移転に揺れる築地に、新施設「築地魚河岸」がオープン

テキスト:
Kirsty Bouwers
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日本の食文化を支える台所として、81年間にわたり絶え間なく動き続けている築地市場に、新施設「築地魚河岸」が2016年11月19日(土)にプレオープンした。築地魚河岸は、市場が豊洲に移転した後も活気と賑わいを絶やさないために、中央区が設置した施設である。 

取材時には、1階の「魚市」と3階の「フードコート」のみが公開されていた。1階の魚市を探索していると、1980年代から1990年代の築地の白黒写真を飾った小さな展示が行われていた。これらの写真は、築地の移り変わりを記録してきた写真家の本橋成一が撮影したのものである。

その場にいた本橋に築地について話を聞くと「以前は手作業でやっていた多くのことが自動化され、いい面もあるでしょうが、何かを作り上げるというよりもボタン操作をする場になってしまいました。これは、築地市場で働く者のコミュニケーションが途絶えることにもつながっている」と話した。

また、撮影のなかで昔ながらの下町がゆっくりと消えていくのを観てきた彼に、築地が豊洲に移転した後も写真で記録し続けるかと尋ねると、はっきりと「恐らくないだろう」と答えた。

広大な屋上エリアはちょっとした休憩にも使える場となっており、不規則に広がる築地の道路はもちろんのこと、魚市場を眺めることができる

3階のフードコートに向かい、開店している3店舗のうちの1つに入って昼食をとった。屋上から下りてきて、左右にある最初の店のひとつでは、量が多く、その大きさと美味しさを考えるととてもリーズナブルな刺身定食や、ミックスフライ定食が味わえる。また、中央入口に最も近い店舗では魚河岸で働く人々のためのカレーを提供していた。

築地魚河岸は一般人向けには朝7時からオープンし、ほとんどの店が14時近くに閉店する。人気店の食材はそれより早く完売してしまうこともあるのでなるべく早めの時間帯に行こう。

この新しい施設にも訪れてほしいが、築地の将来を考えるとほかのエリアももちろん観てほしい。市場があとどれらいこの場に残るかは誰も分からないのだから。

原文はこちら

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