しく配されている。
コンセプトは、さまざまなリズムが混ざり合うアジアの空気感。急速に発展を遂げる都市、行き交うバイク、そして、それとは対照的に自分のペースで暮らす人々。異なるリズムが共存するアジアの風景が空間デザインに落とし込まれている。
空間に彩りを与えるのは、坂野が2〜3カ月に一度のペースで買い付ける、主に1980〜1990年代のベトナム・タイ・台湾・中国のビンテージ品の数々。中でも目を引くのは、ピンク色のアサガオが描かれた懐かしい雰囲気を帯びた器だ。中国語で「ラッパバナ(喇叭花)」と呼ばれるこのモチーフは、つるが力強く伸びていく姿から「子孫繁栄」や「事業発展」を意味する縁起物として、また七夕を象徴する花として古くから詩に詠まれ、ロマンチックな花として古くから親しまれてきた。
1980年代初頭に資本主義政策へと転換した中国は、外貨獲得のためにこの器を大量に生産・輸出。アジア各国へと渡った器は、それぞれの土地で独自の発展を遂げていった。
歴史が感じられるプロダクトはほかにもある。ナプキンホルダーなど西洋の食卓で使われる生活小物でありながら、中国伝統の青花(せいか)と呼ばれる青い染付をベースに絵付けが施されたシリーズは、その代表例だ。
この生活小物は、1980年代に広東省の「客家(ハッカ)」と呼ばれる民族が、欧米への輸出用に製造したもの。青い染付で東洋へのロマンを感じさせる風情が、欧米で人気を集めた。当時のニーズに応えるために生まれた東西文化の融合は、独自の魅力を生み、今でも多くの人々を引きつけている。
中国のビンテージ品以外にも、魅力的なプロダクトは尽きない。フランス統治時代に、フランス独自の明るい色彩とベトナムのおおらかな手仕事が融合して生まれた「ソンベ焼き」のほか、エビや魚といった縁起物が中央に描かれた台湾のビンテージ食器なども展開されている。
多くの屋台や家庭がプラスチック食器へと移行してしまった今、これらのビンテージ品は人気が高く、状態の良い物を見つけるのも簡単ではない。そんな中、同店には坂野の審美眼によって厳選された名品が並ぶ。
店に陳列されるのは、ノスタルジックなビンテージ品だけではない。若い世代によるクリエーションから、アジアの「今」が感じられるのも、同店のユニークな点だろう。
ホーチミンを拠点とするストリートカルチャーブランド「Jelly Fish」のネックレスには、ベトナムの国民的なサンダルや、屋台などで馴染みのプラスチック製の椅子、ヌクマムの原料であるイワシなど、現地の見慣れたモチーフがチャームになっている。
また、タイのアートスタジオ「RUMBA BOR」が手がけるプラスチックスツールにも注目したい。タイの家庭で古くから愛される中国風のスツールと、屋台でよく見かける簡素なスツールのデザインを融合させたデザインで、ありふれた街角の景色をアートピースへと昇華させた、エッジのきいたプロダクトだ。
さらに、タイの老舗アルミ食器工場の娘たちが立ち上げたブランド「Suchai Craft」は、仏具や給食で伝統的に使われてきたアルミ食器にポップなカラーリングを施し、現代的なカップとして再生させている。日常の何気ない風景に着眼点を置き、自国の伝統や文化を斬新なアイデアで新しく作り変えるアジアの若い世代のクリエーションには、成長し続けるアジアのエネルギーが満ちている。
同店オリジナルのプロダクトも、スタイリッシュなものばかり。ショップのコンセプトと同様に、トップスやスカーフ、バッグ、ラグといったオリジナルアイテムにも、「アジアの混沌(こんとん)」をデザインコンセプトに据えられている。
また、グラフィックデザイナーの「NOI」や、クリエーティブスタジオの「Damngood Studio」がそれぞれ手がけたアパレルにも注目したい。
1980〜1990年代前後、ベトナム戦争の終結や香港返還といった歴史のうねりの中で、アジア全体にあふれていた熱いエネルギー。その熱気を伝える同店で、進化を続けるアジアの魅力に触れてみてほしい。
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