ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
Photo: Keisuke Tanigawa

ヨコハマ・パラトリエンナーレ6年間の集大成が開幕

最終回を迎えた多彩なオンラインと展示プログラムは11月24日(火)まで

作成者:
Hisato Hayashi
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2020年11月18日、障害がある人をはじめとする市民と、アーティストなどの多様な分野のプロフェッショナルによる、現代アートの国際展『ヨコハマ・パラトリエンナーレ』のコア(発表)期間が始まった。

本展は2014年に始まり、2017年の会期を終え今年で最終回。コロナ禍での試みで、開催終了の11月24日(火)まで、ほぼ全てのプログラムを公式ウェブサイトから公開。出典作家や参加者750人をはじめ、会場に来られない人を含めてより多くの人が楽しむことができるよう、オンラインとリアルが融合したステージが繰り広げられる。

好奇心を力に、激動の時代を駆け抜ける

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
左から井上唯、中嶋涼子、栗栖良依(Photo: Keisuke Tanigawa)

プレスツアーでは総合ディレクターの栗栖良依、車椅子インフルエンサーの中嶋涼子が登壇。開催テーマの「our curioCity ‒好奇心、解き放つ街へ」とは、世の中の分断を問われるなかで、好奇心を力に他者との違いを受け入れる共存の道を指す。

目を引くキービジュアルは、視覚障害者の写真家、ブルース・ホールの作品。水をつかもうとする自閉症の息子の瞬間をとらえた写真には、好奇心が詰まっている。

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ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020 メインビジュアル

みんなで作り上げるパラトリエンナーレ

初年度から始まった、アーティスト井上唯の『whitescaper』(ホワイトスケーパー)は、約1万人の多様な人々が関わり、2017年にはインドネシア、シンガポール、マレーシアの3カ国を含む国内外で制作された作品。今年は制作の方法を伝える動画を配信し、参加者が自宅や学校、施設で作ったパーツをつなげたインスタレーションを横浜市庁舎の1階で展示中だ。

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
『whitescaper』(Photo: Keisuke Tanigawa)

日本初のソーシャルサーカスカンパニーSLOW CIRCUS PROJECTのメンバーは、コロナ禍でのパフォーマンスとして、アニメーション作品を発表。両足義足のサーカスアーティスト、エリン・ボールをはじめ、世界のサーカスアーティストと『SLOW CIRCUS PROJECT MEG -メグの世界』を作り上げた。

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
Photo: Keisuke Tanigawa

サーカスのカラフルな衣装は、2019年に南米を訪問した際、南半球で起きている事例やその熱量に刺激を受けて作られたそう。今回のメインビジュアルや作品にも影響を受けていると栗栖は語る。   

分かり合うことを諦めない『いつか届くラブレター』

BOOK PROJECT『そのうち届くラブレター』は、最も注目したいプログラムだ。障害がある表現者の作品に、「応答者」として横山祐一や、リ・ビンユアンら多分野のアーティストが新作を発表する。プログラムを紹介した読み応えのあるブック(作品集)は、横浜市庁舎で無料配布中のほか、オンラインでも送料のみで申し込める。

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
Photo: KeisukeTanigawa

横浜市庁舎では、表現者と応答者の作品を展示中だ。鎌江一美(やまなみ工房)は自身の入居する施設の、大好きな施設長を彫像にした作品『スーツを着たまさとさん』を出展。杉浦篤は、毎日取り出してなでているという、大切な人や思い出の風景を切り取った写真を展示した。大事な宝物として毎日なでるうちに角が丸くなったり擦り傷がついた写真は、吸引力を持っていた。

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
杉浦篤『無題』(Photo: Keisuke Tanigawa)
ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
鎌江一美『タキシードを着たまさとさん』(Photo: Keisuke Tanigawa)

盛りだくさんのオンラインプログラム

ヨコハマ・パラトリエンナーレ2020
Photo: Keisuke Tanigawa

ほかにも、ミナ・ペルホネンの布を使った作品を横浜市庁舎で展示。また注目プログラムには、乙武洋匡や皆川明が参加するトークイベントも開催。11月21日(土)には、日本初となるジェス・トムのドキュメンタリー映画『Me, My Mouth and I』も生配信される。自らのチック症を舞台上でのパフォーマンスに昇華させた彼女のトークをぜひ見逃さないでほしい。

『パラトリテレビ #6』(11月15日放送)

ヨコハマ・パラトリエンナーレの詳細はこちら

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