アートディレクターの仕事 大貫卓也と花森安治
花森安治 ポスター《『暮しの手帖』Ⅱ世紀3号中吊り広告》 1969年 世田谷美術館蔵
花森安治 ポスター《『暮しの手帖』Ⅱ世紀3号中吊り広告》 1969年 世田谷美術館蔵

東京、10月にグラフィックデザインを考える展覧会3選

グラフィックデザイナーの仕事に迫る

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10月はグラフィックデザインの展覧会が目白押しだ。日本の広告界をリードする大貫卓也や花森安治の展覧会はもちろん、注目の若手デザイナー・上西祐理の展示も見逃せない。

デザインや印刷、出版業界に革命をもたらした写真植字の歴史を学べる展覧会も開催される。グラフィックデザインを多角的に楽しめる機会に、ぜひ足を運んでみては。

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「世田谷美術館」では、アートディレクターの大貫卓也(1958年〜)と花森安治(1911〜1978年)の仕事に着目した展覧会を開催。本展では近年収蔵した2人が手がけたポスターのほか、グラフィック関連資料を中心に紹介する。広告の価値と可能性を追求してきた2人の広告表現の魅力を探っていくものだ。

世田谷在住の大貫は、批評的な視点で広告業界に衝撃を与えた「としまえん」の仕事で「東京ADC賞」を受賞し、その後数々の話題作を生み出している。表紙画からカット、レイアウトまで全てをこなす花森は、独自の美学を貫き、雑誌『暮しの手帖』の表紙画やカット画などを手がけた。

一見異なるようで共通する2人の表現方法を垣間見ては。 

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アートディレクター兼グラフィックデザイナーである上西祐理の現在地を紹介する展覧会「Now Printing」が、ギンザ グラフィック ギャラリーで開催される。

上西は、多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、電通に入社し、11年間の勤務を経て2021年に独立した。その後デザインスタジオ「北極」を立ち上げ、ポスターやロゴなど単体の仕事から、ブランディングやキャンペーン、映像、空間、本、雑誌など仕事は多岐にわたる。

上西の代表作の一つである「世界卓球2015」のポスターは、高速に球が行き交う卓球の動的瞬間を見事に紙面に定着させ、デザイン界にその存在感を見せつけた。「強いワンビジュアルを作ること」が得意だと語る上西は旅行が好きで、旅先で見つけたものをじっくり観察することが彼女のデザインの源になっている点にも注目したい。

本展は、ギャラリーの1階に新作の印刷物が展示され、地階にはこれまで上西が携わった仕事のアーカイブが並ぶ。さらに、上西が旅で見つけた「お宝」も登場する予定だ。

上西の創造の源泉を垣間見られる貴重な機会を見逃さないように。

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  • 文京区

「印刷博物館」で、活版印刷からデジタルフォントへと文字印刷の橋渡しを担った写真植字を特集する「写真植字の百年」展を開催。 発明から100年を記念し、その歴史・役割・仕組み・書体デザインについて紹介する。

写真植字とは、写真の原理を応用して文字を印字、組版をする技術だ。1枚の文字盤からあらゆる文字を作り出せる写真植字の登場は、それまでの活版印刷の煩雑さを解消する革新的な出来事であった。戦後の普及とともに写真植字機の技術はより改良され、さまざまな機能が加えられていく。その使いやすさから、印刷業の職場環境が大きく改善され、さらに、美しく多様な書体の開発が広告や書籍を彩るようになる。

なお、文化の日の11月3日(日・祝)は入場が無料となる。この機会に、デザインや出版業界に大きな変革をもたらした写真植字の世界をのぞいてみてほしい。

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