SKWAT KAMEARI ART CENTRE
Photo: Kisa Toyoshima
Photo: Kisa Toyoshima

SKWAT KAMEARI ART CENTREでしかできない4のこと

アートブック、レコード、カフェを併設した亀有の新たな文化拠点

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2024年11月に亀有駅前の高架下に誕生した「スクワット 亀有アートセンター(SKWAT KAMEARI ART CENTRE)」(以降SKAC)が話題を集めている。 

SKACは、中村圭佑率いる設計事務所「DAIKEI MILLS」が手がける「SKWAT」プロジェクトの一環で、アパレル店舗やオフィスといった固有の目的を持った空間では表現しきれない志向性を大々的に広げていく活動舞台の一つだ。SKWATはこれまでも、南青山や「渋谷パルコ(PARCO)」などさまざまな場所で展開し、注目されてきた。

SKACのエントランスを入ると、まず出迎えるのは、レコードやプレイヤー。奥にはアートブックがずらりと陳列されている。通路は広くベビーカーを押している人、犬連れで歩く人など、国籍・性別・世代を超えて幅広い人が気軽に集うスポットになっていた。

地域の人の憩いの場から、文化的な人々のディスティネーションとしてまで、多様な機能を持つ文化空間でしかできないことを紹介しよう。

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VDS TOKYO SHOP

「VDS(Vinyl Delivery Service)」は、2018年にオンラインレコードショップとして中古レコードの販売を開始し、2021年にロンドンのコロンビアロードに1号店をオープン。亀有の「VDS TOKYO SHOP」は、日本では初となる実店舗だ。

1店頭には約7000〜8000枚が並び、ジャズ、ロックからアフリカ、辺境まで独自の解釈でセレクトした音楽を幅広く取り扱っている。

オーナーの関塚林太郎がロンドンに友人を訪ねた際に、東ロンドンの音楽シーンに強く惹かれた。その後、東ロンドンのシーンの輪の中に自然と溶け込んでいき、広がった音楽と人とのつながりから、ロンドンを最初の出店地に選んだ。

VDSは、あらゆるカルチャーが混在するロンドンを拠点に、ヨーロッパを中心とした世界各地からレコードの買い付けも行っている。東京では見られない珍品との出合いを楽しんでほしい。

1「VDS TOKYO SHOP」では、オーナーが独自に考案した「共感覚」や「五代要素」をベースにしたコーナーも設置。音楽を、色や土、水、火、風、空、などの物質で識別し、聴く者へのハードルを下げて自由に音楽を楽しめるよう工夫されたものだ。

店内には年代の異なる4台のレコードプレイヤーが置かれており、自由に試聴できる。まずは心の赴くままに、それぞれの感覚で音に浸ってみては。

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トゥエルブブックス

ここは、アートブック専門のディストリビューター「トゥエルブブックス(twelvebooks)」が倉庫の一般開放と称し、現代美術や写真集など約6万冊を収容したスペース。2023年に南青山のスペースがクローズしたが、この度、SKAC内に再び出現した。

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単管パイプで組まれた本棚には多様な本がずらりと並び、途中にある階段から2階の写真集コーナーへ上がることもできる。コンテナに入ったアウトレット品は所狭しと並び、まるで宝探しのような感覚に陥る。大人も子どもも楽しめるコーナーだろう。 

また、2014年に惜しまれながら閉館した山梨の「清里現代美術館」に残された、希少価値の高い「エフェメラ」のアーカイブは必見だ。エフェメラとは、「一時的で儚い」という意味合いを持ち、チラシやはがき、招待状など、長期の保存を目的としない印刷物や筆記物のことを指す。美術的・文化的資料としてコレクターも多い。

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そんなエフェメラの入った木製の什器(じゅうき)は、家具デザイナーの安川流加によって制作されたもの。カウンターの前には、鈴木貴也が代表を務めるエフェメラ専門店「苑ス」がコレクトした「EPHEMERAL DOCK」のコーナーも設けられ、世界中から集まった興味深いアイテムが展示されている。全て購入できる。

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トークス

日本橋兜町の「ストックホルムロースト(STOCKHOLM ROAST)」でコーヒーのキャリアをスタートした店主による新たなカフェ「トークス(TAWKS)」。シングルオリジンのドリップやバッチブリューをはじめ、国産の和紅茶とほうじ茶、緑茶とウーロン茶をかけ合わせたユニークな茶、ストックホルムローストのブレンドを使用したエスプレッソ系ドリンクなどが楽しめる。

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店主は、2021年に渡英し、ロンドンにある人気ベーカリー&レストラン「Jolene」でバリスタやウエーターとして勤務。そこでの経験から、オーツミルクのスチームには特に自信があるという。オーツミルクはほかのミルクと比べてクセが少なく、ほのかな甘みが特徴だが、そこにスチームをかけることによって口当たりも柔らかく、さらに飲みやすくなる。ぜひ、ラテを注文して体感してみてほしい。

ドリップやバッチブリューは祐天寺にあるコーヒーロースター「スニート(sniite)」の豆を使用。茶は、蔵前にある茶葉屋「ノーム(norm)」がブレンドしたものだ。フードは、ビーガン焼き菓子を手がける「HOMECOMING」のクッキーやパウンドケーキなどを提供する。

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最後に、座席にも注目してほしい。「コーヒーをきっかけにコミュニケーションが生まれる場所にしたい」という店主の思いから、さまざまな向きや形で配置。建設の足場に使う単管パイプでできたヤグラにも座れるなど遊び心たっぷりなので、いつ来ても楽しめるだろう。

DAIKEI MILLS 

SKACは、高架下という立地に単管組によって作られた空間は約2200平米の面積を誇り、新たな創造よりも、ものの本質や既にあるものをどう最大限生かしていくかを考えるというDAIKEI MILLSの理念が具現化した空間に仕上がっている。

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例えば、施設内の所々にはネオンサインが取り付けられている。大規模な改装をせずとも昼と夜で雰囲気を変えることができ、無彩色な中に際立つネオンサインで、空間演出にも工夫が施されている。

中央通路の両側の柱に設置されたモニターでは、多摩美術大学の生徒が制作した作品が流れており、インスタレーションとしても楽しめるだろう。

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一見、無機質な空間の中にもDAIKEI MILLSのセンスが光るアイデアが至る所で垣間見られる「見る建築」としても、SKACは一級品だ。存分に味わってほしい。

亀有周辺を散策するなら……

  • Things to do

東京都心にほど近く、家賃が比較的安価な東京東側には、下町情緒を色濃く残す老舗と、こだわり抜いた個性的なお店が軒を連ねている。特に主要駅の北千住駅周辺は、そんな魅力的なお店が多く集まるエリアだ。

一方で、北千住には実に5つもの大学があり、学生のにぎわいを感じられる街でもある。新進気鋭の店も次々と誕生しており、北千住は下町とモダンの魅力が入り交じる、活気に満ちた街となっている。

この記事では、レトロな喫茶店やスナック、風変わりなバーや新しくできた雑貨屋やカフェ、ベトナム料理店など、王道から変わり種まで、さまざまな北千住のスポットを20件紹介する。

  • Things to do

立石という場所を知っているだろうか。葛飾区にある風情あふれる下町だが、実は、知る人ぞ知る飲んべえの聖地なのである。モツ焼きを中心に、寿司やおでん、餃子、焼き肉などを、驚きのうまさと価格で味わえるこの地では、3軒はしごして1人5,000円以内ということも稀(まれ)ではない。

立石は、どの店に入っても昼間から素性の分からない紳士淑女でにぎわっている。昼から飲む人、夕方から飲む人、食休みスポットや、締めにふさわしい店など、立石を楽しみ尽くすことのできるヴェニューを13軒紹介する。酒飲みを自称するあなたなら、立石のとりこになってしまうこと間違いなしだ。

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  • Things to do

国技館もあることから、相撲の街と呼ばれる両国。街中には相撲部屋が点在し、力士が行き交う光景が日常だ。江戸時代に歓楽街として栄えた名残もあり、1718年創業の猪肉料理専門店をはじめとする老舗料理店や、旧両国国技館が建設されるまで勧進相撲が行われていた回向院など歴史的な見どころも多い。

2016年には、北斎美術館や両国江戸Norenなど街の魅力を伝える施設がオープンし、2020年の東京オリンピックには国技館がボクシング会場として使われた。本記事では、徐々に変化する両国の今を感じさせる旬の店から、この地で長く愛される老舗までを紹介する。

  • Things to do

戦火を避けられたことで築100年以上の長屋が現存する街、曳舟。4軒長屋をリノベーションした店舗など、生活に根差しながらも独自性を打ち出している魅力的なヴェニューが数多く揃っている。

東京スカイツリーも街中から見えるほど近く、押上を訪れる機会があればぜひ曳舟まで足を延ばしてほしい。温室を再構築した観葉植物店、建物自体がアート作品なネパール料理店など、個性あふれるヴェニューを紹介する。

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