車いすバスケの神様、パトリック・アンダーソンも登壇「WHO I AMフォーラム」が開催

テキスト:
Miroku Hina
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WOWOWと国際パラリンピック委員会(IPC)が共同で立ち上げた、パラリンピック・ドキュメンタリーのシリーズ番組「WHO I AMの放送に先駆け、1016日、WOWOW主催の「WHO I AMフォーラム」が都内で開かれた。フォーラムでは同番組の試写会のほか、シリーズ第1回目に出演したカナダの車いすバスケチーム選手、パトリック・アンダーソンをゲストに迎えたトークセッション『OPEN TOKYO Talk』も開催。アンダーソンは、当日司会を務めた元プロテニス選手の松岡修造、パラリンピック車いすテニス金メダリストの国枝慎吾、日本車いすバスケットボールのチームキャプテンである豊島英選手の3人と共に、競技人生についてや、東京大会への思いなどを語り合った。 

9歳の時に事故に遭い、両足を切断したアンダーソンに対し、松岡が事故後どのように変化の壁を乗り越えたかを尋ねると、アンダーソンは「車いすになってから全てが変わったとも言えるが、小さい頃からスポーツはやっていたので、何も変わっていないとも言える。とはいえ、もう走ったり、飛ぶことは不可能なのかもしれないと考えていた時、コーチが自分の向上心に目をつけ、能力を引き出してくれたことには感謝している」と、コメント。これに対し国枝は「自分も、車いすに乗る前からスポーツが好きだったので、『変わらない』という点は同じだと思った。車いすでもテニスをしているからすごい、というのではなく目が悪くなったら眼鏡をかけるのと一緒で、車いすで好きなことを続けているだけ。『特別なこと』という感覚はない」と共感した。

豊島は、足がほとんど動かせず体幹も万全ではないため、車いすバスケチームでも重度の障害を持つと分類されている(車いすバスケは、障害の度合いによって選手ごとに持ち点が決められる)。松岡が豊島にパトリック選手のドキュメンタリーを見てどのような感想を抱いたかと尋ねると、「自分のようなローポインター(障害が重度の選手)だけでは、スピード感や激しさといった、車いすバスケの見どころとも言えるプレイはできない。パトリック選手のような華のあるプレーが、観客を盛り上げ、障害の度合いに関わらず、ローポインターも活躍できる場を作ってくれていると感じる」と、述べた。

豊島が「手にボールが吸い付くような動きは、簡単なものではない。求める形を実現するまで追い求める、彼のようなストイックさがあってこそ可能になる」とアンダーソンを讃えると、アンダーソンのプレイを讃えると、アンダーソンは礼を述べた上で、Instagram などのSNSを通して、車いすバスケの技の上達方法を世界に発信していることを紹介。「自分のレクチャーを見た若い選手に、『車いすでも、そんな技も可能なんだ』という刺激を与えられたらうれしい」と思いを述べた。

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Is #hoodiemelo still a thing? #howtowheelchairbasketball #toowarm

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インスタグラム上のパトリック選手のレクチャー

トークセッションの最後では、松岡が選手らに2020年のパラインピックへの期待と豊富を聞いた。国枝は「もちろん金メダルという目標はあるが、有明会場を訪れた人に楽しんでもらえる見応えのあるプレーをしたい。競技の魅力に気づいてもらえたら嬉しい」とコメント。豊島は「花形競技と呼ばれる車いすバスケだが、自分はまだ金メダルを取れていないので、金を獲得し、日本に車いすバスケが浸透するきっかけを作りたい」と抱負を語った。最後に、数々のパラリンピック大会に出場してきアンダーソンが「パラリンピックの世界大会が自国で開かれるのは人生に一度あるかないか。日本はカナダより小さな国だから、全国からバスで、車で、車いすで、会場に足を運んでくれることを期待している。開催時に自分は41歳になっているが、もちろん金を獲るつもりで迎える」と締めくくった。

トークセッション後には、番組でナレーションを務めた俳優の西島秀俊が登壇。番組で見たアンダーソンの姿に対し「子どもと遊んでいるところなど、様々な側面を知ることができ、同世代として親近感が湧いた。そういった選手の身近な側面が伝わる、丁寧なナレーションを心がけたい」とコメントした。

番組のシーズン3は、WOWOWプライムにて1025()から放送開始。第1回のパトリック・アンダーソンのほか、2016年リオ大会の砲丸投げの金メダリストニコ・カッペル(ドイツ)、同大会で日本人最多のメダルを獲得した日本パラ水泳界のエース、木村敬一ら8選手を取り上げる。 

パトリック・アンダーソンが取り上げられた「WHO I AM」の紹介ビデオ(画像をクリックして動画を再生)

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