
今週行くべき展示5選
人気アニメの呪術廻戦、日本初公開となる古代エジプトの死者の書などを紹介
今週行っておきたいアートイベントを紹介。呪術廻戦の描き下ろしイラスト、アールブリュット、二人の若手による「身体の罪」を巡る対話など、五つをピックアップした。
呪術廻戦 明治神宮前 大交流展
2021年1月の動画配信ランキングで、『鬼滅の刃』を抑えて第1位を獲得した『呪術廻戦』。今最も注目すべきアニメの初となる企画展が、原宿のベースヤード トーキョーで開催されている。
前期は「戦いの躍動と静」をテーマに、主要キャラクターの虎杖悠二、伏黒恵、釘崎野薔薇、五条悟、狗巻棘らの描き下ろしイラストが並び、3月12日(金)の後期からは両面宿儺、真人、夏油傑ら「呪い」にフォーカスしたイラストを展開。そのほか、貴重なアニメ設定資料や、原作イラストの複製原画など、入場無料とは思えない豪華な展示が楽しめる。
缶バッジやアクリルスタンドなど、会場限定オリジナルグッズも見逃せない。
古代エジプト展 天地創造の神話
ヨーロッパ最大級の規模と質の高さを誇る、ベルリン国立博物館群のエジプトコレクションを紹介する展示が江戸東京博物館で開催。同館のエジプト部門は、アマルナ時代の優品を筆頭に数千年にわたるエジプト史を網羅しており、世界有数のクオリティーだ。
本展では、このコレクションから「天地創造の神話」をテーマに約130点の名品を展示する。「天地創造と神々の世界」「ファラオと宇宙の秩序」「死後の審判」の3章構成で、知られざる古代エジプトの神話の世界を、アニメーションも駆使しながら出土品とともに解き明かす。
長さ4メートルを超える『タレメチュエンバステトの「死者の書」』や、装飾が美しい『タイレトカプの人型木棺(外棺)』などの約100点が日本初公開となる点も特徴だ。
篠田知和基が指摘するように、エジプト神話には日本神話との意外な共通点もある。展示を見ていけば、単に考古遺物を眺めるのとは異なり、そうした類似に気付く体験もできるかもしれない。
対峙する目
岡本太郎の絵画に必ず描かれている「目」に焦点を当てた展覧会が開催。洋画家としてキャリアをスタートさせたものの、一般的な西洋画題を描かず、抽象的な作品を多く生み出した岡本。その作品に出てくる目の多くは対峙(たいじ)しており、にらみ合い、笑い合っている。
本展では、複数の目が生命力をたぎらせ、群れを成して鑑賞者をにらみ付けてくるかのような作品を集めて展示。岡本が表現しようとしたものを、ぜひ自分の目で受け取ってほしい。
森夕香 、西條茜 二人展「流転するあいづち」
京都に拠点を構える画家の森夕香と陶芸家の西條茜による展覧会が、LOKOギャラリーで開催。
本展覧会は、「身体の罪」を往復書簡によって告白し合うことから始まった。互いの身に起きたことの共通概念を探り当て、それを作品として新たなエネルギー変容させ、社会と自分の関係性や身体とあるものとの境界を考察する。
二人の往復書簡によって生まれた表現に注目したい。
レターズ ゆいほどける文字たち
国内外のアール・ブリュット作家を紹介する展覧会シリーズ『アール・ブリュット ゼン&ナウ』の第1回として、文字に魅了された作家たちによる展覧会が開催される。出展するのは喜舎場盛也、佐久田祐一、ハラルト・シュトファース、 新城千奈、富塚純光、西川匠、西山友浩、松本国三の8人。
気に入った文字の繰り返し、独自の書体による日記、自作の物語など、それぞれの作家の文字への執着が映し出された作品が並ぶ。作家や関係者に作品について尋ねる、トークイベントのオンライン配信も行われる。文字の魅力に取りつかれてみては。
ほかにもアートニュースを読むなら
「メセナ大国」日本のコロナ以降
社会の在り方を大きく変容させた新型コロナウイルス感染症。連載シリーズ『ニューノーマル、新しい文化政策』では、アートプロデューサー、森隆一郎(合同会社渚と代表)のディレクションのもと、コロナ禍が文化政策に及ぼす影響を探っている。第2回は、企業が行う文化活動に長年携わってきた若林朋子に、企業メセナを中心とした民間による文化支援について聞いた。
コロナ禍が問い直す文化の本質的価値
アートプロデューサー、森隆一郎(合同会社渚と 代表)のディレクションの下で、「新しい文化政策」を軸に「ニューノーマル」を考える。第1回はニッセイ基礎研究所研究理事の吉本光宏が語ってくれた。
ロンドンのテート・ブリテンが光のアート展示を1カ月延長
ロンドンの美術館やギャラリーは全部閉鎖されているが、テート・ブリテンは違うようだ。同美術館では、
国内初公開、ダグ・エイケンの作品がエスパス ルイ・ヴィトンで展示中
アメリカのアーティスト、ダグ・エイケン(Doug Aitken)の展示『New Ocean: thaw』が、表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京(Espace Louis Vuitton Tokyo)で開催中だ。同展示はこれまで未公開のフォンダシオン ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton)の所蔵作品を、東京、ミュンヘン、ベネチア、北京、ソウルのエスパス ルイ・ヴィトンで展示する『Hors-les-murs(壁を越えて)』プログラムの一環であり、国際的なプロジェクトを通じて、より多くの人々に触れてもらう機会を提供することを目指しているという。
STAGE CROSS TALK 第1回(前編)
舞踊・演劇ライター高橋彩子が、何かしらの共通点を持つ異ジャンルの表現者
50年後も残る若手は誰だ? 鬼頭健吾ら参加のアートイベントが開催
2021年初春、京都府で『ARTISTS' FAIR KYOTO:SATELLITE 2021』が開催される。これは、『ARTISTS’ FAIR KYOTO 2021』のサテライトイベントで、協賛した企業が、このアートフェアに過去に出品した作家とコラボレーション、展覧会を開催するものだ。
村上隆の10メートルの金色新作彫刻が六本木ヒルズ前に登場
2020年11月26日、六本木ヒルズ前の66プラザで、現代美術アーティスト村上隆による金色に輝く新作彫刻作品『お花の親子』が公開された。高さは約10メートルという巨大さで、コロナ禍にあっても六本木ヒルズからアートの力で元気や希望を世界に届けようという思いから、設置に至ったという。
ソプラノ歌手、森谷真理がオペラにかける思い
日本を代表するソプラノ歌手の一人、森谷真理。28歳でオペラの殿堂、メトロポリタン歌劇場(Metropolitan Opera House、以下MET)でデビューを果たし、欧米で活躍後、昨年帰国。同年11月に『天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典』で国歌を独唱して改めて注目された。
その彼女が、日生劇場の『ルチア~あるいはある花嫁の悲劇~』に主演する。当初上演予定だったオペラ『ランメルモールのルチア』を90分に凝縮して送る舞台だ。新たな公演を前に聞く、森谷の歌手人生と今の思いとは。
東京、無料で入れる美術館・博物館16選
無料で美術館やギャラリーが東京には一定数ある。今回セレクトするのは、質の高い国内外の作家を紹介する資生堂ギャラリーや明治期洋画の重鎮、黒田清輝の作品を展示する黒田記念館から、目黒寄生虫館やおりがみ会館といった変わり種まで16館だ。
会館時間が変更になっている場合もあるので、事前に公式ウェブサイトを確認してから訪れてほしい。