Keisuke Tanigawa
Keisuke Tanigawa

話題の新店クレイジーピザ、1切れ100円のキッズピザも提供中

「塩味」がポイント? サクサク食べられる絶品ピザの秘密とは

テキスト:
Shiori Kotaki
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2020年6月1日、東京にまた新たな名店が誕生した。生地作りに用いる材料からトッピングの食材、そして味全体のバランスと、その全てに抜かりのないピザを「カジュアル」に味わえるクレイジーピザだ。同店は、遠方からも多くの人が足を運ぶイタリアンレストラン、ドンブラボー(Don Bravo)のシェフでもある平雅一(たいら・まさかず)が姉妹店としてオープンさせたピザスタンド。クレイジーピザもドンブラボーと同じく、平が生まれ育った調布市国領町に店を構える。

この立地の物件に決めたのは偶然だというが、店のすぐそばには平が通っていたという保育園と中学校も。ちなみに、店の前のスペースがカットピザと同じ三角形をしているのもたまたま(photo: Keisuke Tanigawa)
この立地の物件に決めたのは偶然だというが、店のすぐそばには平が通っていたという保育園と中学校も。ちなみに、店の前のスペースがカットピザと同じ三角形をしているのもたまたま(photo: Keisuke Tanigawa)

なぜピザスタンドだったのか
ドンブラボーでは、コース料理のシメとして提供されるピザ。人気メニューであることはもちろんだが、なぜ今回ピザに特化した店を作ったのか。その理由について「この街に育てられた」という平はこう話す。

「ドンブラボーはオープンしてから8年になります。最初はピザだけの提供もしていましたが、だんだんと自分たちのやりたいことがコース料理になっていきました。そうすると、ピザはコースのシメ。気軽にはたどり着けないものになったんです。また、ドンブラボーには遠方からも多くの人が来てくれるようになりました。これはとてもうれしいことですが、地元にもファンが多かったピザを、地元の人にこそ気軽に食べてもらい、届けたいとも思ったんです。それで、ピザスタンドをオープンさせました」 

平は「カジュアル」の捉え方について、「安価という意味で捉えられがちですが、ただ単に安いというわけではいけません。肩肘張らずに、きちんと作られた料理を食べられるのがカジュアルだと思うんです」と言っていたが、クレイジーピザはまさに彼の言葉を反映させた一軒だ。

当初は4月半ばのオープンを予定していたが、新型コロナウイルスの影響で6月1日までオープンが延期になってしまった同店。本来であればその間の家賃も発生してしまうのだが、「店はいいタイミングでオープンしたほうがいい」と大家さんが免除してくれたのだという。街の人に「応援したい」と思ってもらえることは、いい関係性が築けている証拠であり、大きな強みだ(photo: Keisuke Tanigawa)
当初は4月半ばのオープンを予定していたが、新型コロナウイルスの影響で6月1日までオープンが延期になってしまった同店。本来であればその間の家賃も発生してしまうのだが、「店はいいタイミングでオープンしたほうがいい」と大家さんが免除してくれたのだという。街の人に「応援したい」と思ってもらえることは、いい関係性が築けている証拠であり、大きな強みだ(photo: Keisuke Tanigawa)

サクサク食べられるピザの秘密
ピザは『マリラーナ』『マヨコーン』『クレイジーマルゲリータ』など、5、6種類を用意。テイクアウト、イートインともに可能で、ピザはホールのほか、4分の1カットでも注文できる。生地自体はドンブラボーと同じだが、トッピングはドンブラボーではやっていなかったものに挑戦しているそうで、どれもここでしか楽しめない味わいだ。

例えば『マリラーナ』。一般的にはオレガノを用いるが、ここではオレガノではなく、仕上げにレモンバジルとパクチーをたっぷりと乗せている。また、つぶつぶ食感を残したコーンに、崩したサルシッチャやオーガニックマヨネーズを合わせた『マヨコーン』も初めて出合う味。自家製の焼き肉のたれは我々の食欲を増進させ、ひっそりと忍んだ山椒は適度に、しかしとても新鮮なアクセントを与えてくれる。

『マヨコーン』(3,200円、4分の1カットは900円)。ドンブラボーで仕入れた食材を使ったその日限定のピザや、期間限定のものなどもあるようなので、気になったピザは必ず食べておくのがいい(photo: Keisuke Tanigawa)
『マヨコーン』(3,200円、4分の1カットは900円)。ドンブラボーで仕入れた食材を使ったその日限定のピザや、期間限定のものなどもあるようなので、気になったピザは必ず食べておくのがいい(photo: Keisuke Tanigawa)

ピザというと、どんなにおいしいものでも食べ進めるうちにだんだんと重たく感じてしまうことが多いが、不思議と同店のピザはサクサク食べられてしまう(実際に、筆者はハーフサイズをぺろりと平らげてしまった)。何か秘密があるのではと聞いてみると、その鍵はどうやら「塩味(えんみ)」にあるようだ。

まずは、生地自体をちょうどいい塩味に設定し、それに合わせてトッピングする具材やソースの塩味を調整する。そうしてピザ全体の塩味を絶妙なバランスの状態にして焼き上げることで、手が止まらないピザが出来上がるのだ。この塩味は、コース料理のシメとして考えられたピザであるからこそ生まれたバランスでもあるという。

もちろん、その生地に用いられる材料もこだわり抜かれたものばかり。電話をしてからひいてもらうフレッシュな全粒粉や、具材のうま味を引き立てるタマネギ水、チーズとの一体感に一役買っているホエー(乳清)など、おいしさの追求がたっぷりと詰まっている。

Keisuke Tanigawa
Keisuke Tanigawa

1切れ100円のキッズピザ、そしてこれからの挑戦
さらには、そんなピザを15歳未満には1切れ100円で提供するというスペシャルな企画『KIDS PIZZA』も実施している(現在は16時30分から17時30分までの時間帯で実施中。売り切れ次第終了で、提供時間は今後変更する可能性あり)。

「愛情を込めて作られた、出所のはっきりしている野菜やハチミツを使ったピザを気軽に食べてほしい」「味覚形成がまだ未熟なうちにいろいろな味わいに触れてほしい」といった思いが込められた同企画。不ぞろいだったり、少し虫にかじられていることで売れなくなってしまった野菜などが積極的に使われているので、子どもたちはピザを食べることを通して、フードロスというものを自然と体感することもできる。

また野菜などの食材は、あえてゴロッとしたサイズ感でトッピングをしているそう。なぜかというと、もしその野菜が苦手だったとしても、ハチミツやアンチョビで味付けがされていることで「あれ、おいしいかも」と感じ、苦手な食材を少しでも克服してもらえたらという願いも込められているからだ。

すでにいろいろな挑戦をしているクレイジーピザだが、その挑戦はこれからも続いていく。現在は、農業大学の学生と発酵にまつわるラボを店内に作っている最中で、ラボが完成すれば、天然酵母を安定して作ったり、発酵調味料や発酵トマトを使ったピザを提供できるかもしれないという。まだ準備中で、動き出すのはもう少し先になるとのことだが、またこれまでに味わったことのないピザに出合える日が来るのかと思うと、今から楽しみでならない。

クレイジーピザの詳しい情報はこちら

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