尾上松也
Photo: Keisuke Tanigawa

インタビュー:尾上松也

2024年の「新春浅草歌舞伎」、10年目にして最後の出演を前に

テキスト:
Ayako Takahashi
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タイムアウト東京>カルチャー>インタビュー:尾上松也

テキスト:高橋彩子

歌舞伎のみならずさまざまな舞台やテレビで活躍し、今、最も忙しい歌舞伎俳優の一人、尾上松也。30代最後の年である2024年の幕開きは、「新春浅草歌舞伎」に出演する。

1980年に「初春花形歌舞伎」として始まり、2003年に今の名称で、若手が大役に挑戦する場となってきた新春浅草歌舞伎。近年、そのリーダー的存在として公演を牽引してきた松也は、次が10回目にして最後の出演となる。節目の舞台を前に、2023年を振り返り、新春浅草歌舞伎への抱負を語ってもらった。 

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新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」で演出に初挑戦
「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」 (画像提供:©松竹)

新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」で演出に初挑戦

ー2023年の松也さんは、歌舞伎に現代劇にミュージカルにと大活躍でした。中でも新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは)」で演出に初挑戦されたのは、大きな経験だったのではないでしょうか? 

ここ何年か、自分が企画をさせていただける公演が増え、いつか演出にも挑戦してみたいという気持ちが湧き上がっている中で、チャンスをいただきました。

いざ経験してみると本当に大変で、自分が役者として出演した作品でも、演出の方はこれだけの準備や打ち合わせをしていたんだな、と痛感しました。

特に刀剣乱舞は、これまでどのジャンルでやるときも設定だけがあり、物語は全部オリジナルでしたから、歌舞伎版では何を題材にし、どの刀剣男士を出し、どのような話にするかというところを、時間をかけて議論しながら決めていきました。そこから浮かんだ「こういう風にやってみたい」というイメージを稽古で皆さんにもしっかりと伝え、やりたいことを共有できたのではないかと思います。 

その作業に当たっては、これまで(尾上)菊五郎のお兄さんが国立劇場の初春歌舞伎で事実上の演出と主演を兼ねてずっと勤めていらしたり、中村勘三郎さんや尾上菊之助さん、中村獅童さんといった先輩方が企画したものをなさったりする姿を出演者として拝見していたことが、自分の中ではいい準備と学びだった気がします。

ー「絶対にこれはやろう」と思い、やり切ったことを教えてください。

刀剣乱舞という題材は、主役が刀剣になった付喪神(つくもがみ)で、それが刀剣男士になっているわけですが、その裏には刀剣を作った方たちがいて、その方々によって刀剣男士が生まれ、僕らはこの物語を作ることができている、ということを言いたくて。ですので刀鍛冶が刀を作る場面で始まり、クライマックスの後は皆が刀に戻り、刀鍛冶が刀を打つ音で終わる、という演出にしました。

ー歌舞伎らしい格調高いオープニングで、原作に寄せるだけでなく歌舞伎でやる意義を表明されていたのも印象的でした。

原作に全部寄せることは意外と簡単なのですが、それは僕らがでなくてもできること。ファンが多い原作のイメージを「崩さず崩していく」、そのバランスが難しかったです。各刀剣男士のビジュアルを解禁していく時はとても怖かったですね。歌舞伎にするためにはかなりイメージを壊さなければならない部分もありましたので。ありがたいことに、歌舞伎好きの方にも刀剣乱舞ファンの方にも受け入れていただけて良かったです。 

ー松也さん演じる三日月宗近と尾上右近さん演じる足利義輝の、美しい立ち廻(まわ)りも大きな見どころでしたね。

そういうお声を多くいただきました。僕が舞台を360度回転させたい、立ち廻りをしながら舞台上の全てを見せたいと伝えたのですが、となると盆の後ろ側に次の美術を用意して回すという場面転換ができなくなりますし、劇場に収められる道具の幅は限られているため、それだけ大きなセットを置くとなると制約が出てくる。しかもそれを、1幕の最後と2幕の最後で両方やりまして。 

舞台美術の前田剛さんや大道具さんを悩ませてしまいましたが、譲りませんでした(笑)。それでも皆、面白いという感覚で取り組んでくれましたし、結果的には初日、あの場面が終わった後に拍手が鳴り止まなくて、本当に感動しましたね。

「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」

※「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」は2024年4月5日(金)から「シネマ歌舞伎」として各地の劇場で公開

前代未聞の2本立て
Photo: Keisuke Tanigawa

前代未聞の2本立て

ー渡辺えり演出による、テネシー・ウィリアムズの「ガラスの動物園」と、その後日譚(たん)になっている別役実の「消えなさいローラ」の連続上演に参加されたのも、大きな挑戦だったことでしょう。初めてのテネシー・ウィリアムズはいかがでしたか? 

テネシー・ウィリアムズの作品、特に「ガラスの動物園」は、作者が自分の生い立ちと重ね合わせているのがよく分かるというか。とてもリアルですし、その一方で、全て同じように当てはまらなくても、誰もがどこかしら共感できるような親子関係や対人関係がちりばめられていると感じました。

僕自身、自分が長男で妹がいるのですが、僕が20歳の時に父(尾上松助)が他界し、若い時分から母と長男・長女で過ごしてきたことも含め、共感する部分がたくさんある作品でした。

ー「消えなさいローラ」を、最初にえりさんと松也さんで上演したのは2020年。ステイホームが明けて間もない頃で、一つ一つに衝立が付いた本多劇場の客席に、お二人の熱い演技が伝わってきましたが、今回はいわば元ネタの「ガラスの動物園」と併せての上演ということもあってか、また少し異なる雰囲気があったように思います。

2020年の公演ではローラ役がえりさんだけでしたが、今回はローラが3人日替わりで、熱量もその方によって全然違いましたし、自分としても「ガラスの動物園」と「消えなさいローラ」を続けて上演するということで、心情や感じ方も変わりましたね。

えりさんから「『ガラスの動物園』もやってみたい」というお話が出た時、「やってみましょうよ」みたいなことを言っちゃったのは僕なんですけど(笑)、いざやってみるととにかくせりふ量が膨大で。3時間45分、舞台に出ずっぱりのしゃべりっぱなしでしたので、正直、開幕当初は精神的にも体力的にも持つかな……と不安になるくらい大変でしたが、とてもいい経験をさせていただいたと思っています。 

2023年は、歌舞伎では「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」「流白浪燦星」と、3つも新作をさせていただきましたし、「ガラスの動物園」と「消えなさいローラ」の2本立てというのも世界で初めての企画。そういう意味で、新しいものを作っていくという挑戦を、今年の初めからずっとさせていただいていたように思います。歌舞伎の世界にとどまらず、俳優としての引き出しを試されているような一年でした。

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最後の新春浅草歌舞伎に当たって
2023年の新春浅草歌舞伎「連獅子」で親獅子の精を演じた松也(画像提供:©松竹)

最後の新春浅草歌舞伎に当たって

ーさて、2024年最初の舞台は「新春浅草歌舞伎」です。松也さんは2009年に初参加し、近年はリーダー格として連続出演。途中、パンデミックで中断し、2023年は3年ぶりの開催とあってファンも大喜びでした。

浅草公会堂自体が公演をできない状態でした。中止していた2年間は、ありがたいことに浅草のメンバーで歌舞伎座に出演させていただくなどし、思いをつないできたつもりではありますが、やはり「新春浅草歌舞伎」を楽しみにしてくださっている皆さまにお見せできないもどかしさもありました。

というのも、僕らが新春浅草歌舞伎を任されるようになって最初に思ったのは、先輩方がつないできてくださった公演を僕たちの代で途絶えさせてはならない、ということ。だからこそ、次の世代にしっかりとバトンを渡せるよう、芸の上での精進はもちろんですが、それだけでなく公演自体を盛り上げていく工夫を、毎年皆で考えていました。

それが一度ストップしたことで、このまま新春浅草歌舞伎がなくなってしまうのではないかという不安も、皆どこかしらに抱いていましたので、久々に公演を再開できたことに、感謝と同時に安堵(あんど)感があったのを覚えています。

ーその新春浅草歌舞伎への出演は、今回で10回目にして卒業だそうですね。

ちょうど10年ですし、僕も30代最後の年ですから、2025年も出演することになると40の大台に乗ってしまう。歌舞伎においてはまだまだ若手ですし、自分の中ではほかにも「新春浅草歌舞伎」でやってみたい演目、勉強させていただきたいことはたくさんあるのですが、僕らが10年間、さまざまなことを経験させていただいて得てきたものを、次の世代にも経験してもらいたいんです。

それで、この節目に、自分の中でもある種独り立ちのような気持ちで卒業を宣言させていただくことにして。これから歌舞伎俳優として前に進んでいくには、ちょうどいい時期なのではないかと、決めました。

ー今まで浅草で演じた中で、特に思い出深い役と演目は?

忘れられない演目ばかりですけれども、一つはやはり2015年、主要メンバーが代替わりした初年度に「仮名手本忠臣蔵」の五・六段目(早野勘平)を勤めさせていただいたことです。

菊五郎のお兄さんにご指導いただいたことも含め、自分にとっては青天のへきれき。当時は歌舞伎俳優としても一役者としても自分の環境が一気に変わり出した時期で、環境と立場に僕も周りも追いついていないような状況の中、新春浅草歌舞伎を引っ張っていくという大役を任せていただいて。 

東京の歌舞伎の公演で、一演目の主役という形ではなく、公演全体を束ねるということはこの浅草が初めての経験でして、いきなり抜擢(ばってき)していただきましたので、まさに右も左も分からない状況でした。どう振る舞って、どんなふうに皆を引っ張っていけばいいんだろうとあれこれ考えながら、なおかつ役者として自分のお稽古もしなければいけない。

正直言うとテンパっていたところはありました。たくさんの方にご迷惑をおかけしましたが、その中で多くの学びがあり、さまざまな教訓が得られました。後輩たちが「一緒に頑張ります」と言ってくれたことにも、とても助けられました。

ーそれ以来、座頭的な立場として公演を重ねられてきたわけですが、改めて、チームを牽引していくために必要なものを言葉にしていただくと? 

難しいですね。状況やメンバーによっても変わると思います。僕個人は、歌舞伎に限らず自分が中心となる舞台に出演する時は、芝居がシリアスやコメディーであろうと、どんなジャンルでも出演者、スタッフ全員が楽しくいられるよう、自分なりに意識をしています。 

そして、できるだけいろいろな情報を皆で共有すること。芝居は現場によってメンバーが変わりますので、短期間でチームワークをもって一つになるには、情報共有を多くすること、誰かを置いてきぼりにしないことが大切です。その考え方が、今年の「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」の演出のやり方にもつながりました。

ー楽しく、というのは楽屋の雰囲気も含めてですよね?

はい。というより、楽屋がある意味、全てかもしれません。そのチームがうまくいっていないと、良い作品はなかなかできない。全員が完全に納得するということは難しいかもしれませんが、ある程度の理解があり、方向性を一緒に定めて愉しく作っていけることが大事なのではないかと思うんです。 

あと、新春浅草歌舞伎は「見取り狂言」(複数の演目の名場面などを並べて上演する)で上演されますが、他の方が芯を勤める作品にもちょっとしたお役で出演して、皆で一つの公演として盛り上げ合うなど。

今回は新春浅草歌舞伎の第2部の最後に僕が「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ) 魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)」の宗五郎を勤めさせていただきますので、出演者全員に絶対に出てほしいとお願いをしました。そういうことができるのもこの座組だからこそですね。

江戸の「粋」を感じさせる宗五郎を
Photo: Keisuke Tanigawa

江戸の「粋」を感じさせる宗五郎を

ー松也さんが演じる「魚屋宗五郎」の宗五郎は、妹のお蔦を殿様に理不尽に殺され、断っていた酒を飲んで殿様のもとへ乗り込んでしまう役。人情味ある役柄造形や、酔った演技が肝になってくると思いますが、いかがですか?

簡単に言ってしまえばただの酒乱のお役なのですが(笑)、根本的には、冒頭で宗五郎のお父さんの太兵衛も言うように、お酒さえ飲まなければ律義で男気があって思慮深い人物。太兵衛や店で働く三公(三吉)が興奮して乗り込んでいこうとする中、「冷静に考えろ」と言えるくらい大きな目で物事を見ているのに、そんな人間がお酒を飲むと変貌してしまうのが、お芝居の面白いところです。

とはいえ、お酒を飲む前から、その2人に「抑えろ」と言いつつ、自分だって本当は行きたいんだというせりふや演技は出てくるので、根本の気質としては熱い思いのある江戸っ子なんでしょうね。酒乱でも、根底で思っていないことは言わないはずなので。自分の周りにいる、お酒を飲むと激しくなる友人をイメージしながら作っていきたいです(笑)。

ー松也さんは違うんですね?

僕は違いますね。お酒はそれほど飲まないですし、飲んだら楽しくなるか寝ちゃいますし、そもそも思慮深くないですから。激しくなる友人は、やはり普段は思慮深いです。

ー宗五郎は菊五郎さんに習われるのですよね? 菊五郎さんの宗五郎は当たり役ですし、黙阿弥調のせりふ回しで今、菊五郎さんの右に出る方はいないでしょう。

せりふ回しもですが、舞台に出てきただけで江戸の「粋」を感じさせるというのがとても難しく、できるだけ近づけるよう菊五郎のお兄さんにご指導いただき精進したいです。お兄さんもおっしゃっていたのは、特に世話物では、江戸の情緒、雰囲気はチームプレーで作らなければいけない。ですので、僕を中心に、他の出演者とそのような雰囲気をどう作ることができるか。

宗五郎に関しては、江戸っ子の代表みたいな男気ある主人公ですので、やはり江戸庶民の話し方や気質、背景などをよく理解しておくことが大事です。全員がそれを理解して共有し、作り上げていけば、雰囲気は少しは出せるのではないか、という気がします。

菊五郎のお兄さんには技術的な部分を見ていただくのに加えて、全編を通じて宗五郎をどういう思いで演じていらっしゃるかといったところも教わりたいです。僕がお兄さんの宗五郎を見て感じていたのは、お酒を飲む芝居がおいしそうで、こちらも日本酒が飲みたくなるということ。僕もおいしそうだとお客さまに感じていただき、観終わった後に「お酒を飲みたいな」と思っていただけたらいいですね。

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父も演じた蝙蝠安の面白さ
2016年の新春浅草歌舞伎「与話情浮名横櫛」で与三郎を演じた松也(画像提供:©松竹)

父も演じた蝙蝠安の面白さ

ー昼の部では「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし) 源氏店」で、中村隼人さんの与三郎を相手に蝙蝠の安五郎(蝙蝠安)を演じます。松也さんは2011年の自主公演や2016年の新春浅草歌舞伎で、与三郎はなさっているんですよね。蝙蝠安は初めてですか? 

初めてです。うちの父親を含めて代々の松助が勤めてきた役なので、僕もいつかは経験したいと思っていました。与三郎を菊五郎のお兄さんにご指導いただいた時、「源氏店は蝙蝠安の芝居だ」とおっしゃっていたんです。ご自身も確か1回なさっていますが、与三郎と蝙蝠安の両方を演じている方はそんなに多くないはず。30代のうちに与三郎も安も経験できるのはありがたいことです。

ー菊五郎さんもおっしゃっていた「源氏店の蝙蝠安が面白い」というのは、具体的にはどういうところでしょう? 

与三郎は格好良くて二枚目ですが、感情の起伏はあるようでいて蝙蝠安ほどにはない。あの時代に社会の底辺にいた人たちの雰囲気や喜怒哀楽を自由自在に出し入れできるのはやっぱり安ですので、演じていて面白いだろうなと思います。

ーしかも蝙蝠安は、落ちぶれた与三郎が生活できるよう、親切心で悪事を教えているようなところがある。憎めないキャラクターですよね。 

そうなんですよね。うちの父も、歴代の先輩方も、やはり愛嬌(あいきょう)がある蝙蝠安を演じていたと思います。ただのチンピラ、単に悪いやつ、で終わらないようにしたいですね。今回、(坂東)彌十郎のお兄さんにご指導いただきながら、自分なりの安を作りたいです。

ーもう1作、「神楽諷雲井曲毬(かぐらうたくもいのきょくまり)〜どんつく」にも出演されます。

「どんつく」といえば、生前とてもお世話になった(坂東)三津五郎のお兄さんのお顔が浮かびます。それを(三津五郎の子息である)みっくん(坂東巳之助)がやってくれること、そしてそこに出られることが幸せです。

これから歌舞伎座でも何度もみっくんが「どんつく」をやってくれるはずですし、「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)〜熊谷陣屋(くまがいじんや)」の熊谷を演じる中村歌昇くんには播磨屋のお兄さん(中村吉右衛門)がなさった演目をこれから継承していかれると思いますし、中村米吉くんの「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)〜十種香」の八重垣姫、中村隼人くんの「与話情浮名横櫛」の与三郎……と、今回卒業するメンバーそれぞれが今後演じていくであろうお役を勤めます。 

僕自身も、菊五郎劇団の一員として宗五郎をしっかり勉強していきたいとの思いがありました。それぞれが最終年にそういう意味での責任感を持って、今後の未来へ思いをつなげられる演目立てで上演することができ、僕としてはうれしい限りです。

ー最後に、タイムアウト東京の読者に、浅草でおすすめのお店をご紹介ください。

山ほどあって選ぶのが難しいですが、浅草公会堂にごく近いお店を挙げさせていただくと、目の前が「天麩羅 中清」さん、裏が「うなぎ 小柳」さん。この二軒は営業時間内でしたら、公会堂を出て、すぐに食べられます。とてもおいしくて、僕も楽屋入りの前などにサッと入って食べることがありますよ。

Contributor

高橋彩子
舞踊・演劇ライター。現代劇、伝統芸能、バレエ・ダンス、 ミュージカル、オペラなどを中心に取材。「エル・ジャポン」「AERA」「ぴあ」「The Japan Times」や、各種公演パンフレットなどに執筆している。年間観劇数250本以上。第10回日本ダンス評論賞第一席。現在、ウェブマガジン「ONTOMO」で聴覚面から舞台を紹介する「耳から“観る”舞台」、エンタメ特化型情報メディア「SPICE」で「もっと文楽!〜文楽技芸員インタビュー〜を連載中。

 http://blog.goo.ne.jp/pluiedete

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