ニュース

1950年代のソーシャルディスタンス、ドライブインレストランが再ブーム

テキスト:
Sarah Medina
Travel Editor, North America
Mel's Drive-In
Photograph: Shutterstock
広告

食事の未来は車の中で楽しむことになるかもしれない。前例のない時代を乗り切る中、各企業は顧客の安全を守るため、新しく革新的な方法を急いで探している。しかし一部の業界では、社会的距離を取るのに適している手法が既に存在している場合もある。レストラン業界で再び注目を浴びている、ドライブインレストランのカーホップサービスもその一つだ。

スタッフがレストランのキッチンから駐車している車の窓まで料理を直接運ぶ、カーホップサービス付きのドライブインレストランは、1950年代のアメリカ、特にカリフォルニアを代表する文化だった。大きな駐車場があり、ネオンサインを輝かせていたこれらの店は、多くの人々の食事スポットとして人気を博した。今、安全にかつ社会的距離を保ちながら、家の外で安心して食事を楽しめる場所として、このユニークで懐かしいドライブレストランが再ブームになっている。

カリフォルニア州にあるメルズ・ドライブイン(Mel's Drive-In)ボブズ・ビッグボーイズ(Bob's Big Boys)では、1950年代にカーホップサービスを提供していた。これらの店にとっては、この春のロックダウン後の生活様式に自分たちのビジネスを適応させていくことは、それほど難しくなかったようだ。両店は5月からカーホップサービスを復活させた。

大きな駐車場があったおかげで、サンフランシスコなどにあるメルズ・ドライブインの店鋪では、カーホップサービスを再び導入するのは簡単だった。レストランを訪れた客は、乗車したまま店員と話せる窓口で注文をして、ウエイターが車の窓枠に取り付けられるトレイに乗せたバーガーやシェイクなどを運んでくるのを待つ。店側は感染を防ぐためにスタッフは手袋をし、支払いのための機器の消毒も怠らない。注文したアイテムは、しっかりと封をした袋か持ち帰り用の容器で提供される。

Carhop service
Photograph: Shutterstock

バーバンクのボブズ・ビッグボーイズでも、メルズ・ドライブインと同じように車に乗ったままの注文が可能。ウエイターが来るのを待っている間に利用できる無料Wi-Fiも提供されている。歴史あるメルズ・ドライブインにとって、このニューノーマルへの対応は難局打開のきっかけにもなった。カーホップサービスの復活により、売り上げが新型コロナの大流行前の約70%になり、スタッフのほとんどは仕事に戻っている。サンタモニカの店鋪では、学校が休校中は子ども向けの食事を無料、ミルクシェークは半額になる特典も用意している。

Bob's Big Boy car hop parking
Photograph: Shutterstock

このトレンドに乗っているのはこれらの店だけではない。カリフォルニア南部のサンルイスオビスポにあるジノズ・ピザ(Gino's Pizza)の駐車場でも、ランチとディナーを車の窓枠用トレイで提供している。

カリフォルニア州のレストランはしばらくは通常に戻らないだろう。再開したとしても、テーブル数が少なく予約が必須になる可能性が高い。これまでのように外食が楽しめるようになるまでの間を埋めてくれるのは、ドライブインレストランなのかもしれない。懐かしさも味わえるのだから、なお良しだ。

原文はこちら

関連記事

イギリスでもアツい、アメリカンなドライブインシアター

デ・ニーロも注目、ニューノーマルで再評価されるドライブインシアター

最新ニュース

    広告