古くから多様な民族が行き交ってきた中央アジアでは、シルクロードの要衝として、オアシス都市を中心に豊かな工芸美術が生み出された。8世紀以降に広まったイスラム文化の影響は、抽象的で装飾性の高い文様として結実し、テキスタイルをはじめ木工や金工、陶器など多様な分野に受け継がれている。機械では再現しがたい精緻さと華やかさを備えた手仕事は、今なお強い魅力を放つ。
ウズベク人に伝わる刺繍布「スザニ」や衣装にはミステリアスな文様と豊かな色彩が広がり、女性たちの手によって布一面に施された刺繍(ししゅう)が特徴。一方、砂漠地帯で遊牧生活を営んできたトルクメンは、重量感のある銀製ジュエリーで身を飾る習慣を築く。これらは単なる装飾品ではなく、厳しい環境を生き抜くための知恵や祈りを宿した存在でもある。
「渋谷区立松濤美術館」で開催される「中央アジアの手仕事 ―華麗なる刺繍とジュエリー 広島県立美術館コレクションより―」では、国内有数のウズベクおよびトルクメンの染織・ジュエリーコレクションを誇る「広島県立美術館」の所蔵品を紹介。民族ごとに受け継がれてきた刺繍布や装身具を通して、中央アジアに花開いた繊細かつ華麗な手わざを堪能してほしい。
※10~18時(金曜は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(5月4日は開館)、4月30日、5月7日/料金は1,000円、学生800円、60歳以上・高校生500円、小・中学生100円(土・日曜・祝日は無料)、金曜は渋谷区民無料

