ルネサンス以降、西洋美術において作者の姿はしばしば作品として表されるようになり、とりわけ自画像は一般的な画題として広く定着していく。「国立西洋美術館」で開催される展覧会「アーティスト・バイ・アーティスト――西洋版画に見る芸術家のイメージ」では、自画像を含む芸術家の表象の変遷を、版画を中心とした約50点の作品を通してたどる。
造形作品に作者の姿が表れる背景には、社会における表現者の地位や在り方の変化がある。中世には匿名の職人に過ぎなかった彼らも、16世紀以降、制作行為を学問や科学と結びつけることで、創造の主体としての「芸術家」へと位置づけられていく。さらに19世紀には、芸術家は思考する「個」としての自覚を深め、孤高で苦悩する表現者として捉えられるようになる。
本展は、およそ18世紀までの芸術家のことを呼ぶ「オールドマスター」を扱う第1章と、19世紀以降の近代画家を扱う第2章で構成。各章は、集合的な芸術家像や理想像を扱う「制作する芸術家」と、個別の風貌を写す「自画像と芸術家像」の2つのセクションから成る。
多彩なイメージを通して、芸術家とは何者かを改めて問い直し、創造と自己表現の歴史を見つめる機会となるだろう。なお、2026年5月10日(日)・19日(火)、6月14日(日)は本展及び常設展の観覧が無料だ。
※9時30分~17時30分(金・土曜は20時まで)/入館は閉館の30分前まで/休館日は月曜(5月4日は開館)、5月7日/料金は500円、学生250円、65歳以上・高校生以下無料
